ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

1/29 C-GATE pre. BRAND NEW PATH TOUR 2023 at 新宿ANTIKNOCK

ある日、僕はまだ悔やんでいた。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

UNEARTHの来日公演当日、本来有休を取得してたのに、それがおじゃんとなり出社。さらに当日作業が長引いて1時間以上の残業も発生。結局Graupelのライヴは丸々観られず、Sable Hillsも途中から眺めるだけにとどまった。

 

しばらくこの後悔(というか仕事へのムカつき)は引きずるんだろうな...と思っていた矢先、こんな情報が目に飛び込んできました。

 

Graupelもいる、Sable Hillsもいる、さらには今まで観たことのなかったバンドが目白押し、アンダーグラウンドなパンク・メタルの聖地であるANTIKNOCKでこれだけのバンド数が観られるというのはかなりお得だ。しかもこの日は休日出勤は入っていない!

 

これはきっとメタルの神様が「ほれ!こないだ仕事のせいで観られなかった悔しさを晴らすチャンスじゃろ!行ってきんしゃい!」と声をかけてきているのだろう。そう勝手に解釈した僕は、すぐさまチケットを手に入れてやりましたよ!

 

つい先日手に入れたレザー風ジャケットと、愛用の黒ブーツでメタルっぽく決め込んで、久々となるANTIKNOCKへ。解散してしまったGAUZEの写真がなんともカッコよく、かつ寂しい...

 

 

KRUELTY

名前はどっかで見たような、だけどどんな楽曲をプレイしているのかは全然知らない、要は予備知識がほぼないバンド。2017年結成という短めのキャリアながら、海外バンドとのスプリットに参加したり、海外でのツアーも経験したりしている実力派だそう。

 

スロー〜ミドルテンポが主体のドゥーミーなデスメタルで、メロディアスさやドラマチックな要素はまったくといっていいほど無い。非常に硬派で恐ろしげなデスメタル

 

しかしそんな音楽性とはある意味不釣り合いと言えるほど、女性ベーシストの笑顔ガス的でした(どことなくBiSHのモモコさんっぽい) その他のメンバーは皆ただならぬオーラを放っていて迫力満点。しきりにマイクスタンドを振り上げるヴォーカルの存在感も強い。

 

海外で揉まれただけに演奏は極めてヘヴィでタイト、ビリビリと空気を震わせるような重低音をかき鳴らしており、その爆音っぷりに気圧されてしまう......というか、さすがに音デカすぎやしません?

 

この日は全体的に大音量でしたが、一発目だというのにこのバンドの音圧がトップクラス。僕は耳栓をしていたからまだ平気だったものの、最前のスピーカー付近でそのままあの音を喰らっていた人、耳は大丈夫だったのでしょうか...

 

まあこれもデスメタルという迫力がキモになる音楽性故でしょう。そのままフロアの端っこの方で観ていたのですが、ここで「ジッとしてなんかいられるか!」と言わんばかりに、ハードコアモッシュを開始する人が現れ、彼の振り上げた足が思いっきり僕の左手をとらえ、そのままグシャッと壁に激突!

なっ! 何をするだァーッ ゆるさんッ!

 

しかし、この手のライヴにおけるフロアは戦場。こういった接触が起こるということは認識したうえで足を踏み入れるべき。ここはモッシュに対して油断してた僕の落ち度でしょう。幸い血は出てねえ。

 

 

Azami

このバンドについてもKRUELTYと同様、名前は目にしたことがあっても実態は全然知らないバンド。

 

こういったメタルコアバンドたちの対バンイベントでよく目にする名前のため、このバンドもそういったヘヴィさを武器としたバンドなのだろうと思っていましたが、実際はちょっとだけ異なる。

 

メタルコア的なヘヴィさ強調のパートもあることはありますが、それ以上に目立つのがクリーンヴォーカルによるキャッチーな日本語詞のサビ。今回の出演陣の中で、ぶっちぎりでわかりやすい音楽性であることは間違いない。

 

基本ヘヴィでサビポップというと、典型的なメタルコアやポストハードコアと同様に思えますが、彼らの場合は日本語で疾走するスタイルと、J-ROCK的なキャッチーさがあるため、普通のポップなメタルコアとは異なる質感、面白い違和感がある。

 

ただ先程まで徹頭徹尾ヘヴィで愛想のないデスメタルが展開されていた環境だったので、あまりにポップなメロディーが飛び出してくるのは、ちょっとこっ恥ずかしさもあるかも。やや青クサめなMCも含めて。それに反するかのように、下手側のギタリストのルックスはかなりイカついのですが(笑)

 

このバンドはメタルのフィールドよりも、DEAD POP FESTiVALとか、そのへんの客層の方がウケやすいかもしれない。僕が高校生とかにこのバンドを知っていたら、さらにグッときてたかもしれません。

 

最後の曲になると、対バンしてる他のバンドマンが続々と登場し、ドラムやベースを手に取り出して、狭いステージの中がかなりグチャグチャな状態に。これもまた、仲の良いバンドたちが集まった対バンならではの光景ですね。

 

 

Sable Hills

今回の個人的メインアクトの一つ。UNEARTHのオープニングのときは途中から、それもかなり後ろの方でロクにステージが見えないという状況だったので、それを取り返すべくガッツリ前の方でスタンバイ。サポートギターのDAIKIさんは本日は不在でした。

 

ヴォーカルのTakuyaさんがセンターへやってきて早速迫力ある咆哮をかます。近い!メッチャ近い!この目と鼻の先に演者の存在を感じ取れるのが、狭小なライヴハウスの醍醐味!

 

ステージ前の柵に片足を乗り出して、扇風機ヘドバンをガンガンに振り回す。長髪が思いっきり最前のお姉さんに当たってるぞ(笑)

 

本日最もメタルらしいメタルをプレイするバンドなだけに、やっぱりパフォーマンスやサウンドは自分の感性によくハマることがわかりました。もちろんハードコアなサウンドもたまらなくカッコいいですが、ヘヴィな中に正統的なメタルの成分が、良い塩梅で入ってる彼らのスタイルは馴染みやすい。

 

シャウトもあり、疾走していて、メタルコアらしいヘヴィパートもありつつ、強烈にメロディックなギターが乱舞する、彼らの要素全部盛りの「EMBERS」はやはり強烈なキラーチューン。僕が上手付近にいたこともあって、サビにおけるあの必殺のリードギターを視覚・聴覚共に余すとこなく堪能できました。これだけで今日来た甲斐があったな。

 

次の日にはすぐに台湾へと渡る予定があるという過密スケジュールであったものの、それに物おじしない堂々たるパフォーマンスで満足です。「ジャパニーズメタルコアの精神を持って、海外に行ってくる!」という発言も頼もしく、今後のJ-METALの未来を担う存在であることを改めて認識させてくれる一幕でした。

 

 

NUMB

90年代から活動しているベテランのニュースクールハードコアバンド。実はライヴを観るのは初めてだったりします。

 

和製HATEBREEDと形容したくなるような、めちゃくちゃヘヴィなんだけど、メタリックという感触からはやや外れる、そんなソリッドなハードコアサウンド。やはりというかハードコアモッシュの勢いはワンランク上がったように感じられ、フロア中央は腕も足もブン回す無法地帯へと化す。

 

先ほどハードコアモッシュに巻き込まれ、左手に痛打を喰らったばかりなので、同じ轍を踏まないように、後方の一段上の場所から全体を俯瞰で眺める。ステージライトが逆光となり、グシャグシャのフロアが照らされる様はなんだかドラマチック。

 

しかしその状況においてもヴォーカルのSENTAさんには物足りないようで、この日のライヴ中しきりに「まだモッシュが足りねえな!」と言い続けてました。なんでも「足を骨折してて満足に動けないから、その代わりにお前らがもっと動け!」という意思らしい。

 

フロアに向かって「モッシュしろ!殺せ!」と煽りまくるその姿は、キレたハードコアらしいおっかないものでしたが、何故か唐突に「CRYSTAL LAKEの「Rollin'」のMVで、途中で出てくるおっさんは俺だ」と自己主張し始めたのはちょっと笑った。

 

とにかくヘヴィで、聴き手を暴れさせることに特化した音楽性なので、トップバッターのKRUELTY同様、あまり家でCDを聴きたくなるタイプのバンドではないだけに、やはりライヴで観ることで魅力の真髄に触れられますね。アングラな雰囲気を持つANTIKNOCKという空間に、最もマッチしていた音楽性だったと思います。

 

 

Graupel

さて、本日ここに足を運んだ最大の理由が彼らのライヴを観ること。当然ながら前の方に行きましたとも。ドラムセットまでよく見えるぜ。

 

フルアルバムのタイトルトラック「Bereavement」でスタート。うん、わかってはいたけど、やはりこのバンドのライヴは素晴らしい。

 

単純に演奏のクオリティーが高いというのはもちろんですけど、攻撃性も迫力もトップクラスなヴォーカルに、メタルコアとしての叙情性をこれでもかとまぶしたギターのフレズ、それらが渾然一体となって爆音で疾走したとき、胸の奥を掻きむしる激情のレベルが一気に沸点へと到達する。

 

彼らのライヴにおける、体の内側からグワッと熱量を底上げさせるような、感情に訴えかけるパワーが凄まじいんですよ。こればっかりは体感してもらわないとわからないのですが、観て聴いて込み上げるものがある。自分の意思とは無関係に拳を上げてしまうような。

 

ライヴでの扇動力という点では、今の日本のメタルシーンにおいても屈指のものを持っていると確信できるだけに、こんな少人数のライヴでしか体験できないというのはもったいなさすぎる。彼らはもっと注目されていい。

 

Apathy」「Towpath」「Departure」「Fade Away」と、バンドを代表するヘヴィ&ファスト&メロディックなキラーチューンを乱発するセットリストも良く、ここにきて僕のテンションがフルスロットルに稼働しました。時たま降ってくるクラウドサーファー(かなり久しぶりに発射台になったな)を捌きながら、思い切りヘドバンに興じていました。

 

彼らはまだ持ち曲が少ないので、とりあえず早いところ新しいフルアルバムが欲しいところ。MCで「アルバム1枚作るって本当に大変なんだよね...」とこぼしていたのは、恐らく昨年アルバムを出すと言っていながら、結局リリース情報は出なかったことと無関係ではないはず(笑)

 

 

そして最後は、ニューアルバムをリリースしたばかりのC-GATEなのですが、この時点でやや時間が押し気味であったことと、明日普通に朝早くから仕事があることを考えると、ここからさらに30分も40分も時間を消費してしまうとマズい、という考えがよぎったことにより、頭の数曲だけ観てこの場を後にすることにしました。とりあえずヴォーカルが危険なオーラバリバリだったことと、以前観た時と変わらず甘さのないハードコアをプレイしていたことは速攻でわかりました。

 

徹底的にハードでヘヴィな時間、それも凄まじい爆音であったことで、だいぶ体力的な浪費もすごかったですね。ただ、それに見合うだけのパワー溢れるパフォーマンスに身を投じられた良き一日でした。ここにきてようやくUNEARTHの時の遅刻の悔しさが完全に払拭できたかな。

 

しかし、これだけのライヴ力があるバンドたちが集まって、日曜日に狭小なライヴハウスのキャパが埋まらないというのは由々しき事態ですね。もっと評価されるべきバンドたちばかりなので。