GraupelとVICTIM OF DECEMPTIONのメンバーで構成された新バンド・GREEN3YEDの初ライヴに行ってきました。
このバンドの誕生経緯については、ヴォーカルのSotaさんのnoteに詳しく書かれています。
まだ3曲しか発表されていない出来立てホヤホヤバンド。音源を聴いた限りだと、構成メンバーから想起されるヘヴィなサウンドで、CRYSTAL LAKEを思わせるようなモダンさもある感じ。
僕の好みとしては、やはり叙情メロデス要素を含んだメロディックメタルコアであるGraupelの方がハマるんですが、実績のあるメンバーなだけに、良いライヴを見せてくれるだろうという期待感がありました。
それに何より、デビューライヴは当然ながら一回こっきりしかないですからね。ANTIKNOCKは好きなハコだし、日曜日だしで行かない理由はない。
ソールドアウトはしなかったようですが、最終的な集客は結構なもので、小さなハコなモンだからかなりの混雑具合ではありました(本当はあと100人ぐらい入れたかったらしい。さすがにムチャでしょ)邪魔な荷物や上着をロッカーに預けた後、フロア後方の一段高いところの最前付近(フロア全体だとちょうど真ん中くらいかな)に位置どる。かなり観やすい場所をキープできて良かった。
Azami
これまでも何度か観たことのあるAzamiからスタート。これまでと変わらない、メロコアとポストハードコアの中間みたいな印象の楽曲が立て続く。
今回集まったメンツだと少々青臭さの強いバンドなのですが、キャッチーに疾走するサビはメロコアキッズ魂をまだ持ってる者としては、なかなかヒキがあります。
狭小なステージ付近の空間で、ステージダイブが盛んに繰り広げられる様は「これぞライヴハウス!」って光景で、観ててとっても気持ちよかったです。
以前観た時も思いましたが、このバンドってパフォーマンスは熱量があるし、楽曲もポップ・キャッチーで聴きやすいし、もっと話題になる可能性ってあると思うんですけどね。
メタルコア村にいるより、「ラウドロック」と呼ばれるバンド群を好む人たちの目に触れれば、それこそフェスとかに出演できれば、ブレイクするのだって夢じゃないのでは。余計なお世話かもしれないけど。
持ち時間はかなり短かったですが、ライヴバンドとしての本分は充分に発揮していたと思います。
View From The Soyuz
今年EPを発表した若手のニュースクールハードコアバンド。MCで「高校の頃にAzamiもEarthists.もGraupelも聴いてた」と言ってて、「まだそんな若いのかよ…」と軽く衝撃。
そしてライヴパフォーマンスはもっと衝撃的で、とにかく上手かった。破壊的なヘヴィさはもちろん担保されているんですが、ヴォーカルも演奏も非常にタイトで、ナヨナヨっとしたひ弱さなんぞ皆無。かなり引き締まっている。
こんな若手のバンドですら、ここまでしっかりしたライヴができるとは、今の日本のヘヴィミュージックシーンは本当に充実してるんですね…。頼もしい限りです。
以前観たNUMBやGATES OF HOPELESSとかと同様に、フロアの治安がメッチャ悪くなっており、ハードコアモッシュの過激さが凄いことに。ジャンプしながら回し蹴りという、かなりアグレッシヴな動きを見せる人もいて、あれに巻き込まれたらひとたまりもないな…と戦慄。みんなケガしないようにね。
徹底的に硬派なハードコアを貫いていていましたが、メロディックメタルからの影響もあるであろう、メロウなツインリードも披露していて、そういった面もまた好印象でした。
Earthists.
初期の無機質なDjentメタルコアに比べて、ここ最近の楽曲は電子音だったり、ゲームミュージック的なキャッチーさを押し出していて、かなりメロディアスになった感のあるこのバンド。今回のセットリストも近年の楽曲のみで構成されていて、最初に観た時と比べるとだいぶ印象が変わったな〜と。
ただそれが悪い方向に行っているわけではなくて、むしろメロディックで聴きやすくなったのは、個人的に嬉しいところです。昔の作風が好きだった人にとっては「チャラくなった」と思われそうですが。
先ほどのView From The Soyuzが徹頭徹尾極悪ヘヴィなサウンドだったのに対し、アンビエントっぽい静かなパートが頻繁に挿入されるので、相対的な意味で少し熱量は落ち着いたような印象もある。
しかし、フロントマンのYuiさんがモッシュピットの形成を促したとたん、さあ大変。先ほどのView From The Soyuzと同等か、またはそれ以上というくらいのハードコアモッシュ地獄が眼前に現れました。
このままの勢いで、Graupelカバーの「Fade Away」もやってくれるのかな?と、ちょっと期待していたのですが、それは無かった。まあ今回はGraupelではなく、GREEN3YEDのライヴの日ですから、これはまあしょうがない。
それに「Fade Away」は確かに名曲ながら、それに頼らずとも「HYPERHELL」「GODBLAST」といった、キャッチーで勢いのある魅力的な楽曲がある。エモーショナルな叫びがこだまするサビでは、今日イチと言えるほどステージダイブが増えて、モッシュまみれの修羅の国と化す。特にラストの「GODBLAST」は個人的にかなり好きな曲なこともあり、フロアの熱気に釣られるようにテンション上がりましたね。トリのGREEN3YEDにかなり良いバトンを渡せたのではないかと思います。
惜しむらくは、音響のせいか、はたまたずっと耳栓をつけていたせいか、Yutoさんのクリーンヴォーカルがかなり聴き取りにくかったところでしょうか。メロウサイドを際立たせる要素だから、もうちょっとしっかり聴きたかった。
GREEN3YED
トリはもちろんGREEN3YED。Chaos O Sanctuaryのライヴの時も思いましたが、記念すべき初ライヴを観られるというのは、何か嬉しいモンですね。
フロントマンがSotaさんなので、パッと見の印象はGraupelとあまり変わらない...というか、ギターのGenさんとベースのGabrielさんは、Graupelのサポートメンバーなので、ステージの左半分がGraupelと同じだ。
もちろんGraupelの作曲担当であるYuuさんがおらず、ギターとドラムを務めるのが、デスコアバンドやってるJunpeiさんとKokiさんなので、ヘヴィでイカつい印象が増している。かなり攻撃的なサウンドでした。
そんな中、未発表曲となるタイトル不明の楽曲(曲名コールはしてたのですが、シャウトなので聞き取れない)は、メロディックなギターを基調としつつも、破壊的アグレッションもある曲で、なぜさっさと発表してくれないんだと思わざるを得ないほどカッコよかった。
未発表曲は2曲分あって、もう1曲の方はJunpeiさん作曲ということもあり、メロディアスさをほぼかなぐり捨てたような、かなりモッシュ向きの極悪曲。ライヴハウスの治安んを一段階悪くさせるもので、これはキッズならかなり興奮するでしょうね。
持ち曲が5曲しかないので、トリでありながら他バンドと同じくらいのボリュームのライヴしかできなかったわけですが、その短い時間の中でも、GREEN3YEDというバンドにかける思いはMCでしっかりと語ってくれました。
「バンドの売れ方って、一本のライヴを地道に積み重ねていくのもあるし、大きな事務所とかに所属してバックアップしてもらうやり方もある。その違いはあるけれど、バンド側がやること自体は何も変わらなくて、目の前の階段を足を動かして上っていくだけ。このバンドはもっと売れていく」
決してGraupel活動休止中にやってるだけのサイドプロジェクトではなく、一つのバンドとして売れていくという決意表明が熱かったですね。
Graupelのライヴでも毎回思うんですけど、Sotaさんの語り一つ一つに、自身の音楽に対する真摯さというべきアティチュードが感じられるから、聞いてて気持ちがいいんですよね。ステージパフォーマンスのアグレッションはもちろんのこと、こういう姿勢も含めて素晴らしいフロントマンだなと改めて思いました。
4バンドもいるものの、1組ごとの持ち時間がかなり短めだったこともあり、案外すんなり終わってしまった感がありましたが、記念すべきGREEN3YEDの初ライヴを、しっかりと体に刻みつけることができました。
VICTIM OF DECEPTIONとの掛け持ちという状態なので、あまり活発なバンド活動は難しいかもしれないですが、来年以降のライヴも少しずつ決まってきているとのことなので、音源リリースも含めて動向は要チェックといったところですね。
当初物販を買うつもりはなかったんですが、MCで「初ライヴってこの日しかないし、後日通販とかする予定もないから、マーチも見ていって!」と呼びかけていた事に影響されて、終わった後にTシャツ1枚買ってしまいました。見事にセールストークにかかっちまってるじゃねえか。