ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

SERENITY 『Nemesis A.D.』

  • 前作よりキャッチーなメロディーが増量
  • 出だしからキラーチューン、中盤にもハイライトが
  • 豪華絢爛ながらコンパクトにまとまった仕上がり

 

奇跡の復活を遂げたEvoken de Valhall Productionにより、SECRET SPHEREとのカップリングで来日も決定している、オーストリアのシンフォニックメタルバンド・SERENITYの最新作。

 

今年に入ってからギタリストとして、前述のSECRET SPHEREにも在籍していたことがある、マルコ・パストリーノが加入しています。今回の来日ツアーがこの二組で決まったのは、この辺の縁もあったのでしょうか。

 

前作『The Last Knight』は、良い作品ではあったものの、その前の『Lionheart』が傑作だったということもあり、ちょっとパンチの弱い印象がありました。

 

その流れを汲む形で発表される本作、いったいどのような出来になっているのか、期待とちょっぴりの不安を抱きつつ聴いてみたところ……

 

うん!良いアルバムだ!これは良い!

 

前作において少し弱まったように感じられた歌メロのキャッチーさが、アルバム全体を通してかなり強化されている。大仰になりすぎない程度のオーケストレーションで演出されるドラマ性とガッチリと噛み合い、気品さと勇壮さを両立したSERENITYらしい楽曲が立て続く強力作に仕上がっています。

 

まずイントロから続くM2「The Fall Of Man」、M3「Ritter, Tod Und Teufel (Knightfall)」という、バンドに期待される要素をバッチリ提供したキラーが、頭で連チャンするのが強いですね!この流れで「このアルバムは間違いない!」と確信を抱く事ができます。特に後者のサビの劇的さは、まさにSERENITYキラーチューンの王道と呼べるもの。

 

アルバム中盤に配置されたM5「Reflections (Of AD)」は、本作のハイライトとなりうる、8分にわたる名曲。これまでにないほどポップなメロディーから始まりながら、中盤には疾走パートと静寂な中にクワイアが響き渡るパートが挿入される。そこから急に切り込まれるギターリフにハッとさせられたのも束の間、バスドラ連打で爆走しながら、ツインギターが絡み合うドラマチックギターソロまで投入。ラストを締める豪華絢爛なコーラスに至るまで、めくるめく曲展開で魅了してくれるので、長さを感じさせずに曲世界に没頭する事ができます。

 

そんな名曲が終わったあと、「休ませないぞ」と言わんばかりに、M3に負けないほどヒロイックなサビを持つM6「Sun Of Justice」が来る流れも心憎い。その後のM7「Nemesis」もまた、優美さと緊迫感を完璧に両立した見事な歌メロに、流麗なバッキングのシンフォサウンドで酔わせてくれる。

 

バラードとなるM9「Crowned By An Angel」は、ここに来てメロディーの叙情性が一段階レベルアップしたのではないかと思うほど、実に美しいメロディーが鳴っていて心に染み入りますね…。後半の強烈に泣くギターソロもまた素晴らしい。

 

とにかく各楽曲のクオリティーが非常に高く粒揃い。それでいて頭にキラーチューンを置き、中盤にハイライトとなる大作が来て、その後も休まることなくクライマックスまで集中力を切らさず向かっていく…というアルバム構成も見事。M5を除き3〜4分台でまとまったコンパクトさも、重厚になりすぎない聴きやすさに繋がっている。いや、これはかなりの力作なんじゃないか。

 

聴く前のちょっぴりの不安なんざ、軽〜く消し飛ばしてしまえるほどの完成度を誇る作品ですね。シンフォニックでヒロイックなメタルのファンは、KAMELOTの新譜と合わせて全員必聴でお願いします。

 

 

個人的に本作は

"前作からヒロイックでキャッチーなメロディーを大きく補強。コンパクトながら劇的さを演出することに成功した、シンフォニックメタルの新たな名作"

という感じです。

 


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