ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

12/6 BULLET FOR MY VALENTINE / Japan Tour 2023 at 豊洲PIT

新世代メタルの旗手と呼ばれていたのも今や昔、中堅〜ベテランとしてのキャリアを積むようになった、ウェールズ出身のメタルコア代表格・BULLET FOR MY VALENTINEの来日公演に行ってきました。

 

オープニングアクトは、日本から世界を騒がす存在になりつつあるSable Hills。この日英メタルコアの共演は、どうしても見逃せないライヴだと思っていました。

 

しかし悲しいかな、平日開催の運命(さだめ)として、開演時間に間に合うのかどうかという時間との戦いは相変わらず。何とか定時後すぐに駅へ駆け込んでも、開演に間に合うかどうかはなかなか怪しいところ。会場の豊洲PITは、豊洲駅から出た後しばらく歩くのがネックなんですよね。

 

気持ち早足で電車を乗り継ぎ、19時ちょうどくらいに会場へ到着。カバンの上着をコインロッカーに預けている最中に、Sable Hillsの「A New Chapter」が流れているのが聴こえる。この曲は2023年に聴いた曲の中でもトップクラスに気に入っているだけに残念ですが、まあ大冠祭で聴いたしな...と自分を納得させることに。

 

 

Sable Hiills

そんなわけでちょっぴり遅れて、オープニングのSable Hillsを鑑賞。週のど真ん中の平日に3000人規模の大会場なわけですから、当然ソールドとはいかず、後ろの方はスペースがある。まあこれだけ集客できたのは大健闘と言えるでしょう。

 

バンドのパフォーマンスは相変わらず気合いに満ち溢れたもので、観ていてとっても清々しいし気持ちいい。演奏もヘヴィでタイト、ここぞというところで決めるリードギターの旋律は、正統的メロディックメタルとしての旨みが詰まっています。

 

Takuyaさんのヴォーカルは、若干シャウトがイマイチ伸び切らない感じで、好調とは言えなさそう。とはいえ、楽曲の魅力を損なうようなことはなく、全身をフルに躍動させるパフォーマンスの見栄えもある。しきりにヘッドバンギングとサークルピットを促して、場内の熱気を上昇させていました。

 

フロントメンバー全員がメタルヘッズらしい長髪であることを活かし、一斉に扇風機ヘドバンを披露する場面はかなり見応えがありましたね。若手バンドがここまでメタル度の高いパフォーマンスを、大会場でカマしてやるという事実が痛快。

 

MCでは、最初に自分の足で行ったメタルのライヴがBULLET FOR MY VALENTINEで、軽音楽部ではヴォーカルとしてコピーをしていた(その際Rictさんが「Tears Don't Fall」のイントロをちょっとだけ弾いて会場を沸かせてた)というエピソードが。

 

「2010年9月、俺の誕生日に観たBULLET FOR MY VALENTINEとBRING ME THE HORIZONという超豪華なライヴ、そこから13年経ってそんなバンドと共演するという夢を一つ叶えることができました!」と堂々と報告する様に、会場から大きな拍手が湧き起こる。

 

こないだのLimp Bizkitのライヴでも、「MVを見て面白いバンドだと認識された」という理由で、花冷え。がオープニングアクトに抜擢されたし、来年にはCROSSFAITHとPaleduskという日本のバンドだけでオーストラリアツアーが組まれたりと、日本のヘヴィミュージックって、実はかなり夢のある世界なんじゃないかと思わされますね。

 

 

BULLET FOR MY VALENTINE

わずか5曲ほどながらかなり充実してたSable Hillsのステージが終わり、しばし転換の時間を待った後、20時ごろに会場が暗転する。

 

最新作『Bullet For My Valentine』同様に、過去の曲がサンプリングされたイントロが流れる中メンバーが登場。そのままアルバムの流れ通りに来るのかと思いきや、オープニングナンバーは「Knives」でちょっと意表を突かれました。

 

ヘヴィながら低音部はそこまで強調されておらず、ズンズンとした重さよりも、ザクザクとした切れ味が目立ったBFMVらしいサウンド。それが粗暴なシャウトと共に疾走する様はやはりカッコいい......のですが、この時点でさっそく違和感が。

 

マットのヴォーカルがかなり聴き取りにくい。シャウト自体はそこそこ聴こえるんですが、どうもクリーンヴォーカルが奥に引っ込んでいて、歌メロを追いかけるのに苦労する。アレンジとしてウィスパー気味に歌っているのか、単に声が出ていないだけなのか...

 

ライヴが進むにつれて少し聴こえやすくなったようにも思えましたが、全体的にその違和感は最後まで拭い切ることはできず。もちろんエクストリーム系のライヴで「音源通り丁寧に歌ってほしい」なんて思っちゃいませんが、もう少し原曲の高揚感をクリーンでも感じたかったというのが本音。

 

そんなヴォーカル面の不満以外は、取り立てて文句が出るようなものではなく、殺傷能力の高いサウンドと、パワフルな突進力が強力なドラムを中心に、しっかり頭を振ってエキサイトできるライヴを展開する。マットの左足を少し立てたような御姿も、堂々たる風格があって実にカッコいいこと!

 

リードギターのマイケル・パジェットはマット同様に帽子を被っていて、ちょっと見た目の雰囲気が変わった印象でした。個人的には普通にロン毛を振り乱している方がカッコいいと思ってるんですが、イメチェンだろうか。

 

ベースのジェイミー・マティアスは、ベース以上にヴォーカルとしての貢献度の方が大きくなっている。曲によっては半分くらい彼が歌ってるんじゃないかと思うほどでしたね。「Don't Need You」なんて、サビは全部彼が担当してたし、安定感もマット以上でした。

 

演奏面で一番見栄えがあったのは、ドラムのジェイソン・ボウルドでしたね。スネアの音の響きがメッチャ気持ちいいし、疾走時のアグレッションとまとまりの良さは、サウンドを一段階引き締めていたように思います。

 

そんな音の気持ちよさもあり、「Shatter」とか「Rainbow Veins」のような地味めな楽曲でも、しっかりと頭の振りどころが提供されている。退屈させないようなライヴ運びはベテランの手腕か。

 

まあそれでも、気分が一気に高揚するのは過去の楽曲がプレイされた時。「The Last Fight」のイントロが流れた時、全身の毛が逆立ったかのようにゾワっときましたよ。これを待ってたんだよ俺は。

 

サークルピットを促すMCの後に、超名曲「Scream Aim Fire」のイントロをギターが奏でた時は、まさに沸き立つという表現が相応しい歓声が巻き起こる。そのまま怒涛のドラムイントロに突入し、疾走リフが刻まれるとフロアの狂騒が一気に帯びる。クラウドサーファーの数もダンチで多く、中盤のハイライトとなった瞬間でした。

 

ただこの曲に関しては、もはや原キーで歌うことは無理なのか、思いっきりキーが下がった状態でしたね...。Downloadの時も全く同じこと思いましたが、やはり大好きな曲を聴いた時の高揚感に、「う〜〜ん...?」という違和感が混じるのはちょっと嫌だな。

 

ライヴ定番の楽曲となった「Tears Don't Fall」のイントロが流れると、いよいよライヴも終盤であることがわかる。中盤の急激なスピードアップでエンジンがかかり、速弾きギターソロで爆発する展開はいつ聴いても心にクるものがありますね...

 

初期の名曲「Suffocating Under Words Of Sorrow (What Can I Do)」、そして「Waking The Demon」という強烈な二連打がラスト。「Waking The Demon」はちょいとサビの歌唱をオーディエンスに歌わせすぎなきらいがあるも、やはりこのシンガロングがビシッと決まった時は最高に気持ちいい!

 

 

こうして合計90分のフルセットのライヴが終了。「All These Things I Hate (Revolve Around Me)」でアコギが使われたこと以外は、特段何か変わったことをするでもなく、ド派手なステージセットがあるわけでもない、非常にスタンダードなメタルライヴという印象でした。

 

そんなストレートな内容だっただけに、やっぱりヴォーカルのクオリティーが全体的にイマイチだったのは残念だったかな...。マットが歌のうまさを武器としている訳ではないとはいえ。

 

演奏の迫力やパフォーマンスの全身全霊感という点で、迸るエナジーは正直Sable Hillsの方が上だった印象があるも、どっしりした存在感や貫禄という点ではBFMVが上だったので、この辺は場数を踏みまくったベテランらしさが光っていたように思えました。

 

しかし、この手のメタルコアのライヴは、スーツとかいうクソ動きづらい服着ながら観るもんじゃねえな〜。俺もモッシュピットに入りながら「The Last Fight」のシンガロングしたかったよチクショウ。