ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

CROSSFAITH 『ZION EP』

  • 日本のインディーっぽいイモ臭さ完全消滅
  • デジタルサウンドが目立っても骨格はモダンメタルコア
  • 最初と最後にバンドを象徴する名曲

 

前回の記事はヘヴィさを排した音楽を取り上げましたからね。こっからは本腰入れてメタルを聴きましょう。

 

ただやっぱり仕事の忙しさは今後も続くので、ガッツリフルアルバムを1枚通して聴くよりも、短い時間でサッと聴ける作品というのがありがたい。そんな時に重宝するのがコレ。

 

国産メタルコア/エレクトロニコアバンド・CROSSFAITHの、2012年に発表されたEP。20分ちょいというコンパクトな1枚で、ヘヴィで攻撃的なメタルの気分だけど、あんまり長いと疲れちゃうな〜...という精神状態の時には、この上なくピッタリな作品です。

 

本作りリース前のCROSSFAITHのアルバム『The Artificial Theory For The Dramatic Beauty』および『The Dream, The Space』は、エレクトロサウンドとアグレッシヴなメタルコアの融合という点において、初期作ながらすでにバンドの指針が確立されている感がありました。

 

が、やはり初期の作品ということもあり、どことなく日本のインディーズバンドらしい垢抜けなさのようなものが漂っていました。

 

しかし本作において、そんな垢抜けなさは一変。サウンドプロデュースをLamb of GodやSUICIDE SILENCE、MISS MAY Iなどを手がけているMACHINEが行い、明らかにパワフルで引き締まったバンドサウンドへとレベルアップしているのがわかります。

 

ヘヴィなギターリフはより太く、どっしりとした重厚感を増し、単なる添え物にはならないド派手なデジタルサウンドが、ヘヴィな攻撃性を邪魔することなく絶妙に溶け込んでいる。

 

現在の彼らの音楽性はクリーンヴォーカルもふんだんに取り入れ、よりダンスミュージック的要素、ダンサブルでキャッチーな色を濃くしているので、純然たるメタルコアとは言い難い面もありますが、本作においてはあくまで楽曲の骨格はメタルコア。どれだけデジタルサウンドを入れても、重厚なメタルとしてのアイデンティティーが中心にある。これが嬉しいんですよ。

 

ヘヴィでタイトなサウンドが全面に出てきたことで、過去作にあった叙情的なメロディアスさはだいぶ希薄。良くも悪くもモダンメタルらしさ全開になり、音楽的な面白みはやや削がれた感があるのは仕方ないところですかね。その分、海外志向のメタルコアとして本格感が増したとも捉えられますし。

 

M1「Monolith」はそんな本作の特色を端的に示した名曲。印象的なシンセと、超骨太なヘヴィリフが叩きつけられるイントロが流れ出した段階で、どれほどのアグレッションが渦巻いているのかが窺い知れようというものです。

 

以前まではやや線の細さを感じさせていたKoieさんによるヴォーカルも、ここで聴けるものは一切の甘さを排除した獰猛なもの。低音グロウルから噛み付くようなシャウトまで一線級で、強烈に音圧を増したバンドサウンドに決して埋もれない存在感を放っています。

 

デジタル×ヘヴィのバランスが特に秀でたM2「Photosphere」に、ライヴで大盛り上がりになることが確約されたパーティーチューンM3「Jägerbomb」、猛烈な突進力を見せるドラムから、ハードコアモッシュの乱舞が目に浮かぶヘヴィパートまで迫力十分なM4「Quasar」と怒涛の勢いで続く様は圧巻。

 

インストのM5「Dialogue」を挟んで、最後を飾るM6「Leviathan」。これまでの楽曲で提示してきた、彼らの音楽性の集大成といえるドラマチックなメタルコアナンバー。中盤の高速リフによる疾走からのヘヴィリフの刻み、そこから静けさを伴うパートへと急転直下に移行し、劇的なラストを迎える展開はいつ聴いても痺れますね。「MIRROR」「Daybreak」と並んで、CROSSFAITH随一の名曲であることを確信しています。

 

総じてヴォーカル/サウンド両面においてイモ臭さが完全に一掃され、目に見えてクオリティーを向上させることに成功しています。2ndアルバムから1年程度でこれほどまでパワーアップするとは、やはりライヴしまくって場数を踏んだ経験が活きたのでしょうか。ついでに言うと、バンドのルックスもここらへんから一気にスタイリッシュになった感じ。

 

メタルコアというジャンルからブレず、それでいてバンドのカラーが最もバランス良く、かつハイクオリティーで配合された1枚です。楽曲の平均点は最高かも。

 

 

個人的に本作は

"デジタルサウンドによる個性と、飛躍的にレベルアップしたメタルコアの理想的融合"

という感じです。

 


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