ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ETERNITY'S END 『Embers Of War』

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  • 速弾きもスピードもパワーもバッチリ安定
  • アルバム全体通してテンション高め、起伏は小さめ
  • エクストリームメタルもパワーメタルも出来ちゃう人

 

同年に名盤を発表したOBSCURAにも籍を置くギタリスト、クリスティアン・ミュンツナーに、元HIBRIAのハイトーンヴォーカリスト、ユーリ・サンソンが参加していることで知られる、プログレッシヴパワーメタルバンド・ETERNITY'S ENDの3rdフルアルバム。

 

前作『Unyielding』を発表してからメンバーに入れ替えがあったようですが、バンドの中心人物とフロントマンが変わっていないので、音楽性自体は変化なし。ツインギターによる様式美臭をほのかに漂わす技巧的なソロを主軸にし、パワーヴォーカルと疾走感を貫き通すパワーメタル。

 

歌メロがしっかりとメロディアスで、ギターが主役のテクニカルな演奏、疾走を基調としたリズムと、パワーメタルとして理想的な要素が揃い、楽曲のクオリティーは押し並べて高いと、減点法で評価されたらほとんどケチをつけられないくらいに安定したアルバムだと思います。

 

ちょっとテンションの高さがアルバム通して一定的で、演奏が長く濃密なのも相まって聴き疲れを起こしやすそうとか、楽曲のバラエティは狭めなど感じる瞬間もあるにはありますが、文句無しにかっこいいメロディックメタルであることは間違いないです。3作続けてこれだけの作品を生み出せるとはすごい。

 

M1「Dreadnought (The Voyage Of The Damned)」から、早速得意の疾走感全開、ユーリのヴォーカルもパワフルで、オープニングから熱く盛り上げてくれる。このつんのめるような勢いでアルバムの印象を決定づけてくれるのは前作から変わらぬ美点ですね。

 

サビのメロディーがよりキャッチーさを増したM5「Acturus Prime」に、疾走しまくるだけではなく、ミドル〜アップテンポの正統派寄りの楽曲も仕上げられることをアピールするM6「Shaded Heart」へと続き、最もパワーメタル的アグレッションを披露する爆走ナンバーM7「Deathrider」へと至る。前の曲がミドルチューンだったこともあり、この曲の爆発力はかなりのもの!

 

そしてタイトルトラックとなるM8「Embers Of War」は、9分半にもなる大作。彼らの強みである疾走感と、ネオクラ的な速弾きを延々繰り広げるギターソロが疾駆し、サビはアルバムのクライマックスを彩るにふさわしい劇的さを聴かせる。充分以上に気合の入った楽曲ですが、中盤のあからさまなスローダウンは削って、もう少しコンパクトにしてくれても良かったな。個人的には大作を聴きたいタイプのバンドではないので。

 

ボーナストラックのM9「In The Wake Of The Carrion King」は、これまた彼らの王道と言えるネオクラシカル・パワーメタルを地で行く曲。充分にアルバムの楽曲として成り立つと思いますが、ボートラの立ち位置に甘んじている(クリスティアン曰く「他の曲と少し違っていて、どちらかというと『The Fire Within』の路線に近かった」とのことですが、本編でもそんな違和感はなかったと思うけど...)

 

ロディック&テクニカル&スピーディーという、パワーメタルとしての完成度は非常に高い一作。全体的にバカテク疾走の力押し重視という感じですが、曲数を絞っているためダレも少なく、かなりハイレベルな楽曲の連続で圧倒されますね。

 

OBSCURAのアルバムも傑作でしたが、エクストリームメタルだけでなく、パワーメタルでも良い楽曲を安定して生み出せるとは、デキる人って何やらせてもデキるんでしょうかねぇ。

 

あと最後に一つ、楽曲はこれだけ質の高いものなのに、ジャケットはなぜ辺境国のB級メタルみたいなんだろう?(笑)

 

 

個人的に本作は

"ネオクラ的シュレッドギターと疾走感を武器に、テクニカルさとパワフルさを両立させたパワーメタル。一貫してテンション高い"

という感じです。

 


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