ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

DIR EN GREY 『19990120』

  • 25年前のデビュー作リメイク
  • 初期ヴィジュアル系ロックを色濃く残すアレンジ
  • 「残」のみ近年のヴォーカルワークを混ぜ込んだ仕上がり

 

世界を股にかけるヘヴィロック/エクストリームメタルバンドとなったDIR EN GREYが、メジャーデビューから25年を経て発表した最新シングル。

 

1999年にX JAPANYOSHIKIさんプロデュースのもと、『ゆらめき』『残 -ZAN-』『アクロの丘』の3枚のシングルを同日発売することでメジャーデビューした彼ら。本作はそのデビュー日をそのままタイトルに冠し、表題曲3曲をリレコーディングした内容となっています。

 

一時期「残」「羅刹国」「OBSCURE」など、過去の楽曲を大きく形を変えて、狂気性を大幅に増したエクストリームナンバーにリメイクしていましたが、本作に収録された楽曲群は、そこまで様変わりしているわけではなく、概ね原曲の姿を踏襲したアレンジに仕上がっている印象です。

 

フィジカル音源としての前作『PHALARIS』では、ヘヴィで狂気的でありつつ、深淵な世界観がどこまでも広がっていくような味わい深い傑作でしたが、本作の音はそこまでがっちり作り込まれている感はなく、良くも悪くも初期のヴィジュアル系ロックの色が表出しています。バンギャの方にとってはこういう音の方が馴染みやすいのかな。

 

僕個人としては唯一無二の孤高のヘヴィロックを貫いた作風の方が好きなんですが、本作のような音も、これはこれで肩肘張らずに聴きやすい。聴く上での消費カロリーは少なめで済むかと。

 

M1「ゆらめき」とM3「アクロの丘」は、原曲の雰囲気を強く残した仕上がり。現在のエクストリームサウンドが定着した彼らが、こういった曲をプレイするのは何だか新鮮に感じますね。ヴォーカルにヴィジュアル系特有の癖が薄らぎ(無くなったわけではない)、M3については途中の語りやラスト1分くらいの静かなパートが無い分、結構聴きやすくなりました。

 

M2「残」は、バッキングのサウンドはヘヴィさの少ない、初期の頃を思わせるような感じですが、ヴォーカルパートは近年の京さんらしい狂気的な歌い回し(叫び回し?)で占められていて、ラストのサビは低音グロウルも登場。初期の「残 -ZAN-」と、リメイク後の「残」を折衷させたような具合ですね。ヴォーカルが若干引っ込んだように聞こえるのが気になりますが。

 

全体的に、ヴィジュアル系時代が好きだった人向けのアレンジが施されているので、『UROBOROS』以降の圧倒的な個性とオーラを纏った姿が好きな人(僕もそっちです)には、ちょっと軽いと感じちゃう出来かもしれませんね。

 

この作風については、メジャーデビィー当時の姿をある程度再現するという目論見があってのことだと思われます。早くも発表された次なる新曲「The Devil In Me」は、現在の彼ららしさを煮詰めた楽曲になるのでしょうか。それとも本作の「残」のような、過去と現在を融合させたような形になるのでしょうか。

 

 

個人的に本作は

"過去のヴィジュアル系ロック路線を、大きく変化させずに現代に蘇らせた一作。強めの癖が和らいだこともあり、全体的に聴きやすい仕上がり"

という感じです。

 


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