ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

DARKNESS EVERYWHERE 『To Conquer Eternal Damnation』

 

先日ディスクユニオンに行った際に、まったく事前情報無しで購入したアルバム。この時代にほぼ試聴も無しでCD買うヤツなんて、かなり少ないんだろうな。

 

このDARKNESS EVERYWHERE、アメリカで2020年に結成され、本作が1stフルアルバムであるというかなりキャリアの新しいバンドです。

 

ただメンバーについてはまっさらな新人ではなく、ギターヴォーカルを務めるベン・マレーは、LIGHT THIS CITYでドラムを担当しており、ギターのキャメロン・スタッキーは、Crepuscleでもギタリストとして在籍しているようです。そして、本作の曲作りはこの二人が中心になっているらしい。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

LIGHT THIS CITYはメロデスメタルコアの要素が織り交ぜられたような感じ、Crepuscleは透明感ある北欧系メロデスといった趣でしたが、このDARKNESS EVERYWHEREは、その二組とはまた異なる音楽性を志向しています。

 

カリフォルニアなんていう、アメリカ西海岸出身のバンドではありますが、そのスタイルはもはや完全に北欧メロディックデスメタル。それも、キーボードを効果的に使った冷気を感じさせるものではなく、叙情的な泣きをリフに込めたギター中心のオールドスクールメロデス

 

本当に「メロディックデスメタル」としか形容できないサウンドで、彼らならではの個性みたいなものは皆無と言っていいかも。切れ味を持ちながら哀愁をしっかり湛えたリフが刻み込まれ、バッキングで唸るようにメランコリックな旋律をダダ漏れにするリードと、様々な楽曲パターンが開発された現代において「これがメロディックデスメタルだ!」と言わんばかりの王道を貫く。

 

もう最初のM1「Retaliation」の出だし数秒のリフを聴いた時点で、「あ、これは良いメロデスだな」と確信しましたからね。そこで抱いた期待を決して裏切らない曲が、ここからず〜っと続きます。

 

もう一つ、本作について特筆すべきことといえば、収録時間の短さ。普通のポップミュージックと比べて、1曲ごとの時間が長くなりがちなメタルでありながら、なんと全10曲で27分。ほとんどの曲が2〜3分台でまとまっていて、最長でも3分15秒。どこのメロコアバンドだ。

 

この短さをもって「物足りん!」と感じる人もいるかもしれませんが、元々パンク・メロコア上がりのリスナーである僕は、長尺の曲やアルバムを好まないクチなので、短くまとめて聴きやすくしてくれているのはむしろありがたいかな(まあ、もう少しボリュームがあってもいいとは思いましたが...)

 

中盤のM5「A Dreaded Eclipse」が、アコギによる静かなインストで(これもまたメロデスアルバムらしい悲し〜い調べが素敵)それ以外は王道ド真ん中。適度にアグレッシヴで、泣きながら勢いよく駆け抜ける潔い楽曲群が気持ちいい。

 

全曲良いですが、特に気に入ったのはM7「The Final Descent」。頭から爆走するドラムと泣きのトレモロリフが炸裂し、曲中は澱みなくメロディアスなギターが泣きまくる!ラストで聴けるギターソロもまた劇的でイイですね!

 

そこから続けざまに、メロディックなギターがバッキングで舞いまくるM8「Into The Unknown」、メロウなハモリを効かせたギターが終始鳴り止まないタイトルトラックM3「To Conquer Eternal Damnation」も良い。というか、もう全曲良い。どこを切っても泣き泣きギターのオンパレードだから。

 

今年の始めに出たUPON STONEの『Dead Mother Moon』も古き良きメロデスを今に鳴らして、さらにNightrageやDark Tranquillityメロデスらしいメロデスアルバムをリリースして、なんだか2024年はオーソドックスなメロデスの動きがすごく感じられますね。いったい何が起きているというのか。

 

本作は国内盤リリースはされておらず、バンドもまだまだ無名な方かもしれないですが、メロデスファンなら絶対良いと思えるサウンドを貫いています。個人的には今年の掘り出し物でした。

 

 

個人的に本作は

"叙情的ギターリフ/リードギターが主役を張る、王道のオールドスクールメロデス。悲しき泣きのメロディーの完成度が非常に高い"

と言う感じです。

 


www.youtube.com