アルバムを2作連続全米No.1に送り込み、新世代メタルコアの一派から完全に世界トップクラスのヘヴィメタルバンドへと成長を遂げたAVENGED SEVENFOLD。
リードトラックのMVの公開こそあったものの具体的な事前告知は一切なしで急に発売するという、Hi-STANDARDの16年ぶりの新作と同じような方法でリリースされた7thアルバムです。
前作『Hail to the King』はダイナミックな疾走パートがごっそりと抜け落ち、メタルコアやメロディックスピードメタル的な展開を廃した、より普遍的なHR/HMサウンドに近づいた作風でやや賛否両論だったようです。僕はあれはあれでカッコイイへヴィメタルアルバムだと思っていてそれなりに良い作品であると感じていますが、やっぱり以前の彼らの音に息づいていたダイナミズムは薄れておりやや地味な作風であるとも思ってました。
それに対して本作はどうでしょう。劇的な展開、スピード感がしっかりと盛り込まれているではありませんか!!
まず先行公開されたM1「The Stage」からして名曲。「Critical Acclaim」を彷彿させる怪しげな出だしからピロピロギターが炸裂し疾走!リズミカルかつへヴィなリフにM・シャドウズの毒の含んだ男らしい歌い回しが乗っかり、ギターがダイナミックに乱舞する・・・。これぞA7Xの真骨頂!素晴らしい!!相変わらずギターソロの哀愁が強くてイイですね・・・。途中の物静かなパートの美しさも聴きどころ。
その後も淡々と進みつつ、メタルコア的なヘヴィリフでゴリゴリ攻め立てるもメロディアスな疾走パートが随所に顔を出す構成の曲が続き、ダレを感じさせないのはさすがといえますね。特にM3「Sunny Disposition」M4「God Damn」M7「Simulation」の疾走パートなんて身震いするほどカッコイイ。
M4のシャドウズの「アァオ!!」のシャウトに続きうねりまくる疾走ギターリフが展開されるトコが特にお気に入り。途中のクリーンギターもメランコリックでたまりません。ホントアメリカのバンドとは思えんメロディーセンスに驚かされるばかりです(しかもこれが本国で売れている)。
M7のいきなり疾走しバックでピロピロギュワンギュワン鳴り狂うギターとシャドウズのアグレッシヴなヴォーカルが重なるパート、もうこんなの反則でしょ。シビれますよこんなの。テンション上がるに決まってる。その後の暴れ狂うギターソロもイイ!
後半に置かれたストリングスが非常に美しいバラードM9「Roman Sky」も素晴らしい出来。歌メロもバックのクリーントーンのギターも非常にエモーショナルで美しく、文句なしにドラマチックな名バラードで心に染み入りますね。この曲もまた後半の泣き泣きギターソロがマジでヤバい・・・!
そして本作のドラマチックさの極限とも言えるのがラストの15分越えのM11「Exist」。静かな入りからリードギター、ザクザクのリフと共に疾走、その後しばらく穏やかで荘厳な雰囲気を醸し出し、クリーンギターと切なげなヴォーカルによるバラードパートを展開、そんでもってラストに向かって語りと共にまた疾走という忙しない、様々な彼らの側面をブッ込んだ楽曲となっており非常に興味深い大作です。
何度も言うように本作はギターが素晴らしく良くて、ここぞというところで泣きのエモーションに満ちたテクニカルなギターソロを披露してくれます。それが劇的な疾走パートと交錯するわけですから悶絶モノです。全体的にかなり満足度の高い作品になりましたね。欲を言えばドラムの音作りをもう少し重くしてほしいのですが・・・。まあもともと音作りが重厚なバンドではありませんでしたが。
前作がダメだった人も今回は気に入る可能性大だと思うのですがどうでしょう?
ちなみに本作のチャート順位は全米4位で十分好成績ではあるものの、3連続No.1は惜しくも逃してしまったようです。う~~ん残念。
M1 「The Stage」 MV
8分以上の楽曲ながら退屈させないドラマチックな構成力が見事