彼らのライヴ感想を書いた後、昔の音源についても触れてみたくなったので、2009年に発表された記念すべき1stアルバムを取り上げてみます。
完全セルフプロデュースで制作されたという本作、まだメンバー全員20歳前後ということもあり、音質やヴォーカルなどはまだまだ垢抜けない感じはあります。ただこの時点ですでにアンダーグラウンドのシーンではライヴが話題になっていたらしく、本作発表の同年にはLOUD PARKに出演するなど、シーンでの注目度は高かったことが伺えます。
そしてその理由は音を聴けばわかりますね。今の彼らと比べて垢抜けない雰囲気とはいえ、アイデンティティであるエレクトロサウンドとヘヴィサウンドの融合はこの頃からしっかりと確立。さらに今ではあまり見られなくなった叙情系メタルコアの要素が前面に押し出されて、ギターフレーズにメロデス風味の旨味が冴えわたる。
トランスやレイヴっぽいサウンドが多いもののダンサブルになりすぎずに、あくまで楽曲の骨格はモダンなメタルコア。そこにデジタルな要素が絡んでくる使い方をされていて、あまりデジタルサウンドを好まない僕でもほとんど違和感を感じることなく曲に没頭できる。
イントロに続くM2「MIRROR」はそんな彼らの音楽性を端的に示し、かつドラマチックな展開と攻撃的なビートダウンを同居させた名曲。そこから続くM3「BLUE」も、メロデスチックな叙情リフと共に疾走しつつ、ひと際電子音も目立つパートが印象的なメタルコアナンバー。
M4「FICTION IN HOPE」は初っ端からメタルコアらしいメロディアスなギターと気合の入ったシャウトで出迎え、不穏なキーボードが緊張感を高めつつ、ハードコアモッシュで大暴れできそうなビートダウンも登場。哀愁のあるメロディーを際立たせたシンセが特徴的なM6「VOICES」もドラマチックで良い。
M7「K」は本作で唯一クリーンヴォーカルがしっかりと使われた楽曲ですが、今と違ってクリーンの上手さ、表現力はまだまだ不足気味かな?メロウな哀愁を放ったままアグレッシヴに展開するギターリフは相変わらず良いですね!切ないクリーンギターからシャウトで一気に盛り上がるクライマックスはなかなかに劇的。
エレクトロニコアの要素も強いとはいえ、それ以上に真っ当な叙情メタルコアとしての側面が色濃い一枚。今の彼らも充分に魅力的だと思うし、基本的に「昔は良かった」的な事ばっかり言うリスナーはあまり好きじゃないんですが(笑)、今の彼らにはあまり感じられないメタルコアとしての矜持がしかとある本作の方向性を貫いてほしかった気持ちは強いかも。ここ最近のCROSSFAITHがあまり気に入らない人の気持ちは否定したくないですね。
しかしこれ以降は叙情的な要素は失われていく代わりに、ヴォーカルや音質は洗練されていく彼らですが、音楽以上に見た目の洗練され具合がスゴイですよね。だって......
これがこうだもの
昔のKoieさんの表情何?どこ見てんの?
個人的に本作は
"エレクトロニカとしてのアイデンティティは持ちつつ、ドラマチックなメロディックメタルコアを貫いた一枚"
という感じです。