メタル大国フィンランド出身の実力派ヘヴィメタルバンド・BATTLE BEASTの4thアルバム。
発売前、正直なところ本作には期待より不安の方が勝っていました。
というのも前作『Unholy Savior』リリース間もないころにギタリストのアントンが脱退してしまっていたからです。アントンはバンドのメインコンポーザーであり、元ACCEPTのウドのようなダミ声シャウトを駆使してバンドの個性に貢献していただけに、そんな中心核を失っては楽曲のクオリティーが下がっちゃうのではと危惧していたのです。
ただバンドとしての地力は確かなものがあるであろうと思われるだけに、少しの期待感も持ち合わせて本作を購入。そしてアルバム冒頭のM1「Straight to the Heart」M2「Bringer of Pain」の2曲を聴いた時点で僕の不安はたちどころに払拭されました。
BATTLE BEASTは何も変わっちゃいねえ!!彼ら以外の何物でもないアルバムだ!!
心の中のガッツポーズがとまりませんでしたね。
前作からの流れを汲んだ、古き良き正統派メタルのサウンドを響かせながら、キーボードの音色がどこか近未来的な新しさを感じさせる安心安定のBATTLE BEAST流へヴィメタルは本作でもバッチリ健在。アントンいなくてもやればできるじゃん。
上記した名曲2連打のあとにサビのシンガロングのノリの良いリズムが心地よいミドルチューンM3「King for a day」が続き、しなやかで美しくも力強い、非常にキャッチーなサビが映えるM4「Beyond the Burning Skies」、彼らお得意のポップなミドル曲ながらノーラの攻撃的なヴォーカルパフォーマンスも目立つM5「Familiar Hell」とアルバム前半の流れが秀逸で文句なしに楽しめます。
ただその分中盤からメタル度の薄いポップナンバーやミドルチューン、バラードが続き、ややテンションが落ちてしまうのが弱点と言えるかもしれません。もちろん曲自体は良くできており、ノーラの女性らしい綺麗な歌い回しによりキッチリ聴かせるクオリティーに仕上げているのはさすがですが。
またこれは前作にも言えることなのですが、ギターのへヴィさ、ソリッドさが初期に比して少し落ちているように感じられるのも個人的な感覚ではちょっとマイナスですかね。キーボードのアレンジが良質なためそこまで大きく気になる点ではないものの、M2やM3、M13「Rock Trash」とかのギターリフはかなりカッコイイだけにちょっぴりもったいなく感じました。
あと仕方のないことですがアントンのあのウド声コーラスが無いのも寂しいですね・・・。ノーラの金切りシャウトも全体的に控えめだし。
・・・とまあ色々述べましたとおり、アルバム全体として満点を付けられるとはちょっと言い難いものの、メンバーチェンジの影響をあまり大きく感じさせない従来のBATTLE BEASTワールドはしっかり堪能できる良作であると思います。
M2「Bringer of Pain」 MV
個人的に本作のベストチューン。非常にキャッチーかつスピード感のある名曲。ギターソロも糞カッコイイ。
M3「King for a Day」 MV
M5「Familiar Hell」 MV