ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

SUM 41 『Order In Decline』

SUM 41 『Order In Decline』

今年のDowlnload Festival Japanでのアクトも記憶に新しい、カナダ出身のパンク・メタルバンドによる3年ぶりの7thフルアルバム。

 

ヴォーカルのデリックが全プロデュースを手掛けたという本作、「バンド史上最もヘヴィでアグレッシヴな作品」という触れ込みどおり、メタリックな演奏がかなり押し出されています。そりゃあ国内盤の帯にも「メタル・パンクロックバンド」と書かれるわけだ。

 

一般的に彼らの代表作とされる『Does This Look Infected?』『Chuck』はまさしくパンクとメタルの融合と言うべき音ですし(後者に至ってはメタル要素の方が濃いくらい)、やはり彼らにとってメタルという音は切っても切れない重要なファクターであることがわかります。

 

本作の持つ雰囲気としては『Chuck』に近い所があり、概してダークでシリアス、そしてヘヴィメタリック。デリックが精神的に苦しい時期を経験してきただけに、もはや初期のようなアホさ全開のポップパンク路線には舵を切れないのでしょう。オープニングのM1「Turning Away」におけるイントロ、および歌い出し時の歌唱なんて、とてもかつて宿泊先のホテルの窓からテレビをブン投げるようなマネをしていたバンドのものとは思えないほどアーティスティック(笑)

 

個人的には軽くて明るいパンクより、重くてシリアスなメタルの方が好きなのでこの方向性は望むところなのですが、純然たるパンクキッズの評価は分かれるかもね。

 

彼らももう年齢を重ねたので、さすがに全盛期のような有無を言わさぬ勢いとテンションの高さは控えめなものの、メタリックな速弾きが連発されるキャッチーなパンクナンバーはやはりさすがのカッコよさ。M2「Out For Blood」、M4「A Death In The Family」はアグレッシヴなリフとシャウト、キャッチーな歌メロと共に疾走するキラーチューン。

 

そしてM9「The People VS...」は『Does This Look Infected』収録曲を彷彿させる、待ってましたのストレートな高速メタリックパンク。細かく刻まれるリフと速弾きソロ、モッシュと合唱が巻き起こるのが容易に想像できるサビが熱い!

 

とはいえ「Still Waiting」や「Mr. Amsterdam」といったかつての名曲が持っていた"得体の知れないパワー"はどうしても控えめに聴こえてしまうのですが、これはもうしゃーないと割り切ろう。

 

疾走感を抑えたミドルチューンが集まる中盤は決して悪くはないと思うもののやや退屈で(バラードのM7「Never There」は良い)、この辺の楽曲をもっと魅力的にすることが現在の彼らの課題と言えるかも。

 

全盛期の輝きを完全に取り戻したとは言い難いものの(この辺は思い出補正がどうしても絡んでしまいますが)、キャリアを積んだバンドの円熟味と安定感、パンクらしい荒々しさはしかと感じさせるアルバム。ただ前作『13 Voices』と合わせて聴いてみて、今後さらに一皮むけたはっちゃけっぷりを見せるのは難しいかな...と思ってしまったのも事実。

 

M2「Out For Blood」 MV

 

M4「A Death In The Family」 MV