ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BIGWIG 『An Invitation To Tragedy』 (2001)

BIGWIG 『An Invitation To Tragedy』

先日Hawaiian6の新譜感想をアップしたあと、ちょっとパンク関連の作品について触れたくなり、この記事を書きました。

 

昔はメタルとパンクは水と油で、それぞれのファン同士のケンカがライヴハウスで絶えなかったらしいということを聞いたことがあります。

 

しかし今ではそのしがらみも薄れたためか、メタル側はハードコアパンク的要素を取り入れたメタルコアが生まれ、パンク側ではメタリックなギターサウンドを導入するバンドが増えています。

 

メタル色のあるパンクバンドと言えば、ギタリストのデイヴがいたころの(最近復帰したみたいですが)SUM 41、STRUNG OUTTHRICEなどが有名でしょうかね。もうちょっとマイナー所(と思われる)だと、A WILHELM SCREAM、MUCH THE SAMEとかかな?

 

そしてここに挙げるアメリカはニュージャージー出身のBIGWIGも、そんなメタリック・パンクロックの一派と言える音楽性を持つバンドです。

 

曲調そのものはアメリカらしい、勢いのあるメロディックハードコア。ヴォーカルとシンガロングもがなるような王道のパンクスタイルで、上手さ・整合感よりも荒々しさ・うるささ重視のもの。いかにも血の気の多いパンクロックって感じなのですが、演奏に耳を傾けてみると、パンク的な荒さがありつつも音作りはメタリックに仕上げられていることがわかります。

 

M1「Waste」からいきなり派手なリードギターと共に、ヤケクソな勢いで全力疾走!ヴォーカルメロディーはパンクのそれなれど、ソリッドに研ぎ澄まされたサウンドはすこぶるタイトで適度なヘヴィさを持ち合わせており、ポップパンクではなかなか聴けないほど重厚感に満ちています。

 

ズンズン響くベースとバスドラ連打、緊迫感を高めていくギターから一気にタカが外れたように爆走するM2「Sink Or Swim」がまた凄まじい攻撃性を持ったキラーチューン。テクニカルで熱いギターが唸り、狂乱のモッシュが想像できるAメロから熱い熱い。サビの「ウォーオーオーオーオーッ!!!」のシンガロング、「Sink or swim! Go!!」の掛け声からリードギターが飛び出す中盤なんか、身震いするほどのカッコよさ!こんなんやられたらパンクキッズの魂は燃え盛るに決まってる。

熱い!熱い!!熱い!!!

 

M4「Moosh」、M8「Hope」などややノーマルなメロコアナンバーも収録されてはいるものの、基本線は硬派でタフな爆走メタリックパンク。ザクザクのギターリフ、バキバキのベース、手数多く暴れまわるドラムがアグレッシヴ極まりないM5「Thinking The Head」や、ヘヴィなリフが刻まれた後、勢い任せながらもテクニカルなギターが舞い、ダークなムードを纏いつつガムシャラに突っ走る、最もスピード感とメタル色の濃いM6「Mr. Asshole」(何てパンクらしい曲名!)などが目立つキラーチューンですかね。

特にM6は前述のM2と合わせて最も好きな曲です。守りになんか回らない、攻撃力100%の疾走感がたまんなくカッコいいのです!!

 

パンクらしく収録時間はほとんど2~3分台だし、ほぼすべて疾走曲であることもあって、サラッと聴くことができてあまり聴き疲れを誘発しないのもいい・・・と言いたいところですが、このブチ切れたアグレッション満載の楽曲群を一気に聴き込むと結構疲れちゃうかもしれませんので、途中のポップな楽曲で適宜イキリ立った魂を沈めながら聴くことをお勧めします(笑)

 

しかしこれほどまでカッコいい音を鳴らしておきながらイマイチ注目されている感がなく、アルバムも2006年以降出ていないようです。ライヴはここ最近でもちょいちょいやっているみたいですが、YouTubeで映像を見る限り、あまり規模の大きいライヴではなく、中にはほとんどモッシュすら起こっていないようなものまで・・・。なぜだ!?こんなにも熱く激しい曲をやっているのに!!?

 

本国はもちろん日本でも注目を集められるポテンシャルはありそうなだけに何とももったいないバンドです。

いやもしかしたら僕が知らないだけで、ガンガンライヴやってお客さん呼んでいるのかもしれませんが、だとしたら公式サイトくらいちゃんと運営してほしいなぁ・・・。でもSTRUNG OUTディスコグラフィーとかもほったらかしにされているみたいだし、アメリカのこの手のバンドって案外みんなこうなのか?でもこのバンドにいたってはMVらしいMVもないもんなぁ・・・。

 

まあSUM41とかZebraheadとかGREEN DAYとかNOFXとか、日本でも人気のあるバンドと比較するとかなりハードな音で、ちょっと敷居が高いかもしれませんが、STRUNG OUTPENNYWISEといった硬派でタフなハードコアパンクが好きな人は確実に気に入る音だと思います。

 

M2 「Sink Or Swim」

公式のMVが無いので音源だけアップ。この曲のテンションブチ上げ感は異常です。