ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

POWERWOLF 『The Sacrament Of Sin』

POWERWOLF 『The Sacrament Of Sin』

メロディックパワーメタルという音楽性に分類されながらも、ゴシック要素やシアトリカルな展開すら取り入れた楽曲を武器に、コープスペイントを施し、どこの宗教だと思わんばかりの仰々しいテーマを抱えたドイツのパワーメタルバンド。

 

本国では直近のアルバムがチャートの上位にランクインし、本作もまた第一位に輝いたという大人気っぷりで、作品の出来の良さを考えればその業績もさもありなんと言った感じでしょう。

 

"メタルは宗教"というスタンスを貫き、キーボードによるシンフォニックなサウンドを効果的に用いドラマチックさを演出、歌詞のテーマと合わせるように重厚さと壮麗さを秘めた演奏と、芝居がかったようなアッティラ・ドーンのヴォーカルが重なる。そこへまるで聖歌隊のようなコーラスが加わり、非常にキャッチーでありながら格式高い印象のメロディーを紡ぐ。まさにPOWERWOLF節とも呼べる独自のパワーメタルサウンドが濃密に詰め込まれている充実の作品です。

 

今回はあまり疾走感に頼った作品ではなく(元からそうかもだけど)、ミドルテンポで怪しく、かつ優雅ともいえる雰囲気をまといながら進む楽曲が主となっています。

 

M1「Fire & Forgive」から早速彼らの宗教ムード漂うメロディーがお出まし。"Fire! Fire!"というシンガロングパートを盛り込みながら厳かに展開される楽曲で、一気にPOWERWOLFワールドに引き込まれたら、そこから抜け出すことはできません。マジで教会とか聖堂とかで録音してんじゃないの?って思うくらいの(笑)世界観にドップリと身を浸すことができます。

 

"ウォ~オ~オ~~オオオ~ッ!"というフック満載のコーラスが非常に印象に残るM2「Demons Are A Girl's Best Friend」、美しいピアノと壮麗なシンフォサウンドが際立ち、宗教的なムードを殺さないまましっとり聴かせるバラードのM5「Where The Wild Wolves Have Gone」、呪われた儀式でもやってんのかというほどの怪しさが曲全体を包む、ドイツ語とラテン語で構成された(詩の内容自体はシリアスなものではないみたいですが)M6「Stossgebet」など適度にメリハリを持たせながらも、世界観に一切ブレが無いところが良いですね。曲単体のみならず、アルバム全体のまとまり・完成度の高さを感じます。

 

そして本作最大の聴きどころはやはりタイトルトラックのM8「The Sacrament Of Sin」。本作中唯一と言ってもいいスピードメタルナンバーですが、まさに完璧なまでの超キラーチューン!

 

ここまででも十分にドラマチックに磨かれたメタルチューンの連続だったにも関わらず、この曲のサビの劇的さたるや頭一つ抜きんでており、凄まじい高揚感にただただ圧倒されるばかりです。彼らの神聖さと不気味さが混じり合った世界観もバッチリだし、こりゃ名曲でしょ。アルバムも後半に差し掛かってくる頃にこういった強力な一曲を投じることで、集中力が最後まで途切れることがないようにする構成もナイス。

 

本編のみだけで充分満足のいく作品ではありますが、本作の限定盤には『Communio Luporum』という別タイトルで、EPICAやBATTLE BEAST、HEAVEN SHALL BURNなど様々なバンドたちが、POWERWOLFの楽曲をカバーした音源を収録したディスクが付属しています。

 

これが限定盤のオマケにしておくにはもったいないほどの完成度で、これだけで単一の商品として充分成り立つほど。前作のカバー曲収録のディスクもそうでしたが、サービス精神が凄まじいですね。

 

元々の楽曲の良さとカバーするアーティストの実力の高さにより、どの曲も聴きごたえのある仕上がりになっていますが、やはり元が元なだけにメロディックなパワーメタルをプレイするバンドのカバーがハマっている印象がありますね。BATTLE BEASTとAMARANTHEの曲が特に良かったです。

 

また見事に邪悪なスラッシュナンバーへと変貌した、KREATORのミレ・ペトロッツァとCALIBANのマーク・ゲルツによる「Amen & Attack」もメチャクチャカッコいい。ラストのELUVEITIEによる神秘的でフォーキッシュなアレンジも素敵。

 

本編のアルバム内容からボーナスディスクにいたるまで全く隙の無い名盤!

ドイツのメロディックパワーメタルバンドではあるものの、いわゆる日本で人気の高い「メロパワ」「ジャーマンメタル」とはやや毛色の異なる音で、本国の人気に反して日本での注目度はまだまだこれからみたいな印象がありますが、来日して一発スゴイライヴ見せればSabatonのように人気を集められるかもしれません。

 

来年のDownload Festivalとかどうですか?やや異分子になるかもですが。

 

M1「Fire & Forgive」 MV

 

M3「Kill With The Cross」 MV