メタルバンドが「○○メタル」という呼称で紹介されることは多いですが、このWind Roseはドワーフ・メタルらしいです。もうなんでもアリですね(笑)
イタリア出身のキーボード奏者を含んだ5人組で、嘘か誠か初期はプログレッシヴな要素を含んだパワーメタルをプレイしていたらしいですが、現在はプログレという言葉から連想される小難しさは皆無。まごうことなきピュアなフォークメタルのスタイルになっています。
今の今までまったく存在を知らなかったバンドのアルバムって一種の賭けなんですが、このバンドが出す音はなかなか良い。
男らしい低音のコーラス、フォーキッシュなメロディーを優雅かつ雄々しく奏で続けるストリングスで構築されたサウンドは、「勇ましい」という言葉がよく似合う。純粋にフォークメタルとしてのメロディアスさもクオリティーが高いし、ペイガン系のバンドが好きな人ならかなりツボにはまる一枚になるんじゃないでしょうか。
僕はというとそこまでフォークメタル路線にこだわりがないため、アルバム一枚通して聴くとすこし飽きがきちゃうトコがあるのですが、この勇壮さ・男臭さはフォークだ何だという前に、メタルファンとして心をくすぐられますね。ゴツゴツとしたいなたさ、不器用な感じも変にヤワにならないスパイスとして機能していていい感じ。
この手のバンドはメロディックデスメタルやブラックメタルのようなエクストリーム要素を入れるバンドも多いですが、彼らにはエクストリームな印象はあまりない。一部でスクリームやブラストビートが使われるくらいで、基本的にはパワーメタル一直線。それもまた良し。
M2「Wintersaga」はフォーキッシュな情感を浮かべるメロディーに野郎コーラス、シャウトとブラストビートによる勢いも加味されたフォークメタルのド真ん中を突っ切る曲。そこから続くM3「Drunken Dwarves」はメロディーの質感はそのままにさらに疾走感を増す!サビ終わりのやたら気合いが入った"Let's Go!!"のシャウトが熱い!名曲だな!!ドワーフたちが集まり酒を交わしている姿が目に浮かぶようだ。
どこかのアーティストのカバー曲らしいM4「Diggy Diggy Hole」やひと際美しいドラマチックなイントロに息を飲むM7「There And Back Again」など、どの曲も聴きごたえがありますが、全曲同一の方向を向いた楽曲で構成され、しかもそこそこの長さ、テンポの速い遅いこそあれどテンションのふり幅は小さ目であることもあり、ちょっとダレを生んでしまうところはあるかも。曲数は少ないんですけどね。
良くも悪くもフォーク/ペイガン系一色だしヴォーカルもダミ声スタイルなので(これは彼らに限った話じゃないけど)、そういった音に魅力を感じない人もいるかもですが、メロディーの良さはしかとしたものがある。そして野蛮なイメージとは裏腹に壮麗な演奏を聴かせるパートも多いので聴く価値は充分です。パワーメタルファンでも満足できる内容なんじゃないかなあ。
M3「Drunken Dwarves」 MV
この曲が一番好きですね。野蛮で汚らしいMVも最高です(笑)
M4「Diggy Diggy Hole」 MV
何と1000万回再生を突破している。本国じゃかなりの人気者なのかしら