ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ATLAS PAIN 『Tales Of A Pathfinder』

ATLAS PAIN 『Tales Of A Pathfinder』

いよいよ本格的に暑くなってきたなぁ~と思っていたら、あっという間に8月も終わってしまう時期に。令和初年度の仕事も上期が終了し、夏が終焉を迎えようとしている......

 

今年の夏も夏らしいことなどほとんどできなかったな~。サマソニは充分堪能できたのでその点は良いのですが、客先常駐で夏休みもまだとれていない段階。海やら山やらのアウトドアなど無縁の生活ですよまったく。

 

そんなわけで趣味の音楽の中だけでも海に行った気になれるように、ヴァイキングメタルを夏の終わりに取り上げてみます......って、何て強引なつなげ方だろう。

 

ぶっちゃけ飛行船やら汽車やらが描かれたジャケットや、過去作のMVから察するに、ヴァイキング的な世界観を持ち合わせたバンドではないっぽいのですが、まあ音の質感がそれ系なので雰囲気はあるから問題なし!(笑) CDケースにも海図っぽいイラストがあるからな!

 

え?ヴァイキングメタルで夏らしい海のレジャーを連想するのはムリがあるだって?そういうこと言わないの !ヽ(`Д´)ノ

 

彼らATLAS PAINは2013年に結成されたイタリアのフォークメタルバンドで、本作は2枚目のアルバムにあたるらしい。たまたまタワーレコードの試聴機に入っていたのを目撃し、その流れ出る音に惹かれて購入を決めました。

 

音楽性はEquilibriumあたりに近い、フォーキッシュでキャッチーなメロディーをギターとキーボードがかき鳴らし、メロデスっぽいしわがれデスヴォイスが乗るもの。

 

ヴァイキング系の音を出すバンドとして、先日AMON AMARTHが素晴らしい作品を発表したばかりですが、彼らはそこまでの劇的な哀愁はないものの、充分以上にメロディアスな旋律とSabatonのような雄々しいコーラスを武器としており、クオリティーはなかなかに高い。

 

個人的にはこの手のフォーキッシュなメロディーは必ずしも琴線に引っかかるわけではありませんが、ここまで情緒豊かでキャッチーにされると心に響かざるを得ないところです。前半はポジティヴな雰囲気に満ちた、どちらかと言えば陽性のメロディーが目立ち、後半になるとやや陰りを含み哀愁が強くなる印象ですね。

 

イントロから「レディース!エンドジェントルメーーン!ボーイズエンガールズ!!」の掛け声で聴き手のテンションを乗せた後、ポップでありながらドラマチックさを持ち合わせたM2「The Moving Empire」、そこからより力強いコーラスを主軸としたM3「Hagakure's Way」とくる前半から彼らの個性・強みがむき出しになる。

 

ブラスト寸前のリズムにメロデスっぽいサビが乗り、より劇的なリードギターが顔を出すM4「Ódauðlegur」や、辺境の部族の儀式のような出だしから民族音楽ライクなメロディー、アレンジが聴けるM6「Kia Kaha」、さながらシンフォニックメタルのようにキーボードが目立ち豪勢なアレンジを見せるM7「Baba Jaga」など楽曲はどれも粒がそろっており、捨て曲は無い。

 

全ての楽曲においてギターとキーボードがガッツリとメロディーを鳴らしていて、ヴォーカルの他にギターとキーボードも兼任しているサミュエル・フォリジはメロディーメイカーとしてもアレンジャーとしても才能ある人物であることが伺えます(作曲者は別かもしらんけど)

 

アウトロを除いたらラストとなるM9「Homeland」は温かみのあるイントロ、途中のバスドラ連打の疾走パート、ブレイクを挟んだ後の煌めくキーボード、三連リズムとなる寓話的メロディーなど、ポイントポイントで聴きどころを設けているのは良いのですが、11分以上にも及ぶ大作にする必然性はあまりないように感じたかも。個別に分けてくれた方が個人的にはより嬉しかったかな?

 

フォーク/ヴァイキングメタルファンや、民謡的クサさを持ったメロディーを好む人にとってはかなり高い完成度を誇る作品になっているのではないかと思います。ギャウギャウ喚くタイプのヴォーカルに抵抗がないメロディックメタルファンには何かしら響くはずではないでしょうか。

 

M2「The Moving EmpireOfficial Lyric Video

 

M3「Hagakure's Way」 MV