ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Slipknot 『We Are Not Your Kind』

Slipknot 『We Are Not Your Kind』

遂にヤツらの新作が来ましたね。アイオワが生んだヘヴィロックモンスター集団による5年ぶりのニューアルバム。

 

今年に入りバンドのヴィジュアル面やライヴパフォーマンスにおいて大きく貢献していたパーカッションのクリスが脱退(解雇?)するという事件に見舞われるも、マスクを一新し(コリィのマスクはだいぶカッコ悪くなった気が.../笑)無事に届けられた新作は全米チャート1位は当然として、各国のチャートでも軒並み上位を獲得。日本のオリコンチャートでも二週連続でトップ10入りのヒットを飛ばしました。

 

いくら初期と比較してキャッチーで聴きやすくなったとはいえ、これほどまで憎悪に満ちた過激な音楽がヒットするとは、改めてすごいことですね...。

 

どれほど人気が出ようとも決してクソヘヴィ・クソラウド・ややメロディアという基本線は逸脱してこなかった彼らだけに、メンバーの脱退劇をの経ても音楽性は一切変化なし。不気味で不穏、かつ激しくて狂気的で破滅的な過去作の作風を完璧に継承しています。

 

ニューメタル的なヘヴィさを持ちながらもメロディアスな旋律も奏でるギター、カンカンした特徴的なパーカッション、縦横無尽に暴れまくるドラム、強烈な怒りを発散させるデスヴォイスに、素晴らしくエモーショナルなクリーンヴォイスと、近年の彼らに求められるものが充分備わっている作品と言えるでしょう。前作『.5: The Gray Chapter』が気に入った人であれば、期待を裏切られる出来ではなさそう。

 

イントロから続くM2「Unsainted」はコリィお得意の早口デスヴォイスによるまくし立ての後、荘厳な雰囲気すら漂わせるドラマチックなサビが強烈なキラーチューン。大サビで重なるコーラスも良い!そこに至るまでのブラストビートがやけにポコポコ軽いのは気になりますが...

 

アルバム前半の楽曲が非常にカッコよくて、M5「Nero Forte」、M6「Critical Darling」は凶暴さとキャッチーさのバランスが絶妙で実にSlipknotらしい。終始怒り狂っていると思いきや、サビの豊かなメロディーでハッとさせられるのはSlipknotあるあるだと思います。

 

M8「Red Flag」はクリーンを封じてシャウトのみで構成した、緊張感と怒気に満ち満ちた超強力な一曲!何か曲中のSEがウルトラマンのカラータイマーみたいなんだけど(笑)、急き立てられるようにアドレナリンが噴出してしまう。

 

そしてアルバム後半は前半までのわかりやすいアグレッションはやや鳴りを潜め、ドロドロとして不吉な、彼らのダークな側面が強調されたような楽曲が目立つようになります。

 

その最たるものがM12「My Pain」~M13「Not Long For This World」の並びで、どちらも6分以上の尺において、暗鬱とした雰囲気をず~っと引きずっている。後者は途中激しいバンドサウンドが顔を出したりするものの、それでもわかりやすいアジテーションより不穏なムードが強い。

 

いかにバンドが売れようとも未だにダークで気味悪い曲を作り続けるのは世間に媚びてなくて良し!なのですが、やはり長尺で続けられるとやや冗長な感は否めませんかね。続くM14「Solway Firth」もどちらかと言えば""よりも""な印象だし。

 

ただボーナストラックのM15「All Out Life」を含めて70分近い収録時間になるのですが、それでもアルバムトータルでみると聴き疲れやダレをそれほど感じないのは、箸休めのインストを挟みつつ進められる作品全体の構成の上手さによるものなんでしょう。メンバーたちの「アルバムという一つの作品単位で体験させる」という目論見がうまくいったのかな?まあ個人的にはもう10分くらい削ってもいいような気もしますが(笑)

 

1stと2ndにおける"音の暴力"とも言うべきタカが外れたような凄絶さはさすがにもう望めないものの、今のSlipknotらしさをしっかりと詰め込んだ良作であると思います。

 

M2「Unsainted」 MV

これぞSlipknotと言うべき名曲ですね。

 

M14「Solway Firth」MV

一応グロ注意?