ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

IRON SAVIOR 『Kill Or Get Killed』

IRON SAVIOR 『Kill Or Get Killed』

楽曲のクオリティー的には一切引けを取らないものがあるのに、どうも他のジャーマンメタル勢ほどの人気を得られていないような気がする漢の中の漢のメロパワバンドの最新作。2016年には待望の初来日公演が行われ僕もその場にはせ参じ、屈強なパフォーマンスを体感したのも記憶に新しいところです。

 

その時の編成からドラマーが一人変更しているようですが、このバンドの中核であるピート・シールクがいる限り、音楽の基本的な方向性は一切変わらないでしょう。

 

力強く、土臭い哀愁を漂わせた男の美学溢れる正統派パワーメタルをこれでもかというほど徹底しており、過去作が気に入った人なら今回も安心。Primal Fearといい、ACCEPTといい、ドイツ産の正統派要素を持ったメタルバンドの質実剛健っぷりはすさまじいものがありますね(90年代のACCEPTは置いといて/笑)

 

キャッチーなパワーメタルを求める人ならば、出だしのM1「Kill Or Get Killed」で初っ端からヤラれること確実。メロディックリードギターによるイントロ、バスドラ連打の疾走感、ピートによるゴツゴツしたヴォーカル、合唱を誘う壮大なサビ、まさにIRON SAVIOR節と言える、ハイスピード・ヘヴィメタルのお手本のような楽曲。

 

M2「Roaring Thunder」、M3「Eternal Quest」はヤケクソ気味の疾走感は抑えつつ、正統派メタルの旨味を濃縮した剛直なリフが響き渡る、アップテンポ・ヘヴィメタルのお手本のような楽曲。

 

M4「From Dust And Rubble」、M5「Sinner Or Saint」はややテンポを落としたからこそより伝わるパワー、ズンズン迫ってくるようなリフとメロディアスなギターソロが魅力的な、ミドルテンポ・ヘヴィメタルのお手(以下略)

 

モッシュやサークルピットのノリが一切そぐわない、メロイックサインを掲げてヘッドバンギングをすることしかできないTHE・パワーメタル!まさにメタルヘッズのための音楽!熱いぜ!

 

これほど純度100%、交じり気の無いメタルを安定した高いクオリティーで量産できるバンド(というかピート・シールク)ですら、生活のために普通の仕事をしなければならないとは、正統派メタルの商業的な立ち位置はやはり厳しいんですね...。ACCEPTがドイツのチャートで1位とれるのだから、このバンドももっと売れていいはずなのですけどね。

 

やはり他のジャーマンメタルバンド(それこそHELLOWEENとか)と比べると、男臭すぎてサウンドに愛想があまりないのがイマイチパッとしない原因だったりするのかしら。個人的にはその硬派さこそIRON SAVIORIRON SAVIORたらしめていると魅力だと感じているのですが。

 

メロパワ的疾走感とわかりやすさを持ちつつ、正統派メタルの矜持も忘れていない、そしてM1やM7「Heroes Ascending」のようなヒロイックで高揚感溢れる曲はもちろん、M8「Never Stop Believing」のようなキャッチーさを際立たせた曲(それでもだいぶゴツイけど/笑)もお手の物という実力者なので、もっと多くのメタルヘッズの心に響いてほしいと思います。

 

ちなみに本作のスペシャルエディションには、カバー曲や既存の曲のバージョン違いなどが収録されたボーナスCD付き。中にはHELLOWEENの前身バンドであるGENTRY時代の激レア音源までも存在していますが、この手のレア音源や別バージョン音源にさほど惹かれない身としては、まああれば儲けモンくらいな感じです。

 

M1「Kill Or Get Killed」 MV

 

M3「Eternal Quest」 Official Audio