ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Nightrage 『Wolf To Man』

Nightrage 『Wolf To Man』

OZZY OSBOURNEのギタリストとしても活躍していたガス・Gが在籍していたことでも知られる、ギリシャ出身の(活動の拠点はスウェーデンらしいですが)メロディックデスメタルバンドの8thフルアルバム。

 

僕は1stの『Sweet Vengeance』こそ持っているものの、他のアルバムは聴いたことが無いため、彼らの楽曲にはほとんど触れていません。リアルタイムで聴くのは本作が初となります。

 

デスメタルライクな何とも言えないおどろおどろしさ、禍々しさを醸し出すジャケットに惹かれ購入してみましたが、これがかなりレベルの高い代物で驚きました。

 

メロディックデスメタルというジャンルは、それこそ今年アルバムを出したIN FLAMESChildren Of Bodomのようなモダンなスタイルのバンドも多く(IN FLAMESはもうメロデスではないけど)、メタルコアやポストハードコアに近い音楽性を持つバンドもいます。

 

もちろん僕はそういったバンドも好きではありますが、それはやっぱり万人が認める正しきメロデスの姿とは違うものでしょう。

 

しかし本作はそんなモダンなスタイルへの色気などは皆無。とにかくひたすらにメロディックデスメタルというスタイルを突き詰め、過度にブルータルな要素も、クリーンによる歌唱も、異ジャンルの音楽性も取り入れていない(バックのコーラスとしてうっすらクリーンヴォイスが聞こえるトコもあるにはありますが) まさに"メロデス"という言葉を聞いて頭に思い描く音を再現していると言えるかも。

 

近代のエクストリームメタルのように過激になりすぎず、全体的に疾走感もほどほど。ガムシャラなまでのアグレッシヴさはないため、そこに物足りなさを覚える人もいるかもしれません。

 

しかし全曲に渡って響き渡る、この悲しみに満ちた慟哭の旋律!これが非常にドラマチックに胸を打つもので、デスメタルにおける泣きとは何かを完璧に描き出しているのです。この確実に琴線に触れてくる感傷的なメロディーの完成度は並みではない。

 

M1「Starless Night」のイントロからもうすでに尋常ならざる悲しさを湛えていますが、ここからメロデスの旨味を濃縮した慟哭リフとサビ裏で紡がれるリードギターがさらに心に追い打ちをかける。

 

特にM3「Embrace The Nightrage」~M4「Desensitized」~M5「God Forbid」~M6「By Darkness Drawn」の4連打!これらの曲で聴けるリードギターが哀愁バリバリでマジにたまらない!これぞまさしくメロディックデス!

 

テクニカルな速弾きに一切頼らない100%メロディー重視のプレイも潔くて最高ですし、時折挟まれるクリーントーンやアコギの音色も切なさの増強に一役買っていますね。M4なんかメロデス時代のIN FLAMESみたいだ。

 

いや、でもホントにイエスパー在籍時のIN FLAMESにだって負けてないんじゃないですかこのギターは。アグレッシヴな曲から、勢いを抑えた曲、静かなイントロにアルバムを締めくくるアウトロに至るまで、抜かりなく激情のメロディーを紡ぎ続ける様が何とも素晴らしいではありませんか!

 

ジャンルやスタイルの細分化が進みまくった現代において、「何がモダンだよ、これがメロデスだ」と言わんばかりに叩きつけられた、混じりっけなしのメロディックデスメタルアルバム。哀愁・慟哭・激情を愛するメタルヘッズは是非とも聴いて感動と共に咽び泣くべし。

 

M3「Embrace The Nightrage」 Official Lyric Video

 

M6「By Darkness Drawn」 MV