今年のEVOKEN FESTにて来日が決定しているALESTORMの中心人物のクリストファー・ボウズが新たに結成したバンド...のはずですが、日本においては何となくこちらの方がメインというか、注目度が高そうな気がするGLORYHAMMER。
前作『Space 1992: Rise of the Chaos Wizards』にて話題となった宇宙をテーマとしたブッとんだMV、メンバーのいで立ちからはいかにもイロモノ臭が漂ってくるのですが、楽曲のクオリティーとバンドの実力は紛れもなくホンモノ。単なる面白バンドには終わらない存在であることは周知の事実です。
そしてその世界観も、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに死ぬほど胸を熱くした僕からしたら望むところの方向性です(笑)
そんな彼らの最新作、当然ながら音楽的な方向性もクオリティーも不変で、どこか近未来的な雰囲気を漂わせるシンセを効果的に用いつつ、パワーメタルとしての勇壮さを存分に演出した楽曲が並んでいます。
Rhapsody Of Fireに通じるようなシンフォニックサウンド(もちろん全盛期のような本格的なものではありませんが)でドラマチックにバックの演奏を彩り、そしてヴォーカルメロディーはPOWERWOLFのように大仰に盛り立てる。疾走感に頼りすぎずに壮大な世界観を表現しており、その曲作りのセンスがうかがえます。
そして疾走しすぎないからこそ、M5「Power Of The Laser Dragon Fire」のような疾走曲が始まった時の興奮がより引き立つ!メロディー自体も相変わらずコンセプトに負けず劣らず劇的で、サビなど熱く拳を握りたくなること間違いなし!カッコいい!!そこから続くM6「Legendary Enchanted Jetpack」もメチャクチャキャッチーなサビで疾走するキラーチューン!
どっしりとしたパワフルさを強調したミドルチューンのM7「Gloryhammer」、それとは対極的にトランスっぽいシンセと4つ打ちリズムが登場するM8「Hootsforce」といった、まるでタイプの違う曲までしっかり自分たちの色に染め上げ、かつ捨て曲にならないようにフックを設ける手腕も素晴らしいですね。M8なんて一歩間違えれば「風変わりな捨て曲」になってしまいそうなのに。
ボートラを除く本編ラストを締めくくるのは4章からなる組曲形式の、12分以上におよぶ大作M10「The Fire Of Ancient Cosmic Destiny」。最後に相応しい劇的な展開とクワイアを使用した渾身の楽曲。個人的には「Ⅱ: The Battle Of Cowdenbeath」におけるヒロイックなサビ、「Ⅳ: The Knife Of Evil」の疾走ギターソロが特にツボです。
ただ国内盤だとこの曲の後にボートラのM11「On The Wings Of A Rainbow」が流れてしまい、せっかく大作でラストを描き切ったのにその余韻が消されてしまうのが残念。単体で見れば全然悪くない曲だけに余計に...。
そんな曲順上の不満はあるものの、自身の突飛なコンセプトを見事楽曲のカラーに昇華しながら、純粋にメロディックパワーメタルとしての完成度も非常に高い、かなりの力作と言える出来ではないでしょうか。キャッチーでクサめなメロディーを愛するパワーメタラーは是が非でもチェックすべき価値のあるアルバムです。
ちなみに本作の歌詞の対訳と、物語のあらすじが記載された冊子が封入されているのですが、ざっと目を通しただけで頭がクラクラしてきそうだったので(笑)、僕は最後まで読んでません。物語の概要知ってる方がいたら教えてください。
M7「Gloryhammer」 MV
0:32あたりのボーーン!でちょっと笑ってしまいました。曲は普通にカッコいい。
M8「Hootsforce」 MV
変わり種の曲ですが純粋にメロディーが良いし、なにより聴いてて楽しい!中毒性あり。