ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

9/15 METAL WEEKEND 2019 at Zepp Divercity

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先々週はEvoken Festでメタルを、先週はPUNK LIVES!でパンクを堪能し、そんでもってまたまた週末にライヴイベントです!個人的にあまり好きになれない雑誌が主催というのがちと気になるものの(笑)、連休中日、Zepp Divercityにて開催されたMETAL WEEKEND 2019に足を運んできました。

 

昨年はRiot VをLOUDNESSのツーマンという構成だった本イベント(それはそれで観たかった)、今年はヘッドライナーにLOUDNESSとHAMMERFALLを迎え、DESTINIA、BEAST IN BLACK、MYRATHという強力なメロディックメタルバンドを固めた魅力的なラインナップ。LOUDNESSは単独公演も観たことがあるバンドなので、まだ観たことのないHAMMERFALLがトリを務める二日目をチョイスしました。

 

会場となるお台場に到着すると、やたら露出度が高く、顔にキラキラしたビーズみたいなものを貼っつけたイケイケな若い人たちがたくさんいる。どうやら野外でウルトラジャパンというロゴがやたらUVERworldに似てるダンスミュージックのフェスティバルがあるらしく(過去にCROSSFAITHが出演してた)、パリピの人たちがあふれておりメタルTシャツ着用組はさぞかし肩身の狭い思いをしたのではないでしょうか(笑)

 

ちなみに僕はというと、ダフ屋のオヤジから「ウルトラのチケットあるんなら買うよ」と声をかけられました。僕はそんなにパッとする見た目の人間ではありませんが、それでも「ウルトラジャパンに行く若者」だと思ってもらえたようです(ただ単に道行く人に無差別に声掛けしてただけかもしらんけど)。僕もイケてる若者一派だと思えてもらえたのなら何よりです。

 

まあEDMフェスも興味ないわけではありませんが、残念でしたね。今日の僕はパリピではなくメタルヘッズなのですよ。IRON MAIDENのTシャツ着た状態でEDMは聴けないのだ。

 

そんなこんなで会場となるZepp Divercityへ到着。すでに会場からは音が漏れており、オープニングアクトのガールズメタルバンドが演奏中。IRON MAIDENの「The Trooper」をプレイしてるのがわかりました。

 

上はTシャツ一枚となり、カバンをロッカーにしまうと準備万端。早速フロアに入ると......寒っ

 

外も少しずつ涼しくなってきているこの時期に、なぜかやたら空調が効きまくっておりかなり肌寒い。これは上に羽織った状態で問題なかったな...。まあライヴが始まれば熱気で全然気にならなくなりましたが。

 

 

DESTINIA

 

最初のアクトは若井望さん率いるDESTINIA。ロニー・ロメオはLOUD PARKのLORDS OF BLACKで観ましたが、遠くから眺める程度でしかなかったので、ガッツリ観られる機会は本日が初と言っていい。

 

てっきり『METAL SOULS』からの選曲になるかと思いきや、始まったのはQUEENの「We Will Rock You」。超名曲なので盛り上がることは盛り上がるのですが、いきなりカバーというのはちょっと意外。

 

さらにその後はEUROPEの「The Final Countdown」。この時点で「もしかして自分たちの曲はやらないつもりなのか...?」という疑念が頭をよぎることに。

 

ロニーのMCでは「マイケルシェンカーやホワイトスネイクとかが出てくるかもね」と言っており、今日はカバー中心のセットリストであることが明かされる。個人的には彼らのオリジナル曲を中心にして、カバーはサービスがてら1曲だけ、みたいな内容の方が嬉しいのですが。

 

ただやはり百戦錬磨のミュージシャン集団が後世に名を遺すレベルの楽曲をプレイするわけですから悪い内容になる訳はない。ここぞとばかりに正確無比な速弾きを披露する若井さんのギターと、実に見事なパワフルヴォーカルを聴かせるロニーのパフォーマンスは文句の付けようがない。しいて言えばギターはもう少しメロディアスな泣きがあると嬉しいけど。

 

またベースとドラムのリズム隊はどうも脇役に徹しているというか、あまり主張するタイプではなさげで、やはりこのバンドは若井さんとロニーのバンドなんだなということが改めてわかりました。

 

その後のWHITESNAKE、Michael Schenker Group、Gary Mooreはあまり聴きこんでいるアーティストではないので、前2曲ほどアガりませんでしたが、ゲストのバイオリニストを迎えてからのDESTINIAのオリジナル曲「JUDGEMENT DAY」「METAL SOULS」のクライマックスは素晴らしかったですね。

 

特に後者は去年発表されたHR/HMナンバーの中でもトップクラスの名曲だと思っているだけに(2018年 年間ベストソングで7位に選出しました)、その興奮はひと際なものに。周りの人たちも同様だったのか、今までで一番と思えるほど熱気が上昇しメロイックサインが掲げられる。やはりこの曲の熱さ、名曲度は圧倒的であることが身に染みましたね。

 

ただ今まで驚異的な伸びの歌声を聴かせていたロニーが、この曲の時は若干声が荒れており、そこは少し気になってしまったかも。

 

<9/17 追記>

後になって知ったのですが、今回はDESTINIA名義ではなく"RONNIE ROMERO & NOZOMU WAKAI METAL SOULS HR/HM HISTORIA"という(長っ)80年代クラシックロックのカバーをメインに行う企画モノだったようです。リズム隊はDESTINIAの正規メンバーではなかったそう。どうりで主張が控えめだと思いました。

 

BEAST IN BLACK

 

お次は今年アルバムをリリースしたばかりのBEAST IN BLACK。以前にも来日経験のあるバンドですが、僕が観るのは今回が初めて。

 

アルバムの内容はややポップすぎるきらいがあるものの充分以上のクオリティーを有しており、前回の来日公演のライヴも非常に良かったとする声があり、良いライヴをやってくれるのだろうと期待していました。

 

そしてその期待にしっかりと応える上質なパフォーマンスであったと思います。1時間弱の間、一切気を抜ける瞬間の無い卓越したライヴを展開し続ける様は圧巻。

 

ACCEPTのようにキッチリとそろった動きでヘッドバンギングとギター・ベースの振り下ろしを行う演奏陣に、ロブ・ハルフォード顔負けのメタリックなシャウトを連発するヴォーカル。1曲目の「Cry Out For A Hero」から彼らの本質むき出しの音が飛び出し、キャッチーなメタル好きなら嫌でも腕を振り上げたくなる。

 

ただ音量はやや小さめだったのか、耳栓をしたままでは若干迫力不足に感じてしまったのですが。キーボードが全部同期音源だったからというのも音圧の控えめさに拍車をかけてたのかな。

 

いやしかしヤニス・パパドプロスのフロントマンとしての実力は凄まじいですね。Sabatonのヨアキムよろしく、ステージを端から端まで移動する運動量の多さながら、終盤まで決して乱れないメタリックなシャウト。歌の無いパートでは積極的に楽器陣に絡みにいったりと、観ていて飽きさせないアグレッシヴさが良い感じ。さらにオーディエンスからの熱狂的な歓迎に思わず感極まってしまうなど、非常に好感の持てるステージングだったと思います。

 

アントン・カバネンとカスペリ・ヘイッキネンによるツインギターも存分にフィーチャーされており、適度にシュレッドを交えながら、歌メロに負けないほどメロディアスなリードソロを交互に連発。メタルギタリストとしての王道のプレイを非常に高いレベルでこなしているのだから燃えないはずがありませんね。

 

彼らのダンサブルな側面を強調した「Crazy, Mad, Insane」では、弦楽器の3人がそれぞれ「CRAZY」「MAD」「INSANE」の文字が映るディスプレイグラスを着用してのプレイ。近未来的な雰囲気に合わせたうえでの演出でしょうが、個人的にはオメでたい頭でなによりの324さんみたいと思ってしまいました(笑) だってあんなのかけてライヴする人なんて他にいないもん。

 

バラードの「Ghost In The Rain」では皆が一様にスマートフォンの明かりをつけて、楽曲の幻想的なムードをより一層強固にし、ファンの間で名曲とされる「Blind And Frozen」でハイライトを迎える後半の運びも隙がない。(ただ僕の中ではこの曲が彼らのレパートリーにおいて突き抜けた名曲であるとは思わず、普通の良曲って感じなのですが)

 

超キャッチーな楽曲の魅力を決して損なわないどころか、さらに増強せしめる見事なアクトでした。彼らをベストアクトに上げる人も多いかも。

 

 

MYRATH

 

続いてはチュニジアのシンフォニックメタルバンドのMYRATH。今回のメンツでは唯一すでに観たことのあるバンドです(LORDS OF BLACKと同日のLOUD PARK)。

 

その時のライヴの印象も、今年出した新作の印象も共に良かったので、このバンドにおいても期待感は高かったのですが、いやはや、BEAST IN BLACKに続いて彼らもまた超充実のステージ。

 

大きなバックドロップとベリーダンサーの登場から、早速普通のメタルのライヴとは異質なのですが、新作の「Born to Survive」からスタートする楽曲のアラビアンなムードがより一層「普通じゃない感」を演出。シンフォニックサウンドは同期音源っぽかったですが、神秘性は損なわれていない。

 

「アリガトウゴザイマス、日本!」と何度も日本語を口にするヴォーカルのザヘルからは、終始オーディエンスに対する感謝と喜びに満ちているのが伝わって来ました。ロニーといいヤニスといい、今日はフロントマンの魅力が素晴らしいなあ。

 

新作のキラーチューン「Dance」ではその名の通り(?)ベリーダンサーが再び登場。先ほどは無かった金色の大きな羽織をブワッとひらめかせながらグルグルと回り続けて、舞台に華を添える。こんなのヘヴィメタルのライヴじゃ普通観られない。やはり異質だ。

 

ただどれだけ風変わりなことをやろうとも、しっかりとメタルに求められるリフとソロを弾きこなすギター、スラップを多用し、しかとした存在感でアンサンブルを固めるベースが、メタルライヴとしての普遍的な魅力を提示する。ヘヴィメタルの基本をしっかり押さえつつ、普通ではない要素を自身のアイデンティティとして昇華する。まさしく型破りなメタルのライヴと言えるでしょう。

 

後半披露された「Monster in My Closet」は日本語バージョン。事前に歌詞カードが配られており(僕はどうせほとんど見ない告知のフライヤーかなんかだろうと思って無視してしまった...)、ザヘルが「私タチト一緒ニ歌ッテクダサイ」と言っていましたが、果たしてあの暗い会場の中、歌詞カードをしっかり読んで歌えた人は何人いたのか...。

 

バンドとしては日本のライヴとして特別な演出をしてくれたのでしょうし、日本人として非常にありがたい限りでしたが、やはり最大の盛り上がりを見せたのは「Believer」。このいかがわしくも神秘的で、異国情緒あふれるのに聴きやすいという奇跡のバランスを見せる名曲では、間違いなく一番大きな合唱が巻き起こりました。

 

ただこの曲のベリーダンサーの羽織についた電飾、キラキラしていてキレイではあったものの、なんだかイルミネーションみたいに一気に現代的な雰囲気になってしまうので無くてもよかったのでは...?

 

 

HAMMERFALL

 

そしてトリはスウェーデンの国民的メタルバンドHAMMERFALL。カバー主体の様式美ハードロック、キーボード入りのポップな正統派メタル、エスニック風味あふれるシンフォニックメタルときて、最後は僕の大好物である直情的なパワーメタル。最新作『Dominion』を出したばかりで(DESTINIA以外みんな今年新作出してるんですね)どのようなライヴになるかかなり高い期待値で見守る。

 

頭の「Never Forgive, Never Forget」を聴いた瞬間、これは素晴らしい"ザ・メタルライヴ"になると僕の直感が吠える。

 

とにかくメタルとして理想ともいえるアンサンブルとパフォーマンスなのです。先ほどのBEAST IN BLACK同様、ギターとベースがシンクロしているかのようにヘッドバンギングし、キッチリまとまったドラムが疾走する、そしてメロディーは勇壮でキャッチーという、まさに正統派パワーメタルに求められるライヴが体現されている。

 

ヨアキム・カンスのヴォーカルはアルバム通り、ヒゲを生やし、どこかムサい面持ちとは違って(笑)なかなかにクリアな声質。実直なパワーメタルにベストマッチかは置いといて、音源と一切遜色ない安定したヴォーカルを聴かせる。

 

正直音源だけ聴いていると「充分質は高いけど、彼らならではの武器や飛びぬけた要素は無く、良くも悪くも無難なパワーメタル」という印象なのですが、ライヴで観るとかなり魅力が増しますね。頭を振り、拳を挙げて、合唱するのにちょうどいい絶妙な曲展開とドラマチックさ。「ヘヴィメタルとは熱く盛り上がるための音楽だ」という至極当たり前のことを改めて堂々と提示するかのような。

 

ライヴの盛り上がり方は人それぞれなのは重々承知していますが、このライヴを生で体験して声も上げずピクリとも動かず、なんて人は致命的なまでにヘヴィメタルに向いてないぞ、とでも言いたくなるような素晴らしいアクト。

 

うってかわってMCでは客イジリを積極的に行ったり(反応がイマイチだった人をセキュリティに追い出すように頼んでた)、まるでハードコアなパンクスか、荒くれたスラッシャーかと思うほどに"Crazy"やら"Motherfucker"を連発(笑) スウェーデンの国民的バンドでもこんな風におちゃらけるものなのだなあ。MCの間はライヴの熱気がウソのように和やかなムードに。

 

そして後半は"Let The Hammer?""Fall!"の掛け合いからスタートした「Let The Hammer Fall」、同じくHAMMERチューンである、勇壮という言葉が実に似合う合唱誘発ナンバー「Hammer High」、そして最新作からの「(We Make) Sweden Rock」をプレイしてのラストは「Hearts On Fire」という文句の付けようのない見事な流れ。

 

「(We Make) Sweden Rock」は新しい曲であるのにも関わらず大きなシンガロングを呼び起こしたことから、いかに彼らの楽曲が共に歌いたくなる魅力に満ちていることがわかりますが、やはり最大の盛り上がりは「Hearts On Fire」でしたね。サビの"ハーツオンファイア!ハーツオンファイア!"を歌いたくならないヤツなどいないでしょう!いたとしたら去れ!!(笑)

 

メタルヘッズとして満足する以外の無い、ピュアメタルのお手本のようなライヴでした。やはりメタルはこうでなくちゃね。

 

 

 

オープニングアクトこそ観ていないものの、全4組余すとことなく体感した充実の1日でした。つまらないパフォーマンスをしたバンドは一組もおらず(しいて言えばDESTINIAはオリジナルをメインにしてほしかったくらい)、それぞれの個性と強みを活かした素晴らしいステージングだったと思います。

 

LOUD PARKは残念ながらなくなってしまいましたが、今年はDownloadに、Evoken FestPURE ROCK JAPAN渋谷メタル会、そしてこのMETAL WEEKENDと、振り返ってみればかなり多くのメタルライヴを堪能することができたので、こういったイベントが続いていくのであればLOUD PARKが無くなったこともそう悲観的にならなくてもいいかもしれません(地方組の方には申し訳ないですが...)

 

来年のMETAL WEEKENDの開催もすでに決定しているようですし、今後とも足を運ぶイベントになりそうですね。雑誌のことはあまり好きではないとは言いつつも、こういう機会を設けてくれることに関しては素直に感謝しなきゃなりませんね。