ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

FEVER 333 『Strength In Numb333rs』

FEVER 333 『Strength In Numb333rs』

本当に早いもので2019年もあと一週間半を切りました。恐ろしや......

 

この2019年を通して最もシーンを騒がせた洋楽ロックバンドといえばやはり彼らではないでしょうか。RAGE AGAINST THE MACHINEの再来と称され、抜群の身体能力で各国のライヴ会場を豪快なパフォーマンスで荒らしまわり、日本においても単独公演をソールドさせるわ、スッキリでハチャメチャなスタジオライヴを披露して狂犬・加藤浩次さんを圧倒するわで、かなりの注目を集めました。

 

そして早速来年においてもcoldrain主催のBLARE FEST.、さらには単独公演にて来日が決定しておりその勢いはまだまだ止まらないようですね。

 

そんな彼らの日本盤デビュー作となる本作、聴く前はその過激極まりないライヴパフォーマンスから熾烈なハードコアを想像していたのですが、最後まで聴いてみるとちょっと...いや、だいぶ違う音像でした。

 

ハードコアらしい気合いの入ったシャウトは全編に渡って聴けるし、ヘヴィではないものの攻撃的な歪みのギターの出番も多いのですが、非常に歌メロが目立つ瞬間がたくさん。モダンなポストロックの要素やラップ、ヒップホップも積極的に取り入れており、LINKIN PARKをハードコア寄りにしたかのような印象を受けました。

 

メロディーのキャッチーさがある音楽を好む身としては、激しさを保ちつつ歌を聴かせてくれるのは良いですね。スッキリでも披露されたM2「Burn It」、ヒップホップとハードコアの折衷振りが見事なM3「Animal」、本作中最もサビがキャッチーなM4「Pray For Me/3」と勢いがありつつも聴きやすいナンバーが続く。

 

特にM4はヒステリックなシャウトやギターに充分なエッジを備えつつ、一緒に歌いたくなるクールなサビが印象的で、この曲が一番のキラーチューンですね。最後のサビが終わった後の後半のスローパートはやや蛇足に感じましたが。

 

このように「なかなかカッコいいミクスチャーハードコアだな」と聴き進んでいたのですが、残念ながらその後が続きませんでした。ヒステリックなシャウトこそ健在なものの、どうもこれ以降はおとなしめのポストロックに通じる浮遊感を押し出したり、テンポを落とした楽曲が多くなってくる。

 

これで歌メロが非常に練り込まれていたらまだ楽しめるものですが、残念ながら前述のM4を超えるほどのキャッチーさは見られず(M7「The Innocent」のサビのコーラスやM9「Am I Here?」のストリングスなど、結構いい線いってる瞬間もあるにはありますが)、どうもテンションが上がりきらないまま終了してしまう。

 

本編ラストのM10「Coup D'étalk」もいまいち掴みどころなく終わってしまうし、日本盤ボーナスの二曲もM11「Trigger」のマシンガンラップこそカッコいいんですが、M12「Vandals」は全然面白みを見いだせない曲で、最後で印象を底上げするということも起きない。

 

イケてる楽曲のインパクトこそ良かったものの、アルバム全体を通してみれば、残念ながらシーンの盛り上がりに反して僕個人は不完全燃焼と言わざるを得ない作品でした。

 

せっかくフジロックとスッキリで鮮烈なインパクトを刻むことに成功したのだから、音源においてもそれに負けないほどのハッチャケっぷりを聴かせてほしかったな。まあ彼らはライヴでこそ真価を発揮するタイプのバンドなのかも。

 

M2「Burn It」 MV

 

M3「Animal」 MV