今から遡ること数千年前...絶滅した恐竜たちが築いていた王国の遺跡に、突如として5人の戦士が現れた。
忍者――
それは、地獄から蘇った古代日本が誇る伝説の暗殺者たちだ。
彼らはこの世界を席巻せしめるため、最強の仲間達と同盟を組んだ。
破壊兵器「手裏剣」の使い手である邪悪なる忍者一族・サンブラーター
古代の呪文により奈落の底から蘇った地獄の業火を纏いし龍神・リングロング
光をもしのぐ速さで如何なる者も殲滅する電脳鋼鉄戦士・スーパーソニックサムライ
銀河をも超越し獲物を捕らえ、噛砕し、喰らう殺戮兵器・アストラルレーザーシャーク
......月明かりの下、彼らは団結する。この世界を我が物とするために。
時は来た。
勝利のために剣を掲げるのだ!
世界の命運、そして己の信念をかけた戦いが始まる!
猛り狂う雷雨の中を彼らは進む...。今新たな物語が幕を開けたのである...。
何のこっちゃ。
いよいよ自分が何を書いているのかわからなくなってきた。オビに当たり前のように「アストラルレーザーシャーク」って書いてあるけど、俺そんなもん知らんよ。
昨年のEvoken Festで来日を果たした、ドイツ出身のメロディックスピードメタルバンドによる最新作。
前作『Dinosaur Warfare - Legend Of The Power Saurus』の時点で一気にネタ臭さを大幅増量させ、凡百のメロスピバンドとはある意味一味違う魅力を打ち出してきましたが、今回はさらにスゴイぞ!
メンバーが皆忍者に変身!
そしてジャケットにもライトセイバー持ったニンジャに、レーザービームを繰り出すサメ!
そして先行公開されたリードトラックは「スーパー・ソニック・サムライ」!!
なんて胡散臭さなんだ!!!嫌いじゃないぜ!!!(笑)
そんなコンセプトだけならツッコミどころ無限大の本作ですが、どんなに微笑ましいネタで埋め尽くされようとも、決して陰らない美点がちゃんとある。
前作の「GAMMA RAY meets DragonForce」とでも呼べそうな、ジャーマン系メロスピの骨格に懐古的にならない近代的な雰囲気を纏わせた音楽性はまったくもって不変。それどころかさらに強度を増しており、もはやB級っぽさはほとんど感じられない洗練具合に。
DragonForceやGLORYHAMMERを彷彿させるシンセがかなり目立つようになったのがそう感じさせる要因かもしれません。M9「Astral Assassin Shark Attack」なんてマーク・ハドソンが歌えば完全にDragonForceになりそうだし。
さらに前作同様ギターリフ、ソロ共に必要充分な攻撃性とテクニックを有しているので、メタルとしての馬力が保証されているのも嬉しいところです。もう「メロスピ = ヘナチョコ」の時代が終わって久しい。
ハンパに小細工を仕込まず、ほとんどの曲で疾走しているのも快感を高めるのに作用しているし、なんといっても歌メロのキャッチーさ!共に歌いたくなるシンガロングや、そこかしこで聴ける「シノビ」「ニンジャ」「ワサビ」などの日本語のフレーズにより、非常に耳に馴染む。どの曲も何度か聴けばすぐにでもサビを口ずさめそうな親しみやすさがあるのです。
"スーパーッ ソーニッサームライッ!"
"ニッポンナイッ!"
"シュリッケン ショウダウンッ!"
何とも頬が緩んでしまいそうなシンガロング。それが不思議とクセになり、幾度も聴き返してはネタと共に楽曲の魅力を噛みしめる。
このどうしようもなくダサいぶっ飛んだイロモノ臭、演奏とヴォーカルのクオリティーの高さ、メロスピとしての完成度の高さをもって、VICTORIUSというバンドのアイデンティティーが確立されたと言えるかも。この路線をどこまで続けられるかはわかりませんが、個人的には彼らにはずっと面白おかしく、そしてカッコいいメタルでいてほしいなあ。
M3「Super Sonic Samurai」 MV
M5「Nippon Knights」 MV
この曲もまた歌詞がとんでもないことになっています(笑)