この地球上に強大な王国を築いていた恐竜たちが絶滅して、幾億もの年月が流れた。
ダイナフォースを武器に、世界を守る戦いに身を投じた戦士たちは、今はその凄惨な戦いの傷を癒すかの如く、安らかな眠りについている。
しかし!そんな平和な大地に、宇宙から謎の侵略者が現れる。
彼らは"忍者"。
核エネルギーにより強大なパワーを手に入れた彼らは、青く美しい惑星・地球へと向かう。人類を弾圧・支配し、全てを征服するために。
そんな忍びの影を察知し、永き眠りから戦士達が目覚める。再びダイナフォースを宿し、忍者達に立ち向かう!
鋼の牙と戦士の誇りを持ちし野獣 マイティ・マジック・マンモス
空と海と大地を守るフライングメタルマシーン ジュラシック・ジェットファイター
聖なる力と王国の栄光により蘇りし守護神 ティラノサウルス・スティール
太陽の王国・カタナキングダムに集いし戦士達よ!人類の自由と平和を守るため、ダイナフォースとパワーメタルを武器に戦うのだ!
地球上の命運を賭けた聖戦が、今幕を開ける!!
なんのこっちゃ
歌詞を読んだ感じで、こんなお話なのかな〜と書いたんですけど、頭がクラクラしますね。何の話?誰か教えてくれ。どこだここは。どこに向かうんだこのブログは。
ドイツ出身のパワーメタル宇宙戦士(僕が勝手に言ってるわけではないです。本当にそう書いてあるんです帯に。平然と)VICTORIUSの、6作目となるフルアルバム。
タイトルから分かる通り、本作は2018年に発表されたEP『Dinosaur Warfare - Legend Of The Power Saurus』の続編となる作品。そこに前作『Space Ninjas From Hell』の世界観がクロスオーバーしてるらしい。
show-hitorigoto.hatenablog.com
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コンセプトがここまで統一化されてるのですから、音楽性もそれに合わせて不変。これまで提示してきたジャーマンメタルの骨格に、モダンなシンセの音色をふんだんに使うことで、古臭さやイモ臭さを抑えながらも、古き良きパワーメタルの旨味も乗っかったサウンドとなっています。
いやしかし、本作もまた楽曲の充実度が素晴らしいですね。メロディックスピードメタルという音楽に惹かれる感性をお持ちの方なら、まず外されることはないはず。
スピード感ある楽曲はどれも名曲級のオーラを放っている。怒涛のバスドラ連打による突進力を備えつつ、やや軽めながらよく通るヴォーカルにより、非常にキャッチーなメロディーが息づく。パワーメタルに必要な「勇壮さ」という要素も、シンセにより大仰に盛り立てられるサウンドで担保され、メロスピとして隙のない楽曲に仕上げてくれています。
イントロのSEから続くM2「Victorius Dinogods」から、早速彼らの強みであるスピーディー&マイティーなメロスピが投下。"ダーイナソーラーイズ!"のサビが、リスナーの気持ちと拳をともにブチ上げてくれる。パワーメタルならではの高揚感がここにある!
近未来的シンセのイントロから勇ましいメロディーを紡ぎ、そのまま爆速で駆け抜け、さらにはシンガロングも熱すぎるM5「Dinos And Dragons」、強烈なキャッチーさを秘めたリードギターの唸りが爽快感抜群なM9「Triceps Ceratops」、キレの良いギターリフと、機関銃のごとく連打されるバスドラの疾走がえも言われぬ興奮を生み出すM11「Shadow Of The Shinobi」と、要所にキラーチューンが配されている構成が嬉しいところです。
ミドルチューンについても、先行トラックとなったM3「Mighty Magic Mammoth」を筆頭に、どっしりとした力強さを表現した楽曲ばかりであり、決して疾走曲以外に魅力が足らないなんてことに陥っていない(まあ疾走曲の方が魅力的ではあるのだけど)
バンドコンセプト、歌詞、メンバーのルックスなどはネタ臭いにもほどがありますけど、楽曲の質は本当に高く安定していますね。メロスピ/メロパワと呼ばれる音楽性をピュアに貫き、ここまでクオリティーの高い楽曲を量産できるバンド、果たして現代のメタルシーンにいくついるでしょうか?
パワーメタルというジャンル、ここ近年はだいぶ下火になってしまった感は否めませんが、まだまだこういう実力派はいるんですね。パワーメタル宇宙戦士達の躍進は、まだまだ止まらない。
個人的に本作は
"モダンかつ保守本流、名曲揃いのピュア・メロディックスピードメタル。勇壮な楽曲のクオリティーの高さも、コンセプトのバカバカしさも過去作踏襲"
という感じです。