今から遡ること数百万年前...地球は巨大な恐竜たちが神聖なる王国を築いていた。
王国はいかなるものも寄せ付けない最強の軍隊「ガーディアンズ」によって守られており、国民は平和な生活を送っていた。
...しかし!そんな王国に魔の手が忍び寄る!何と宇宙から邪悪なエイリアンが地球征服を企て来襲してきたのだ!
王国と地球に再び自由と平和をもたらすため、王国最強の部隊「特殊恐竜機動部隊」が立ち上がった。彼らは邪悪なエイリアンたちに拮抗しうる聖なる力、ダイナフォースを持っていたのだった。
エイリアンたちを殲滅せよ!兵器を掲げ、力を結集せよ!!
レーザーキャノンを携えたレーザータイガーよ、恐竜忍者レーザー・ブレード・ラプターよ、すべてのダイナフォースを持つ最強の戦士ディノウォーリアーよ、立ち上がれ!!
地球の命運をかけた超決戦の火蓋が今切って落とされる......
何のこっちゃ。
いや、ブックレットに載っている本作のコンセプトおよび歌詞がこんな感じなんです。なんだよダイナフォースって。
まあこういう世界観、俺はキライじゃないけど(爆)
2013年に2ndアルバム『The Awakening』で国内盤デビューを果たしたドイツのメロディックスピードメタルバンド・VICTORIUSの最新EP。EPとはいえ国内盤には前作フルアルバム『Heart Of The Phoenix』の楽曲が4曲収録されており、ボリュームはそこそこあります。
恐竜と宇宙人が戦うというコンセプト、ダイナフォースを持つ恐竜たち(プラス虎)がレーザーを放つアートワークはぶっちゃけものすごくネタ臭くて失笑モノなのですが、音楽性は日本のメロディックメタルファンに充分訴えかけられる確かなもの。
基本線はキャプテン和田さんのライナーノーツにもある通りHELLOWEENやGAMMA RAYあたりの影響を受けたメロスピですが、コンセプトに影響されてか、保守本流なパワーメタルよりも近代的な雰囲気をまとっており、ブラストめいた疾走を見せるときもあるため、時にはDragonForceのようにも響く。
ヘヴィメタルの生命線であるギターリフがなかなかキレキレでないがしろにされていないこともあり、正統的なピュアメタルの雰囲気も持ち合わせているのが個人的には嬉しいところ。
特筆すべきはそのメロディーのキャッチーさで、全曲に渡り一緒に歌いやすいサビや、ほんのり哀愁を帯びたフレーズが出てくるため、シンセを効果的に織り交ぜた疾走感あるメタリックサウンドと合わせてとっても聴いてて気持ちがいい。非常にキャッチーなリードギターで疾走し、ドラマチックかつクールなサビがカッコいいM3「Legend Of The Power Saurus」、ジャーマンメタル由来のポジティヴなメロディーセンスがこの上なく発揮されたM4「Lazer Tooth Tiger」(どことなくサビがGAMMA RAYの「Man On A Mission」っぽい?)の2曲が個人的なキラーチューンですが、その他の曲もハズレらしいハズレはない。
5分を超える曲がなく、ボートラを入れても全10曲とコンパクトにまとまっているのも聴きやすさを助長していて良いですね。ダサいジャケットを除けば(笑)リスナーに対する敷居が非常に低い作品になっているので、キャッチーでメロディアスなメタルが好きな人は是非とも手に取ってほしい1枚。
そしてコンセプトがコンセプトなだけに、歌詞が中二病という言葉すら生ぬるいヒジョ~~~に香ばしいことになっているので、和訳にも目を通してみてください(笑)
まあこういった歌詞は彼らだけに始まったことではありませんけどね。メタルゴッド・Judas Priestとかだってこんなモンですから...