ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

SERENITY 『The Last Knight』

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オーストリア出身の4人組シンフォニックメタルバンド・SERENITYの、前作『Lionheart』より約2年半ぶりのニューアルバム。

 

前作はまさにシンフォニックメタル界の傑作と言って良い出来栄えで、本作にかける期待も相当に上がりました。先行公開された楽曲も前作のタイトルトラック「Lionheart」ほどの衝撃は受けなかったけれど、充分に彼らに期待される要素を持ったものでしたし。

 

前回のリチャードⅠ世と同様に本作も実在の人物をテーマにしたコンセプト作。今回のテーマは「神聖ローマ皇帝マクシミリアンⅠ世の生涯」だそう。同時代のの民衆たちに人気があり"最後の騎士"と呼ばれたんだとか。最後の騎士......カックイイ~~!本作のタイトルは彼そのものを表しているということですね。

 

映画音楽かとさえ思うほどの息を飲む圧巻のイントロM1「The Last Knight」からつながる、M2「Invictus」が、これまた大きなスケールを感じさせる、美しく気高い疾走シンフォメタルで素晴らしい仕上がり。

 

勇猛果敢なコーラスとズッシリしたリフで進むM3「Set The World On Fire」、どこかBlind Guardianを思わせるようなイントロに、非常にキャッチーかつ優美なサビ、メロディアスなギターソロを持ち合わせたM4「Keeper Of The Knights」と前半からフックに満ちた曲がそろう。

 

デスヴォイスを用いダークさを表現しつつ、気品あるメロディーもしっかりと盛り込んだ名曲M6「My Kingdom Comes」、美しいバラードのM8「My Farewell」(このバンドはホントにバラード作りが上手い!)が聴ける中盤から後半にかけても隙は無く、アルバム全体として特に欠点をつけるところのない、完璧な作品と言っても過言ではないと思います。M10「Wings Of Pride」なんか張りつめた緊張感とドラマ性に満ちた相当な名曲ですよ。

 

マイナス面を挙げるとするならM5「Souls And Sins」のアコースティックバージョンが最後にあり、その後ライヴ音源がボーナストラックとして4曲もついてるせいで、70分以上のボリュームになってるところですかね。まあこれはアルバム本編とは別なのでいいですけど。

 

ただアルバムのクオリティー自体は非の打ちどころがない本作ですが、前作収録の「Lionheart」級のキラーチューンは無かったこと(しいて言うならM2、M10)、前作の圧倒的な楽曲の充実度と比べると全体的に若干聴き劣りすることにより、そこで少しの物足りなさを感じてしまったのは白状します。

 

僕がよく拝見しているレビューブログでは"今一つ引っ掛かるところがなく惜しい線入っているんだけどなぁ止まり"と本作を評価していましたが、そう言いたくなる気持ちも何となくわかります。

 

まあこれは前作が素晴らしかったがための弊害であり、無論そんじょそこいらのシンフォニックメタルバンドと比べて圧倒的に優れた楽曲をそろえたアルバムであることは間違いない。美しく勇壮なメロディックメタルを好む人であれば前作と合わせて必聴のクオリティーですよ。

 

M3「Set The World On Fire」 MV

 

M6「My Kingdom Comes」 MV