- モダンでヘヴィな攻撃性をガッツリと強化
- キャッチーさとヘヴィさを両立した曲の完成度高し
- 「CRYSTAL LAKEも真っ青」はさすがに言い過ぎじゃない?(笑)
前作『Xlll』より約一年半というなかなか早めのスパンで発表された、名古屋出身のヘヴィロックバンドlynch.の新作。前作のCD感想は以下から。
show-hitorigoto.hatenablog.com
ケースの半分ほどの大きさしか無いブックレットで、盤面むき出しなジャケットは、最近coldrainが似たようなアルバム出してましたね。
「究極的」を意味するアルバムタイトルや、先行でMVが公開されたM2「XERO」が、アグレッシヴでヘヴィ、シャウトとクリーンの交錯、艶やかなキャッチーさを見せるサビと、僕がlynch.というバンドに求める要素てんこ盛りのキラーチューンだったこともあり、なかなか期待値の高い状態で聴いてみることに。
そしてその期待を良くも悪くも裏切ることのない、従来のlynch.らしい安定感ある作風に仕上がっています。怪しいメロウな旋律を主軸とした曲に、徹頭徹尾アグレッシヴな曲、そしてそのハイブリッド版ともいえる前述のM2のような曲が基本。前作を気に入った人なら本作でも充分に楽しめるはず。
ただ今回はバンドいわく「近未来的なサイバーパンク」をテーマとしているらしく、言われてみれば従来作より冷徹でメカニックな雰囲気は出てるのかな...?まああくまでそんな気がするレベルの話で、ピコピコシンセが登場するとかそういったことは無い。彼ららしさに支障はありません。
音作りの面ではかなりヘヴィ寄り。あざといまでにキャッチーなM6「IDOL」のような曲でさえ、リフはなかなかにエグい。葉月さんのヴォーカルもさらに進化しており、かなり本格的な低音グロウルの出番も増えている。本作の重低音が効いた雰囲気をさらに増長させています。
こうした強靭なヘヴィさを備えつつ、あくまでクリーンヴォーカルによるキャッチーさを主軸にした楽曲のバランスが絶妙で、キャッチーで聴きやすくも、時にはハードコアモッシュすら似合うんじゃないかという攻撃性をしっかり両立してるのが魅力ですね。
中盤から後半にかけてメロウさ重視の落ち着いた曲が続くので、そこで少しテンションが落ちたり、若干の中だるみを感じてしまうのは否めないところか。キメの楽曲とそうでない曲の差を、もう少し小さくしてくれるとなお良かったかも。
M2以外だと、これまたlynch.らしいヘヴィなアグレッションとシンガロング、疾走感あるキャッチーなサビが魅力なM3「BARRIER」、ブチ切れたシャウトで爆走し、クリーンによるサビも性急さを一切失わないM10「MACHINE」、ラストを煌びやかに彩る、彼らのメロディアスサイドの象徴となるM12「EUREKA」が特に気に入りました。
個人的に本作は
"モダンなヘヴィさを増加させつつ、官能的なメロディーの冴えは鈍らない。アルバム全体のボトムを強化できればまだまだ高みに昇れそう。"
という感じです。
M2「XERO」 MV
バンドの魅力を象徴する名曲。まずはこれから。
M6「IDOL」 Lyric Video