ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

GALNERYUS 『UNION GIVES STRENGTH』

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  • ダークな楽曲から希望を見出す楽曲へ
  • 新加入のドラム、不足は全く無し
  • 曲調の幅は設けつつバンドの「らしさ」は損なわない

 

日本が誇るメロディックパワーメタルの真打・GALNERYUSが、昨年脱退したドラムのFumiyaさんに代わり、新たにLEAさんを迎えて制作したスペシャルアルバム。

 

一応形式としては「ミニアルバム」という体だと思うのですが、本作の出来・作り込み・ボリューム感を考えると、とても「ミニ」と言う形容は相応しくない。

 

何せ全8曲で総収録時間は60分弱、アルバムのオープニングからいきなり9分台の曲が始まるという、超濃密な作風。普通にフルアルバム扱いしてもおかしくないほどのボリュームで、なおかつ楽曲のクオリティーに一切の手ぬかりが無い。演奏と音質は前作『INTO THE PURGATORY』で提示された濃密さがそのまま引き継がれていて(7弦ギターのズッシリ感が良いんだな)、この時点で聴きごたえには何の心配もありません。

 

本作を制作する上で、やはり必然的に新型コロナウイルス騒動がテーマにならざるを得なかったらしく、アルバム構成としてSYUさん曰く「ダークな所から明るく抜けていくイメージ」とのこと。

 

確かにアルバムの幕開けとなるM1「THE HOWLING DARKNESS」は、ブラックメタルにも通じるかのような禍々しいリフとブラストビートが重なり、続くM2「FLAMES OF RAGE」も負けじと不穏な高速リフに、決して明るさを伴わない緊迫感あるメロディー、鈍重なリズム落ちパート(と言ってもモダンなヘヴィさではない)を織り交ぜた曲。小野さんが加入してから、歌謡曲的な哀愁と突き抜ける爽快感が売りだった彼らとしては、だいぶチャレンジングな曲調と言えます。

 

しかし、そんな曲調にあっても、本当に彼らは芯がブレないと言いますか...らしさを失ってないんですよね。そこが本当に頼もしい。

 

M1はサビのメロディーは非常にキャッチーかつスケール感のあるものですし、お得意の超高速ソロはさらに音数を増して加速していく。M2も悲しみを湛えたメロディーをかき鳴らすギターソロが素晴らしく、これぞSYUさんの真骨頂だと言いたくなる。

 

中盤の疾走感を抑えたミドルナンバーM3「HOLD ON」とM4「BLEEDING SANITY」は、前者はキラキラしたYUHKIさんのキーボードと、どこか希望を滲ませるサビの歌声が魅力的で、後者は前々作『Ultimate Sacrifice』収録曲を彷彿させる、どこかケルティックと取れるような雰囲気が染み渡る。

 

そして後半のM5「SEE THE LIGHT OF HOPE」はまさに歌謡的ガルネリのお手本と言うべき、土臭い哀愁と力強さに満ちた疾走キラー。サビの入りに"刹那...!"のフレージングが切り込んでくるとこなんかたまらんね。泣きまくるリードギターの素晴らしさは言わずもがな。

 

MVにもなったリードトラックM6「WHATEVER IT TAKES (Raise Our Hands!)」。これは有無を言わさぬ名曲。特大スケールのサビの歌唱も文句なしですが、なんと言っても中盤のヘヴィなリフがしばらく刻まれ、キーボードが暴れ回り、焦らしに焦らした後の5:34〜のギターソロ!溜まりに溜まった感情が一気にバァーンと弾けたかのような開放感が最高に気持ちいい。

 

ラストのM7「DEEP AFFECTION」、M8「EVERLASTING」は小野さん加入後にちょいちょいやってる過去曲のリレコーディング。どちらも濃密な演奏とアレンジで十分に聴き応えのある曲になっていますが、中でもM8は日本語歌唱を得意とする小野さんが歌うことで、自然とGALNERYUSらしい歌モノの曲として違和感なく染みます。

 

なお、本作から新加入のドラマー・LEAさんですが、さすがにGALNERYUSに招かれるだけあって、その技巧は折り紙付き。なんの破綻も違和感もなく、圧巻の手数足数で見事に目まぐるしい展開の屋台骨を支えています。M1のブラストといい、M5の歌入り直前のフィルインといい、滑らかでありつつ力強い。

 

たださすがに初ライヴとなった、本作同梱のライヴ映像で見ると、ちょっと前半表情と動きが固かったような...?まあ、初めてのちゃんとしたフルセットのライヴで、それが無観客配信と言う特殊な形なので無理もないでしょう。それでも後半になるにつれ自然になっていった印象だったのはさすがです。

 

そんなライヴDVD、彼らの超絶技巧に小野さんのハイトーンヴォーカル、ライヴお馴染みの煽りに、「THERE'S NO ESCAPE」で弾けさせた後の「RAISE MY SWORD」の勇壮なサビ、名曲「DESTINY」による圧巻のユニゾンなど、見どころ聴きどころ満載の出来で、これもファンなら絶対チェックすべし。

 

ただTAKAさんのベースがかなり聴き取りづらいバランスはどうかと...。僕のテレビのスピーカーのせいなのかもしれませんが、せっかくの高速フィンガリングが音として味わえないのはやや残念。

 

 

個人的に本作は

"ダークなエクストリームサウンドからポジティヴな力強さへ昇華される、意欲と安定感を両立した特濃傑作パワーメタル"

という感じです。

 


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