ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

STRATOVARIUS 『Survive』

  • 軸のブレないミドル中心のメロディックメタル
  • パワフルなリズム隊とギター&キーボードソロの聴きごたえが抜群
  • 派手さは控えめ、安心安定の高いクオリティー

 

HELLOWEENと並び、日本においても国際的においても最も人気とクオリティーの高いメロディックメタルバンドと言える、フィンランドメタル代表格・STRATOVARIUSの最新作。

 

これまでコンスタントにアルバムを出してきた彼らですが、本作はだいぶリリース期間が空いてしまっており、実に7年ぶりとなります。

 

かつての中心人物ティモ・トルキが脱退した後は、高度な演奏技術に裏打ちされたプログレッシヴな展開を軸としつつ、北欧メタルらしい透明感あるメロディーを武器とした楽曲を量産している彼ら。本作も従来と同様の路線で、ハイレベルな演奏とクリアな歌メロの両立ができています。

 

これまで発表してきた作品の方向性をしっかりと踏襲している感があり(前作に比べストレートなパワーメタル感は控えめですが)、これこそが自分たちのメタルだ、というものを完全に確立できているのでしょうね。新鮮味こそないものの、本当に高いレベルで安定している。

 

ヴォーカルのティモ・コティペルトは、本作のライナーノーツにて「フレッシュ、ヘヴィ、メロディック、エピック、プログレッシヴ、モダン、トラディショナル - これらすべての要素をこのアルバムで見つけることができるはずだよ」と語ってますが、確かにそう思わせるような作風かも。近年の彼らのようなプログレ風味の演奏に、非常にメロディックな歌メロ、パワーメタリックなドラムもあるし、モダンで洗練された音作りながら、古き良き北欧メタルのスタンスを貫いている。

 

特に嬉しいのはロルフ・ピルヴのドラムがかなりパワフルなところです。どれだけキラキラしたメロディアスチューンをプレイしていても、この硬質で手数が多く、タイトにまとまったドラムのおかげで、楽曲があくまでヘヴィメタルであることを主張しているかのよう。

 

往年のネオクラシカルな色合いを見せるキーボードと、それに絡む高速でテクニカルなギターソロなども聴きごたえがあり、歌メロのみならずバッキングトラックの魅力も秀でています。

 

メロディックスピードメタルという呼称が似合うようなスピードナンバーはM8「Glory Days」くらいのものですが、これだけ充実した楽曲群を聴かせてくれるのであれば、疾走感の不足もさしたる不満にはなりません。

 

ちなみにそのM8、キラキラネオクラシンセと哀愁メロで疾走し、ギターソロも完全にテクニックよりメロディー重視、往年のクサメタルを彷彿とさせる楽曲に仕上がっています。クサメタルブームがすっかり過ぎ去った今でも、まだまだこういうタイプの曲を魅力的に聴かせることができるんですね!

 

サビのシリアスで哀愁溢れるメロディーが実に気持ちいいM1「Survive」を筆頭に、リードギターが良いフックを持った哀メロを奏でるM4「Firefly」、長く美しく構築されたギターソロの唸りが心地よく、ややヘヴィな質感も持ち合わせたM6「Frozen In Time」、ウォーウォー言うコーラスとシンフォニックな味付けで壮大な印象を醸し出し、これまたギターソロがカッコいいM10「Before The Fall」と、高く安定したクオリティーの楽曲が立て続く。

 

ラストのM11「Voice Of Thunder」は10分を超える大作としてクライマックスを彩る。さほど展開がダイナミックというわけではないですが、メランコリックな歌メロに、壮大な間奏、最後に大仰に盛り立てるシンフォサウンドの美しさと猛烈な泣きは素敵。長い曲ながらさほどダレを生まないのも良いですね。

 

スピードチューンが少なく、やや似通ったタイプの曲で固めているため、鮮烈なインパクトや抜きん出たもの感じさせるわけではないものの、長いキャリアに裏打ちされた確かな演奏力とクオリティー、それでいて懐古的になることもないモダンさも持ち合わせた、安心安定のメタルが聴ける1枚に仕上がったと言えるでしょう。

 

 

個人的に本作は

"近年のSTRATOVARIUSらしさをしっかりと踏襲。高度な演奏技術と潤沢なメロディーを揃えた、ハイレベルでプログレッシヴなメロディックメタル"

という感じです。

 


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