ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

3/26 LOUD PARK 2023 at 幕張メッセ

LOUD PARK is back.

 

2017年を最後に開催が途絶えていた、HR/HMの祭典・LOUD PARK。5年半の時を経て2023年の春、ついに帰ってきてくれました。

 

このフェスが無い時にはDownload Festival Japanが2度ほど開催されてはいましたけどね。LOUD PARKの名の下に、世界各国のメタルバンドが集結するのは、日本のメタルヘッズとしては特別な思いが芽生えるというもの。

 

2023年の限定開催、さらに2日連続同会場で行われるわけではなく、東京(千葉だけど)と大阪の別会場で1日ずつという日程。従来のものとは規模は縮小されてしまっていますが、このご時世に贅沢は言ってられない。

 

5年半ぶりの開催で、しかもヘッドライナーは再結成PANTERAという、大きな話題性を振り撒くことができるアクトでありながら、前売りGOLDチケットもソールドしなかったという事実はなかなか悲しいものがありますが、日本に生を受けたメタルヘッズならば、この日に馳せ参じるのはもはや義務。

 

そんなわけで、前日のPUNKSPRINGの疲労と興奮冷めやらぬ中、再び幕張メッセへと降り立ちました。パンクスからメタルヘッズへと気持ちを切り替えて、今日という日を全力で楽しむのだ。

 

僕はGOLDチケット組なので、一般の人たちよりもだいぶ列の進み具合は早く、さらにグッズ売り場の入り口にも並ぶ必要がないのでだいぶ快適。昨日のPUNKSPRINGは一般だっただけに、違いがよくわかる。

 

グッズ売り場では、とりあえずヘッドライナーであるPANTERAのTシャツと、KRERATORのTシャツを......と思いきや、KREATORは見事の僕の直前で狙っていたタイプのTシャツが全サイズ売り切れるという憂れき目に。Fuck

 

しかたないので切れちゃった分はオンラインの発送に任せて、さっさと会場入り。GOLD会員はレコードバックをもらえて、クロークも別途1000円払う必要もないので、結構得した気分。

 

とりあえず腹越しらえとして、二日連続のビーフライスをパクつきながら、最初のアクトであるJASON RICHARDSON & LUKE HOLLANDを観ることに。

 

 

JASON RICHARDSON & LUKE HOLLAND

ラインナップが発表された当初から「誰?」という感じであり、特に事前に音源を聴くこともないままの鑑賞。

 

ジェイソン・リチャードソンは、かつてBORN OF OSIRISのギタリストとして活躍していて、現在はALL THAT REMAINSに、亡くなったオリー・ハーバートの後任として加入したらしい。

 

ギタリスト1人+ドラマー1人という、セッションイベントとかならまだしも、フェスのステージではなかなか観ることのできない光景。ステージの広さを若干持て余している感じがありながらも、淡々とヘヴィなインストナンバーを続けていく。

 

プログレメタルコア的な、モダンかつヘヴィ、そして一切の狂いなき技巧を披露し続けるステージング。その技術の高さは折り紙つきながら、やはりフェスの一発目でインストばっかりというのは、ちょっと開幕のエナジーとしては物足りないかもしれない。

 

全インストというわけではなく、中にはヴォーカル(事前録音)と共に演奏する曲もありました。ただ、せっかく歌入りの曲もあるのだったら、そこは生歌にしてほしかったな。

 

 

H.E.R.O.

ここで前日のPUNKSPRINGからちょっと気になってた、GOLDチケット購入者専用のデッキに入ってみることに。

 

一段高くなっていて、前の方であれば視界を遮るものが何もない。距離こそ多少ありますが、こりゃ確かに快適に観られますね。良い位置どりができたので、このまましばらく動かずにじっくりとライヴを観ることに決め、お次のH.E.R.O.に備えました。

 

こちらもJASON RICHARDSON & LUKE HOLLAND同様、このフェスを迎えるまで知らなかったバンド。デンマーク出身のトリオ編成(一時期4人だったらしい)で、DIZZY MIZZ LIZZYオープニングアクトも経験しているのだとか。

 

さすがに二組続けてインストものということはなく、青白く幻想的に輝く照明をバックに、タイトな演奏と歌が繰り広げられる。そしてその歌が何よりも絶品。

 

クリストファー・スティアネのヴォーカルがとにかく上手い。というか、声が驚くほど綺麗。本日のラインナップにおいて、Nightwishのフロール・ヤンセンを別格とすると、美声度では間違いなくトップレベル。

 

高音で澱みなく、スッと耳に入ってくる美しいヴォーカルの聴きごたえが抜群で、この歌ならずっと聴いていたいと、そう思わせてくれる説得力に満ちていました。

 

かつてLOUD PARKで観たDIZZY MIZZ LIZZYほどの圧倒されるステージングではなかったものの、適度にヘヴィさを担保した、隙間のないカッチリした演奏も素晴らしい安定感で、ロックバンドとしてのライヴの強度はかなりのもの。

 

メタル的な興奮はあまりなく、メンバーのルックスも全体的に小洒落たもので、LOUD PARKというよりはSUMMER SONICとかの方がウケが良さそうな気がしますが、序盤から良いロックを聴かせてもらったなという感じです。もうちょっとメロディーにわかりやすいキャッチーさがあればなお嬉しかった。

 

 

OUTRAGE

本日の日本代表。テクニカルなインストに、硬質なハードロックときて、ここで野蛮で荒れ狂うメタルのお出ましです。

 

特にSEもなくメンバーが登場して演奏開始!スラッシュメタルとしての鋭利さ以上に、かなりアグレッション重視で、安井さんの粗野なコーラスも相まってかなり勢い重視な印象。乱暴ながら文句なしのカッコよさ。

 

Machete...」のキレまくった爆走ぶりに、熱いシンガロング、「YOU CARE? I DON'T CARE」で聴けるアドレナリン全開の疾走感は、やはりたまらんものがありました。この曲をライヴで聴けるのは嬉しい。

 

......だがしかし、どうもヴォーカルの橋本直樹さんの様子がおかしい。

 

拡声器を使ったヴォーカルはまったくもって聴こえず、ようやく普通のマイクで歌い出すも、なんだか動きがヘロヘロ。さらには帽子を目深に被っていて、目が全然見えない。というかあれは本人の視界もほぼゼロでは(途中ちょっと外した)

 

MCになったときは「LOUD PARK......6年ぶりなんだってねぇ......」「俺らはロシアのスパイだ(?)」みたいなことを、小さな声でブツブツとうわごとのようにつぶやき、途中は声が小さ過ぎて、何言ってるかもよくわからん。前述の「YOU CARE? I DON'T CARE」も、曲が良いからアガったけど、ヴォーカルはぶっちゃけあんまり歌えてなかったし。

 

完全に「様子がおかしい」という形容がピッタリで、「この人こんなMCする人だったっけ?」とだいぶ困惑しました。僕だけでなく、あの会場にいた多くの人の頭上に「?」マークが浮かんでいたように見えました。丹下さん代わりにしゃべってやれよ。

 

それでも名曲「MY FINAL DAY」がプレイされると、一気に会場全体に活力が溢れたようになるのだから、やはり名曲を持ってるバンドのライヴは締まって良いですね。

 

 

BLEED FROM WITHIN

スコットランド出身の5人組メタルコアバンド。本格的なコアでエクストリームなメタルは本日初で、暴れたいキッズリスナーが前方へと多く詰めかける。

 

僕はこれといってアルバムをしっかりと聴いているわけではなかったので、ちょっと様子見程度な感じで、GOLDデッキから観ていたのですが、これが予想以上に楽しい。

 

気合いが入りまくったヴォーカルのパフォーマンスがかなりカッコよく、盛り上げ上手。うまく会場の空気を自分たちのライヴの色に染め上げており、最初はそこそこだった熱量が目に見えて上昇していくのがわかる。中盤にはフロア前方中央付近に大きなモッシュピットが作られました。

 

僕が好きなメロディックメタルコアと比べると、ギターやクリーンヴォーカルにおいて、ややキャッチーさは希薄。琴線にグッと引っ掛かるようなメロディアスさが欲しいところですが、ピットを作って暴れるにはちょうどいい音ですね。やっぱりフェスにはこういうバンドは必要不可欠。

 

ちょっと残念だったのは、ウォールオブデスを要求したはいいものの、わかりやすいカウントダウンとか、"Go!"の掛け声もないままヘヴィパートへ突入するのみだったため、オーディエンス全員が「い、いつ走ったらいいんだ...?」という戸惑いに包まれてしまい、非常におぼつかないウォールオブデスになってしまったこと。もう少し親切な仕切りがほしかったな(笑)

 

ただそれ以外については、エクストリームメタルらしい盛り上げが巧みで、あまり音源を聴いてきていない僕ですら、ガッツリテンションを上げさせられました。下にいたらモッシュピットに入ってたかも。

 

 

次に登場するのはEDM×ヘヴィメタルの代表格であるAMARANTHE。このバンドについては、Download FestivalとHELLOWEENオープニングアクトで観ているので、少々もったいない気がするも、ここで昼休憩を取ることに。ここでしっかり腹に入れておかないと、これからいつゆっくりできるかわからないし。

 

とりあえず後ろの方から飯食いがてらステージを観ていて、相変わらずニルス・モーリンのパフォーマンス、「Digital World」のかっこよさはしかと心に刻み込みました。

 

 

CARCASS

AMARANTHEの「Drop Dead Cynical」を横目で観ながら、次に登場するアクトをULTIMATE STAGEの前の方で待つ。リヴァプールの残虐王・CARCASSの登場。

 

このバンドは2015年のLOUD PARKに出演してて、それも観てみたい気持ちはあったのですが、HELLOWEENと丸かぶりで一切観られなかった記憶があります。HELLOWEENHELLOWEENで良かったから後悔はしてないんだけどさ。

 

バックの大型スクリーンには、ロゴではなくバンド独自の映像が使われメンバーが登場。だいぶおじいちゃんじみた風貌のビル・スティアーの存在にまず目を奪われる。

 

CARCASSは一応メロディックデスメタルバンドとカテゴライズされてますが、音源だけ聴くとさほどメロウな印象は強くはない。リフワークなどにはクラシックなヘヴィメタルの要素が強く感じられる。そしてその印象はライヴでも変わらない。

 

日本最高峰のCARCASSファンである掟ポルシェさん(この日ももちろん会場に来ており、サイン会のお手伝いをしていたらしい)は、最新作『Torn Arteries』の音楽性を「エクストリーム・ハードロック」と呼んでいて、その音楽性通りのサウンドをここでも展開していました。とにかくリフがヘヴィメタルらしくザクザクしていて、非常に聴いてて気持ちがいいんですよ。

 

一方でもう少しメロディアスな要素があったほうが嬉しいなぁ...という思いも捨てきれずにはいますが、この正統的メタルリフで頭を振れる快感は素晴らしい。

 

そしてなんと言っても大名曲「Heartwork」ですよ!スクリーンにアルバムアートワークが表示されて、聴き覚えのあるあのリフ、そして強烈なエモーションに満ちたツインリードが響き渡ればテンションは最高潮に。

 

デスメタル、しかも出自はキワモノ音楽の代名詞でもあるグラインドコアというバンドながら、ここまで痛烈な哀愁を描き出せるようになるなんて、本当に奇跡的だなと感じます。今回生で聴いてみて、想像以上に自分の感情が突き動かされたことを実感しました。

 

ちなみに密かに心配(期待?)してた、バックのスクリーンに映される映像。以前の来日公演では、内蔵やら男性器やらのグロ映像バリバリだったそうですが、今回はそういうものはなかったです。手術のような肉塊をメスで切り裂く映像こそありましたが、モノクロかつ画質が悪いためにほとんどわからなかったし。グロ耐性があまりない自分としては助かったものの、ちょっと残念でもある。

 

 

STRATOVARIUS

なにげにこのバンドもライヴを観るのは初めてでした。最新作の完成度も非常に高く安定していたし、ライヴの評判も良いとのことだったので、期待値は高かったです。

 

そしてその期待にしっかりと応えてくれる、充実のパフォーマンスを見せてくれました。曲良し演奏良し。

 

最新作のタイトルトラック「Survive」でスタートしたあと、キャッチーな歌モノの楽曲から、王道ど真ん中のメロスピまで、セットリストの満足感もかなり高いステージング。

 

ティモ・コティペルトが「パワーメタルをプレイするぞ!」と声を張り上げた際には、「そういや今日のラインナップで正統的なパワーメタルをやってるバンドって、彼らだけだな」と気付かされることに(Nigtwishは純粋なパワーメタルとは違う印象があります。ありません?)

 

メロスピ/メロパワに分類されるバンドとしては珍しいほどにテクニカルなソロプレイを設ける時間もありつつ、その後テクニックだけには頼らないザ・メロスピFather Time」、非常に聴きやすくキャッチーな歌で魅了する「Unbreakable」といった楽曲を聴くことで、純粋に優れた曲を持っているバンドであることがよくわかる。

 

メンバー各々の存在感も強く、埋もれているメンバーがいなくて、誰を重点的に見ようか迷う楽しみもありましたね。特にドラムのロルフ・ピルヴは、突進力もテクニックも安定感も抜群で、打音の気持ちよさもあって非常に良いパフォーマンスだったと思います。バスドラの連打が気持ち良すぎんじゃ。

 

フロントマンのティモ・コティペルトの会場掌握術も素晴らしく、うまいことオーディエンスをノセて、ラストの「Hunting High And Low」では、ひときわ大きな大合唱を生み出し、ラストにふさわしい一体感を演出。彼らのライヴバンドとしての巧さが浮き彫りになった時間でした。

 

Nightwish

最後のKREATOR&PANTERAという、エグい連チャンに備えるために、STRAROVARIUS終わりにトイレ休憩、牛串でのエネルギーチャージを実行。BIG ROCK STAGE側で待機しながら観ていたのがNightwish

 

観てたとは言っても角度がついてて、ステージ間のスクリーンで視界が阻まれているのもあり、ステージ前方付近しか視認できていません。ドラムはまったく見えず。

 

そんな状態でも、やはりこのバンドの芸術点の圧倒的高さというのはわかるもんですね。フロール・ヤンセンの美しく気高い歌声で歌われる、圧巻のシンフォニックメタル。スクリーンの映像も、このバンドだけステージの様子を映すだけでなく、イメージ映像と合わせてのもので、世界観の演出に力を入れていることがわかる。

 

わかりやすく、シンプルにアガれるメタルが好きな僕としては、ちょっとこのバンドの音楽というのは芸術性が高すぎるというか、敷居の高さも相まってとっつきにくい印象があり(「Stargazer」とかやってくれたら嬉しかった)、それはライヴでも変わらなかったのですが、この圧倒とも言うべきステージングには感銘を受けざるを得ません。

 

ラストにプレイされた「Ghost Love Score」における壮大なオーケストレーション、およびフロールの絶唱は、「俺は今本当にメタルのコンサートに来てるんだよな...?」と、疑わしく思えてしまうほどで、他アクトとは明らかに異なる世界に連れて行かれた感じ。これを間近で、ど真ん中で観ることができた人たちはどんな感情を抱いていたのでしょう。

 

ただ、フロールが腰を落として長髪を振り乱す扇風機ヘドバンをしだした際は、「あ!俺の知ってるメタルコンサートだ!」となりました(笑)

 

 

KREATOR

ドイツが誇る邪悪なスラッシュメタルの代表格・KREATOR。Nightwishが美しい音楽をずっと続けてた際、そんな音世界にまったくもって不釣り合いな、串刺し人間のモニュメントが用意されていた時点で、「エグいステージになりそうだ...」と期待感を募らせてくれました。

 

メチャクチャ前の方で待機していたので、この日一番といってもいいくらいステージがよく見える。絶対的フロントマンのミレ・ペトロッツァに、新たにベーシストとして加入したフレデリック・ルクレークまでガッツリ視認できる。

 

オープニングは「Hate Über Alles」。現在のKREATORの音楽性を一発で理解できるキラーチューンなだけに、さっそく興奮度MAX。

 

僕のすぐ後ろの方ではさっそく巨大なサークルピットが形成され、先程までのNightwishが生み出していた芸術的な世界は、あっという間に消え去ったことがわかる。このゾクゾクするような危険で邪悪なオーラ、たまらんものがあるな...。

 

ただこの日のセットリストは、個人的に少し消化不良感があったのも確か。激烈爆走スラッシュで暴れたい気持ちがあったのですが、「Hail To The Hordes」や「Satan Is Real」などのミドル〜アップテンポ曲が多かったので。

 

もちろんそういった曲にもメタルらしいリフワークに満ちていて、ヘッドバンギングするのに何にも困らないし、こういう曲にこそベテランの貫禄が息づくというものですが、やっぱり疾走曲をもうちょっと欲しくなっちゃうよね。

 

ミレはさすがのフロントマンぶりを発揮しており「Japanese style wall of dearh!」と叫び、積極的にオーディエンスを扇動していく。そのたびに僕の後ろに大きなスペースが空き「ああ...この光景久しぶりだな...」と感慨深くなってしまう。

 

このままずっと近くで観ていたい気持ちもあったんですが、こんな最前付近で最後まで観ていると、ラストのPANTERAを良い位置で観られなくなってしまう。そのため、ラストの「Pleasure To Kill」にて、サークルピットに混ざりひとしきり走ったあと、サーッとULTIMATE STAGE側へと移動することに。これにより早い段階でPANTERAを前の方で観られるポジション取りが可能となる。

 

はい、わかってますよ。KREATORのライヴでこんな打算的なサークルピットの参加をするのはマズいと。しかし、それでも俺はKREATORもPANTERAもしっかり観たいんだよ。

 

あと本日最も邪悪なサウンドを奏でていたバンドのライヴで、銀テーププシュッ!はあんまり似合わないと思う。まあ記念に一個キャッチして持って帰ったけど。

 

 

PANTERA

アボット兄弟がいないとはいえ、まさかこのバンドのライヴを観る機会に恵まれるとは思っていませんでした。ライヴ前のMCでも「ハッキリ言って奇跡です」と言っていました。

 

90年代のメタルシーンをMETALLICAと共に先導し、カリスマギタリストを喪ったことで伝説と化したグルーヴメタルバンド・PANTERA。ザック・ワイルドと、チャーリー・ベナンテというサポーターを得て、ついにBEAST FEAST以来の来日公演。

 

暗転するとまずスクリーンに、かつてのPANTERAの映像が流れる。いかにも海外のロックバンドがやりそうな、器物破壊の嵐。今の時代にこれやったら確実にSNSでグチグチ言われるんだろうなぁ...

 

ひととおり映像が流れたあと、あの名リフが刻まれる。その瞬間僕含め一斉にオーディエンスが沸きたち、これまでで最大なのではというほどの歓声と圧が加わる。あの名盤のオープニング、「Mouth For War」だ。

 

この時点でもうフロアの熱狂は沸点に達しており、僕も熾烈なモッシュに揉まれながら、声を張り上げ拳を掲げる。このヘヴィリフを生で聴けるとは感無量。

 

ザック・ワイルドはまさに名前の通りのワイルドな風貌で、ガッシリした二の腕から繰り出される硬質なリフは圧巻の迫力。本当にあの人、昔は王子様みたいなルックスだったの?信じられないんだけど。

 

チャーリー・ベナンテのドラムは、ANTHRAXで鍛えたタイトさがしっかりと活きていて、何にも不足はない。モッシュに押されて姿をしっかり観ることは難しかったものの、このインテンシティの高いサウンドの基盤となっていることは間違いない。

 

ベースのレックス・ブラウンは、第一印象は「細っ!」でしたね(笑) フロントにいるのがフィルとザックという、どっしりした見た目の人たちなので、その細さが際立つ。PANTERAというバンドイメージには、下手したら今のメンバーで一番そぐわない体型とすら思えますが、やはりオリジナルメンバーだけにステージングは極めて安定している。ぶっといベースラインが、サウンドの核であるヘヴィさにさらなる厚みを与えている。

 

そしてヴォーカルのフィル・アンセルモ。彼のシャウトですが、もう文句なしと言えるほどの強烈なものでした。「A New Level」で、僕の耳にはオーディエンスの大合唱が響いていたのですが、その音にも負けない歪んだ叫び声。ライヴ音源でアルバムにも負けないくらいの強靭な声が出せることは知ってましたけど、やっぱり生で聴くと圧倒される。

 

猛烈な爆走でモッシュの勢いを加速させる「Strength Beyond Strength」に、極太のグルーヴで魅せる「I'm Broken」と、名盤『Vulgar Display Of Power』『Far Beyond Driven』を中心とした怒涛のセットリストでフロアを狂わせる。熱気が覚める瞬間はない。

 

ただ終始ヒリヒリした緊張感が鳴り止まないかと言われればそうではなく、途中フィルが「トモコ!」と坊主頭の女性通訳スタッフを呼び寄せて、「PANTERAのライヴ初めて観た人は?」といった内容をわざわざ通訳させていた瞬間に限り、だいぶ空気が和んだものになっていました。それに当てられたオーディエンスからはまさかのトモココールまで巻き起こる(笑) すごく良いキャラをしてらっしゃる。

 

そんなクスッとできる瞬間がありつつも、曲が始まればアグレッシヴに揺れる揺れる。極めつけはもちろん大名曲「Fucking Hostile」でしょう!

 

フィルがおもむろに「1,2,3,4!」のカウントアップをしてから、怒涛のリフがなだれ込むと、この日一番のモッシュピット(少なくとも僕の印象では)が発生。誰しもがこの瞬間を待ちわびてたんだと言わんばかりに、モッシュの破壊力は増しクラウドサーファーの数も増える。この後ろから強烈な圧をかけられながら、上から降ってくるダイバーたちをさばきまくるこの感覚......ああ、そうだよ、ライヴってこうだったよね。久しく味わっていなかったよ...

 

ラストの"Fucking!"のシンガロングパートでは、もう喉が枯れてもかまわんというくらいに叫びましたとも。これぞライヴの醍醐味よ!!

 

PANTERAのグルーヴ感がこれでもかと繰り出される「Walk」に、PANTERAというバンドの始まりを告げる名曲「Cowboys From Hell」がプレイされたクライマックスまで、グルーヴメタルバンド・PANTERAの旨味を100%堪能。伝説になったバンドをこの目で、この耳で、この体で体感することができたひとときでした。

 

 

PANTERAが終演したあとは帰るだけ......なのですが、やはり祭りの後は寂しい。この鋼鉄の一日が終わってしまったという事実に目を背けてしまいたくなる。しばしフロアに佇んでぼんやりしていました。

 

ホントはね、「あああああ〜〜〜〜〜〜〜メタルの祭典が終わってしまったよ〜〜〜〜〜〜〜〜」と泣きじゃくってしまいたいんですけどね。ぐっと我慢して、この夢のような時間の余韻を噛みしめるのみ。

 

コロナ禍という魔の期間を乗り越え(もちろんコロナが完全に無くなったわけではないけど)、ようやく従来のライヴを体感できるようになりつつあるタイミングで、一日限りとはいえ復活してくれたLOUD PARK。やっぱりこのフェスは特別な存在だなと5年半ぶりに感じましたね。

 

MCの人が最後に、「来年以降またやれるかは未定ですが、皆さんの熱量によっては、またいつか復活するかもしれません」と声をかけてくれたので、もしまた機会があったら、必ずや足を運びたいと思っています。ありがとう、LOUD PARK!またいつか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、クロークのチケットを失くしたことに気づき、フロントのお姉さんに迷惑をかけてしまったとさ。絶対サイフん中入れたんだけどな......