ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

5/4 摩天楼オペラ / 16th Anniversary Live -翠玉のワルツ- at Zepp Haneda

先日GALNERYUSの熱すぎるライヴをZeppで堪能してきたばかりですが、その余韻が冷めやらぬうちに、またまたZeppに行ってきましたよ。

 

ヴィジュアル系シンフォニックメタルバンド・摩天楼オペラの、結成16周年記念ライヴ。前回観た時からちょうど丸一年経ったんですね。会場はBRAHMANのツアーで来て以来、2回目となるZepp Hanedaです。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

Zepp Hanedaはその名の通り羽田空港に程近い場所にあり、天空橋駅直結なのですが、駅周辺に時間を潰せそうな場所は無さそうだし、Zeppがある施設の羽田イノベーションシティなる所も、フラフラして楽しめるような場所じゃないので(今後どうなるかはわかりませんが)、ライヴ前の時間潰しという点では厳しい場所。開場時間ちょい過ぎくらいに到着しました。

 

列をなしているお客さんは、多くがバンギャの人ではありますが、結構男性客の人数も多い。中にはWACKENやTrick Or TreatのTシャツ(どこで買ったんだそんなもん)を着ているメタルヘッズもいましたね。

 

今回は全席指定であり、僕は2階席の右端。やたら恰幅の良い男性2人に囲まれる形となり、身を縮めながら開演時間を待つ。

 

15分以上押してのスタート。幕が開かれるとステージ後方付近に火が灯っており、先日のGALNERYUSのライヴとのデジャヴを感じる瞬間。

 

下手からメンバーが登場してきて、ちょうど加入一年となったギタリストの優介さんが、聴き覚えのあるリフを鳴らし始める。これは「喝采と激情のグロリア」だ。

 

以前このブログに「喝采はオーディエンスの合唱が大切な曲であるから、声が出せる状況になるまで演奏しない」というコメントをいただいたのですが、声援ありとなったことで、ようやくこの曲が陽の目を見たということでしょうか。

 

やはりこの曲のドラマ性、メロディーの劇的さは素晴らしい。「天国の在る場所」と並ぶ、彼らの二大シンフォニックキラーチューン。

 

ラストの"永遠を生む〜"のパートにて、演奏もヴォーカルも止まり、オーディエンスの歌声のみになる。コロナ禍ではなし得なかった光景であり、ライヴのオープニングの段階で、早くも第一のハイライトが来たかのようでした。

 

メンバー自身それを認識していたようで、その後のMCで苑さんは「喝采が本編で、残りが全部アンコールみたいなものだ」と語っていました。さすがにそれは言い過ぎだとしても、この曲が3年の時を経て再び完成形を見た瞬間であることは間違いない。

 

その後は「GLORIA」で華々しく疾走し、過去曲を中心に組み立てていく。メロスピ的な疾走はやや控えめで、ロック色強めの楽曲が多い印象。

 

僕はこのバンドに対しては、美しく気高く疾走するメロスピ、シンフォメタルを期待しているため、このあたりの展開は必ずしも僕好みというわけはありませんが、ライヴで聴く分においては、腕を振り上げて盛り上がるには相性の良い楽曲であることがわかります。特に「MONSTER」なんかは、弾むようなリズムと共に気持ちよくノレますね。

 

バンドのパフォーマンスは、長いツアーをこなしたばかりだからか、かなり完成度高く仕上がっている印象。苑さんはビブラート過多のハイトーンを連発し、バンドサウンドも音源のクオリティーを一切損なわないタイトなもの。僕は右端にいたので、彩雨さんのキーボードが若干聴き取りにくい感じもありましたが。

 

リズム隊のまとまり具合も良かったのですが、特に目が行くのが優介さんのギターでしたね。音源と全く遜色なくテクニカルな速弾き、メロディーをなぞるリードを弾き倒す。タッピングを交えた速弾きソロなんかは、音の粒の揃い方含めて非常に正確で、改めてこのバンドは良いギタリストを迎えられたんだなと思いました。ステージパフォーマンスにも華があるし。

 

会場もバンドの熱量に呼応するように盛り上がるのですが、両手をフリフリしたり、曲に合わせてゆっくり手を上げたりといった、オーディエンスの振り付けみたいなノリはやっぱり慣れないな(笑) 僕の両隣の屈強な男性もやってて、僕のノリ方が異分子のようになってしまっていた。

 

そしてヘッドバンギングはやはり皆さん気合が入っていて、ヴィジュアル系ライヴ名物の、長髪振り乱しヘドバンも巻き起こる。2階席なので1階フロアの乱れっぷりが一望できました。改めて壮観。最前の男性客のヘドバンがやたらアグレッシヴでした。

 

そんな狂乱の空気が変わったのが、彩雨さんのキーボードソロからの「もう一人の花嫁」。去年と同様の入り方で、ここでムードが一気にメランコリックなものへと変わりました。

 

このあとに「」「残された世界」といった、新作からのメロウサイドの楽曲が立ち並ぶことに。ロック的な激しさは前半の方があったものの、やはり彼らの楽曲はメロディーこそ良さのキモであると思っているので、ここからの流れこそ彼らの本領発揮タイムだったと思ってます。

 

前半は最新作『真実を知っていく物語』の曲が全然出てこなかった反動か、後半は新作の曲がバンバン飛び出す。「悲しみは僕への罰」のブラストビートとスローな曲展開のコントラストを描き出し、その後バラードの「流星の雨」へと繋がる流れも良かったのですが、やはり何といっても最終盤の疾走曲の連打が素晴らしかった。

 

アルバムのタイトルトラック「真実を知っていく物語」は、彼らのポジティヴさの中に光る哀愁、麗しくしなやかなヴォーカルラインが非常によく活きた名曲。苑さんが歌詞をミスって、しばらくヴォーカルなしのパートができてしまったのは、まあ生のライヴならではということで。

 

本編ラストは、ライヴのタイトルを冠した「翠玉のワルツ」。この日のライヴは来場者全員に、この曲が入ったシングルCDの無料配布キャンペーンを実施していました。つまりこの時点では曲を聴いていないのですが、初聴時点で、シンフォニックなキーボードを目立たせたメロディックスピードメタルで、直近のシングルに通じるタイプだということはすぐにわかりました。

 

ここのところ名曲・佳曲をバンバン出している彼らのことなので、当然この曲も優れた出来であることはすぐにわかりました。ただ去年に「真っ白な闇がすべてを塗り替えても」を初めて聴いたときほどの衝撃はなかったかな。

 

本編が終わったあとはアンコール(メンバーが捌けた瞬間から「アンコール!アンコール!」の甲高い声が発生していた。もう少し待ってあげたら?/笑)。去年と同様にメンバー一人ひとりが長めに時間を取って、バンド結成16年を迎えたことへの感謝や、いったん人気が伸び悩んだ時期を乗り越えて、Zeppをソールドさせることができたことへの喜び、今後の活動の決意などを述べていき、会場もそれに温かく反応していく。

 

一番盛り上がったのは燿さんのMCで、「この日まだ叫んでいない」という出だしから、オーディエンスに対して、「男ーっ!」「女ーっ!」と次々に呼びかけていくのですが、会場全体に対して「Zepp ト......!!」と言いかけてしまった時ですね。まあ確かにZepp Hanedaって新しくできたばっかりだしね。Zepp Tokyoって言いたくなるよね。しかたないね。

 

アンコールは「クロスカウンターを狙え」「悲哀とメランコリー」という、ロック色濃い二連続。後者はそれにプラスして、タイトル通りの哀愁がこもっているので、じっくりと聴き浸ることができる。

 

さらにダメ押しとばかりに「Curse Of Blood」「BURNING SOUL」という、疾走メタルが続けざまで投下される。本日最もパイロが似合う瞬間だけに、ここにきてクライマックスだと言わんばかりにボウボウと炎の柱が上がる。単純な会場のボルテージは、ここに来て最高潮を迎えた感じでした。

 

「BURNING SOUL」は彼らのレパートリーの中でも、ひときわライヴでの盛り上がりがわかりやすい曲だけに、こういうキメとなる瞬間に来ると強いですね。ライヴが更に締まった印象になる。こういうキラーチューンを持っているのは大きい。

 

この時点でも充分な満足度でしたが、ダブルアンコールにて名曲「真っ白な闇がすべてを塗り替えても」が繰り出されたときが、この日の最後のハイライトとなりましたね。気高く美しいメロディーが華麗に疾走するこのサビ、ここが本当に気持ちいい。

 

「このコロナ禍の最中に名曲が生まれたんだ」と、始まる前に苑さんが語っていましたが、そう言いたくなるのも無理はないほどの素晴らしい曲だと思います。今後の彼らのライヴの、新たなアンセムになっていくと嬉しいですね。

 

最後は「Psychic Paradise」でヘドバンとシンガロングの嵐を巻き起こしたのですが、正直「真っ白な〜」がこれ以上ないほどのクライマックス感を与えてくれる名曲なだけに、この二曲の順番は逆の方が良かったかもしれない。

 

 

こうして20曲以上にもおよぶ長丁場が終了。声出しOKとなったことで、バンギャの人たちによるメンバーの名前呼びも熾烈を極めており、「ああ、ヴィジュアル系のライヴってこうだったな〜」と、久しく味わっていなかった感覚を呼び起こされた感じでした。

 

今の摩天楼オペラの布陣は歴代でも屈指のクオリティーの高さを誇っていると思うので(Anziさん在籍時のライヴは観たことが無いのですが)、彼らがMCでも言っていた「摩天楼オペラはまだまだ大きくなる」「チーム摩天楼オペラでなら困難も乗り越えられる」という言葉が、決してステレオタイプなだけの言葉ではないのだろうということは伝わってきました。新曲もメチャクチャ良いですし。

 

来場者限定のシングルも現在聴いていますが、やっぱりこのバンドのメロスピは良いですね!気が早いけど次の音源も楽しみになってきます。