国産メロディックハードコアの代表格にして、ベテランの域になりつつある、dustboxのレコ発ツアーファイナルに行ってきました。だいぶ前に...(笑)
ライヴ当日はド平日ということで、社会人にとっては時間との戦いに打ち勝たなくてはならない。なんとかして仕事を早めに切り上げて(というか翌日以降の自分に任せて)、さっさと新宿へと移動。
会場はZepp Shinjuku。今年の4月に開業されたばかりという、超できたてホヤホヤな場所。そのため会場がどこにあるかいまいちわからず(おっかなくて歌舞伎町にあんまり近づきたくないため土地勘もない)、近場のビルをぐるぐる回る羽目に。
ただでさえ時間がないのに道にも迷って、若干イライラが溜まりつつも、なんとか会場入りする階段を発見。当日券を購入して、スーツにビジネスバッグという、およそパンクのライヴには似合わない格好でフロアへと向かう。やたら地下へと潜り込む階段が長い!
開演時間となる19時を若干過ぎていたものの、開始が押していたようでなんとか間に合った。とりあえずワンドリンクを交換して、フロア最後方に位置付ける。ザッと見た感じ7〜8割方は入っているのではないでしょうか。あと印象としては「Zeppとしては小さいな」でした。後で調べたところキャパは1500人ほどらしい。
そのまま少し待つと、いよいよ暗転。僕としては開演が遅れてくれてありがたかったけど、待たされていた人は溜めてたフラストレーションを発散するかのごとく、地鳴りのような叫び声を上げる。
SEとなる「Vortex Of Light」が流れ、ステージ上の垂れ幕に今回のツアーで撮った写真が次々と映される。そこからバンドメンバー3人のシルエットが浮かび上がり、「Emotions」の軽快なリフが刻まれる。
アルバムで聴いた時は、「この曲はタイトルが"Emotions"の割には、かつての彼らの楽曲ほどエモーショナルなメロディーは息づいていないなあ」と思ったもんですが、こうしてライヴの熱気と共に聴いて観ると、ドライブ感溢れるバンドサウンドの躍動が思った以上にライヴで映えている。ライヴで完成する楽曲といったところか。クラウドサーファーもバンバン飛び出し、さっそくメロコアらしいアグレッションが展開。
「Not Over」「Riot」というライヴ定番の楽曲は、ひときわフロアの反応も大きく、この絶妙に切なく、それでいてポップで聴きやすいメロディーが沁みる。さすがに長いツアーをこなしてきたからか、SUGAさんのヴォーカルは好調という感じではなさそうで、演奏もやや安定感に欠けるものではありましたが、この絶品のメロディーラインの魅力は十二分に伝わってくる。
曲が終わってMCの時間になると、JOJIさんを標的にしたヤジが飛びまくり、それに嬉しそうにツッコミを入れる、お決まりの展開が続いていく。dustboxのライヴにおけるJOJIさんイジリって、いつから始まったんでしょうかね?僕がよく観ていた10年代前半くらいのころは、ここまでオーディエンスとのやりとりが活発ではなかったと思うのですが。
一番面白かったのは、「JOJI女の子のファンいないだろー!?」という声に対して「いるよ!」と反応するも、それに対して反応を示した女性ファンがみんが上手側(要はSUGAさんの方)に固まっており、それについてJOJIさんが悪態をついてたときかな。その後「俺にも男のファンはいる!」と力強く宣言し、それに呼応するかのように野郎たちがJOJIコールを繰り出す(その後何故かYU-KIコールも起きる)
今回のツアーファイナルの前に、SUGAさんが自身のTwitterにて聴きたい曲のリクエストを募っていたそうなのですが、「俺たちアルバム10枚出してるからね。もうみんな出す曲がバラバラで。全部はできないけれど、その中で最近あんまりやってきてない曲をやるよ!」と話す。
「あんまりやってない曲ってなんだろ?「Dreams Are Reality」とかかな?」となんとなく思っていましたが、その後に弾かれたリフがまさにその「Dremas Are Reality」のものでちょっとビックリ。あまり取り沙汰されるようなポジションの曲ではないですけど、この曲のサビのメロディー、イイですよね。
その後に「Wall of Ice」「Next story」と続く流れは、彼らのアルバムを聴きまくっていた学生時代に想いを馳せる瞬間。この美メロに当時の僕は(今も好きだが)ノックアウトされていたんですよ。SUGAさんのクリアなヴォーカルと、それに絡まるコーラスのなんと美しいことか!やっぱダストはこの美メロですよ。
「Dance Until Morning」に、"チョコレート〜は〜め・い・じ"のメロディーをギターで奏でた後の「Chocoholic」と、ちょっとポップさを強めた楽曲でリズミカルに会場を揺らしたあと、今回のツアーへの想いを語り出す。
「最高のツアーファイナルです。ツアーを37本、制限も無しにガンガンやってたんだけど全部成功、対して炎上もせず、完走できました!」とツアーを駆け抜けた喜びを打ち明けて、このツアーの成功、およびファイナルの景色こそがMiracle、と結論づけての「Here Comes A Miracle」。出だしの歌い出しがしっかりと決まったことで、より会場の一体感が増してくる。
彼らのアルバム中、たいてい1曲は収録されているハードコアチューンの「Smash The Crown」では、ツアーの対バン相手であったSHADOWSのメンバーがステージに登場し(彼らに限らず、今回のツアーを一緒に回ったバンドマンが数多く会場に駆けつけていた)、SUGAさんとJOJIさんの代わりにギター&ベースを演奏。JOJIさんのハンドマイクは割とよくあるものの、SUGAさんのハンドマイクスタイルは何気に初めて見たかもしれない。パフォーマンスは結構サマになってる。
そしてこの辺からはアンコール前のクライマックス。dustboxといえばコレ!なキラーチューン「Tomorrow」に、新作の中でも王道のdustbox色を強く放つ、美メロ疾走メロコアの決定版「Unnamed Song」という強烈な流れを見せる。
こういう締めくくりに相応しい楽曲があるバンドのライヴは、やはり否応にもハイライトを感じさせてくれるから強いですね。どちらも絶妙に明るくなり過ぎない、叙情性たっぷりの歌メロが響きわたり、モッシュピットにいずとも心地よく酔うことができました。
もちろん一旦メンバーが下がったあとは、"One more!"のアンコールを求める声が続出。しばらくその時間が流れたあと、アコギを持ったSUGAさんが一人で壇上へと現れる。
どうやらこのツアーで恒例になっていたらしい、「Strawberry」の弾き語り、およびオーディエンスの"Let's laugh everything away"のコーラスを響かせる時間に。一緒に歌う前にSUGAさんが英語の先生となり、一単語ずつ発音の練習をしてくれたので(SUGAさん曰く「"everything"の"th"の発音がキモ」らしい)、タイミングさえ合わせられれば、結構歌いやすいな。
その後はSUGAさんに触発されてか、JOJIさんがなぜか「Unnamed Song」をワンコーラスだけアコースティックで歌ったあと(やたらか細い歌声だったので、最初何を歌っているのかわからなかった/笑)、新作の中で僕が最も好きな「My Life Without You」が投下される。
この曲は、どうしようもなく切なく美しい、バンドの魅力がこれ以上ないほど活きたキラーチューンだと思っていて(サビメロの哀愁が絶品!)、この曲をぜひとも聴きたかったんですよ。バッキングのコーラスもまた、らしさ全開でたまらんものがある。まあ流石に生の歌唱なので、音源ほどの繊細さの演出は難しいのですが。
軽快なポップさと哀愁を同居させた「Bitter Sweet」で、フロア中の両手を突き上げさせたあと、ライヴド定番のキラーチューン「Jupiter」へ。演奏の前に、HEY-SMITHのメンバーがトランペットでサビメロを鳴らしたあと(この曲に管楽器は合わないと思うので、その後はすぐに引っ込んだ)、爆発力と激情、哀愁がダダ漏れの疾走パートへとつながっていく。「Tomorrow」と並んで、この曲を聴かなきゃダストのライヴは終われない名曲だけに、ここ一番のモッシュは激しさを増していました。
ラストはJOJIさんの魂の叫びが木霊し、対バン仲間が次々とステージダイヴを繰り出し、フロア前方がヒッチャカメッチャカになる「Neo Chavez 400」、1分間で突っ走る怒涛の疾走曲「Just One Minute」の二連発。彼らのレパートリーの中でも、特に爆走感あふれるナンバーだけに、最後の最後で最大級のモッシュが炸裂。メロコアらしく潔い、圧巻のフィニッシュとなりました。
何気に20曲以上もやる長丁場となりましたが、退屈に感じる瞬間もなく、良い形でツアーの最後を締めくくるライヴになったのではないかと思います。
前述した通り、演奏面とヴォーカル面の安定感は、必ずしも良いものではなかったのですが、それを不満に感じさせない楽曲のクオリティーの高さ、そして会場の熱気を十分に感じ取ることができました。
定番の曲ももちろん良いのですが、「Dreams Are Reality」や「Sunburst」といった過去曲がアツかったですね。改めていかに彼らが質の高い楽曲を次々と生み出しているバンドであるかを再認識しました。
何気にフルセットのメロコアライヴは久々でしたけど、やっぱ相変わらず良いですねこういう音。スーツなんかじゃなくバンTで観たかったよ。
そんな思いを抱きながら、2時間ほど立ちっぱなしだった状態で、やたら長い階段を登らなければならないのはだいぶキツかったです。なんでこんな地下深くにあるん?