ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

1/30 Primal Fear / Code Red Japan Tour 2024 at 渋谷 Spotify O-EAST

先日のTHE冠のライヴからわずか3日後、またしても渋谷のライヴハウスへとお邪魔することになりました。

 

今回のお目当ては、ドイツが誇る世界最高峰の正統派メタル集団・Primal Fearです。ピュアメタルをやらせれば、もはや右に出るものはいないというポジションにまでのし上がった彼らのライヴ、平日だろうがなんだろうが観ないわけにはいきません。

 

休日出勤の振休をこの日に設定し(特に出たくもないチーム内ミーティングがある日だったのも都合が良かった)、フル充電で渋谷へとレッツゴー。CD屋さんはTHE冠のライヴの日にひととおり見ていたので、この日はナガノマーケットとかポケモンセンターあたりをちょろっと見てました。

 

開演15分前くらいになって到着し、ドリンクカウンターでカシオレを一杯もらう。そこそこ入ってはいるものの、人口密度はあまり高くなく、後ろのほうになるとスペースも大きい。視界良好で観やすいのはありがたいのですが、やはりちょっと寂しいものがあるな。

 

開演時間になって暗転すると、メンバーが続々と登場。マグナス・カールソンがいないのは前回同様ですが、ベースもマット・シナーではなく、もっと華奢な人が担当していました。昨年から体調が芳しくなく入院中のようです。

 

フルメンバーでないのは残念ではありますが、それでもなお物足りなさなんざ一切感じさせないのが、絶対的フロントマンであるラルフ・シーパース。ゴツゴツの上腕二頭筋の迫力もさることながら、まったくもって衰えというものを知らないかのような、超鋼鉄ハイトーンスクリームの破壊力がとんでもない。

 

脳天に突き刺さるという表現がふさわしいような、キンキンに鋭く、高く、どこまでも伸び行くスクリームは人間離れしすぎており、わかってはいつつも「とんでもねえぞこの人......」と戦慄してしまう。土曜日のTHE冠のシャウトと合わせて、ここ数日でハイトーン聴取の許容量を大幅にオーバーしてしまっている気がする。

 

要所要所で決めるボディビルダーのようなポージングも、彼の存在感だからこそサマになる。そんな中、ちょいちょい軽やかにターンを決める瞬間もあり、こういう滑らかな動きを取り入れるのは、ゴツさ満載のバンドイメージからはちょっと意外だったな。

 

最新作のツアーではあるものの、『Code Red』からの楽曲はさほど多くなく、旧作からも含めまんべんなく取り揃えられたセットリスト。オープニングは「Chainbreaker」からの「Rollercoaster」という、実に熱くノリやすい入りでした。

 

トム・ナウマンとアレックス・バイロットのツインギターは、「これぞまさしく正統派メタルそのもの!」というべき、メタリックなリフを終始刻み続け、非常に頭が振りやすくて気持ちがいい!やっぱりピュアメタルはリフの快感がキモですからね。

 

パフォーマンス自体もメタルの王道を行くもので、見栄えが良かったり派手だったりといったことはありませんが、場数を踏みまくった安定感あるもので、そのどっしりとした体躯の影響もあり、貫禄めいたものが伝わってきました。頻繁に二人で顔を突き合わせたり、背中合わせになったりして、ツインギターの旨味をしっかりと演出する。

 

ベースとドラムのリズム隊については、際立って目立つということはなく、実直に自分の仕事をこなしている感じ。サポートベーシスト(誰かはわからなかった)は、マット・シナーよりもビジュアルがシュッとしててカッコいいものの、Primal Fearというくどいまでに熱きピュアメタルバンドにフィットしているかは微妙かも。とはいえオーディエンスへのアピールを積極的に行って、場に華を添える役割をキッチリ果たしてくれている。

 

ドラムのミカエル・エーレはドラミングそのものは過不足なく感じたのですが、あまり躍動してる感はなく、そつなく淡々とこなしている。つい先日YOUTH-K!!!さんの強烈なドラムを浴びたばかりなので、相対的に少し落ち着いた印象が強い。

 

なんでも大阪公演においては、体調が悪化してライヴに出ることができず、急遽日本人ドラマーを現地調達でサポート起用するという事態に陥ったとのこと。東京の時から本調子ではなかったのでしょうか。というか急に外タレバンドのサポートに抜擢されて、ちゃんと対応できるドラマーすごいな。

 

ミドル~アップテンポで展開するメタルど真ん中の楽曲を次々に投下していく中、最初のハイライトとなったのは、随一の疾走曲である「Nuclear Fire」ですね!あまりに劇的なリードギターのメロディーがうなり、ラルフに促される形でそのメロディーをシンガロングする。正直サビの歌い上げは結構ラフな感じで、もうちょいしっかりと雄々しいヴォーカルを堪能したかったのが本音ですが。

 

個人的に一番グッときたのは中盤から後半に差し掛かるあたりで披露された「Fighting The Darkness」。前回の来日でも聴けた組曲形式の大作ですが、やはり中盤の長い間奏パートのドラマチックさは息を飲むもので、まったく長さを感じることなく没頭することができる。永遠に続くギターリフ・ソロの応酬に、意識がずっと取り込まれたままでした。

 

普通の人間には不可能なハイトーンのコール&レスポンスや、ラルフの日本語歌唱による「朧月夜」など、以前に観たものと同じようなやり取りがありつつ(来日時には毎回歌っているようですが、そんなに好きなんですかね?)、「この曲を聴かなきゃ終われない」と言うべきメタルアンセム「Meta Is Forever」へ。ダサいこのこの上ないタイトル、および歌詞であるのに、このバンドがやれば特大の説得力が生まれますよね。ともに大合唱させてもらいましたとも。

 

さらにダメ押しとばかりに、以前まではオープニングを飾っていた名曲「Final Embrace」をこのタイミングで投下。聴く側にも体力がいるっていうくらいの熱い2連打でしたが、それでもいっさいテンションが落ちることなくヘッドバンギングできるのは、ひとえに曲の高揚感が異常だからに他ならない。完璧なまでの幕引き。

 

あえて一個不満というか希望を言わせてもらうなら、アンコール後のラストが「Running In The Dust」という、重厚でカッコいいものの、あまりラストを締めるような印象のない曲だったことかな。「In Metal We Trust」とか「Inseminoid」とかやっていいのよ?

 

とはいえムリヤリ出した不満はそれくらいで、全体通してピュアメタルとはどういうものか、その回答に120%ふさわしい熱すぎるライヴを披露してくれました。バンドの状態が不安定なのが気がかりですが...