ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Last Alliance 『Seventh Sense』

  • パンキッシュな疾走はほぼ廃止
  • ポップさの際立つ芳醇なメロディーを追求
  • 過去作の中で最も派手さの無い角の取れたサウンド

 

先日のTHICK FESTIVALによる感動から、ここ数日Last AllianceとLOCAL SOUND STYLEを頻繁に聴き返すようになってます。やっぱ良いメロディーですね〜。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

エモコア熱が高まっている状態なので、彼らのアルバムについて取り上げてみようということで、Last Allainceの現時点での最新作を。これですらもう10年以上前なんだよな...。

 

本作が発表されたのは2013年の3月ということで、ちょうど僕が大学進学のため札幌から関東に来たばかりのとき。東京の都会っぷりと人の多さに困惑しながら、池袋のタワーレコードで購入しました。東京で初めて買ったCDじゃないかな。

 

Last Allianceといえば、パンクスピリット溢れる疾走感に、青さと切なさを芳醇に湛えた哀愁のメロディーが魅力のバンド。本作はそんなバンドのキモとなる要素のうち、疾走感をほぼ完全に封殺してしまっている作風です。M8「DELETE」にて速いパートが一部顔を出すものの、それ以外はせいぜいアップテンポ止まりです。

 

そのためアルバム全体を通して、過去作のようにわかりやすく興奮できるポイントは少なく、アルバム1枚につき1曲以上はあった爆走キラーが存在しない。彼らのアルバムの中では最も派手さに欠け、地味な印象を抱いてしまうかもしれません。このアルバムに限ったことではありませんが、サウンドの薄さも据え置きですし。

 

しかし、彼ららしいポップさと哀愁に塗れたフックあるメロディーは、各曲にしっかりと息づいているのがわかるはず。バンドとしての円熟味と、確かな楽曲作りのセンスを、浸るように味わうアルバムと言えるでしょう。痛快さはない分、じんわりとした味わい深さはかなりのもの。

 

M1「BLUE BIRD SHERRY」、M7「ハローエンドグッバイ」は、実にラスアラのポップナンバーらしい美メロが目立ちまくるし、M2「タナトス」、M5「a burning bullet」は、ストレートなキャッチーさを得意とするMATSUMURAさんの手腕が存分に発揮されたメロディーが光る。

 

M4「灯」なんかは、まさにLast Allianceの哀愁センスだからこそ成し得たと言わんばかりに、強烈な切なさを発揮する歌メロが素晴らしい。この哀しみと美しさのバランスは、普通のポップパンク/メロコアバンドには表現できないもののはず。

 

ラストには本作の中ではかなりアッパーで、メロディーのキャッチーさも十分なM11「time-lag-cloud」からの、本作中特に叙情ポップメロが目立ち、切なくも希望に満ちたギターソロがたまらんM12「つぼみ」へと続いていく流れがとても気持ちいいです。

 

非常にマイルドで角のとれた音作りに、疾走感の大幅減退ということで、過去作と比べてどうしてもパンチに欠けてしまう内容であることは間違いないです。しかし、彼らお得意のフックに満ちたメロディーの豊富さは、こういった内容においても決して陰ることがありません。

 

ただ、従来作に比べて哀愁よりもポップに比重が置かれている作風なので、「もっと泣かせてくれ!」という思いもあるにはあるんですけどね。

 

 

個人的に本作は

"ハードな疾走感はほぼ消滅。明るくもどこか切ない叙情ポップメロディーを際立たせた、味わい深さが魅力の作品"

という感じです。

 


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