ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

行くのがめんどくさい

最近トレーニングジムに行けてない。

 

ここ最近仕事が忙しくなり、かつ職場と家の距離が遠すぎて通勤に時間がかかるため、平日の時間はほとんど取れない。

 

じゃあ土日祝日に行けばいいじゃんって話だけど、それもまた厳しい。休日はあくまで休む日。週5でクソ早起きしている身としては、貴重な休みの日はグータラしていたいのだ。そんな日に片道30分近くかけて隣町のジムに行く気力なぞ湧かないんですわ。

 

もちろんジムには月会費というものがある。これがなかなかバカにならない値段なので、どうしても行かざるを得ない。

 

しかしモノグサであることには定評のあるこの俺、「月会費がもったいないからジムに行かなきゃ度」よりも「めんどくさいから行きたくねえ度」の方が気持ち的に勝っているのでこれはどうしようもない。誰かどうにかしてくれ。

 

そんなある日、自分の家から徒歩10分もすれば着ける所に、大型ジムがオープンしました。月会費は今通ってる所に比べて若干割高ながら、大きなメンドイポイントである「移動」がかなり省かれるのは魅力的であります。

 

しかしどうなんでしょうね。仮に今通ってるジムを解約して、新しいジムに乗り換えたところで、最初の1ヶ月2ヶ月くらいは気合いが入っても、僕の精神性からすればすぐにダルくなってサボりぎみになるのは必至。それなら割高の所に契約するとさらに損をこくだけだ。

 

そもそも今通ってるジムを解約するのがめんどくさいし、なんか嫌だ。スタッフの人に「グータラな私はあなたたちのジムにはこれ以上通えません。私はダメな人間です。」と宣言するようなもんですし。

 

だったら現状維持で今のジムを使用し続けるのがベストなんじゃなかろうか。しかし電車乗って30分かけて行く手間を考えるとな〜〜。う〜〜〜〜〜む。

 

そうこう悩んでいるうちに結局めんどくさくなって考えるのを止めるのが恒例。こうしてまた行く気が失せるのでした。

MARCO GARAU'S MAGIC OPERA 『The Golden Pentacle』

f:id:Show_hitorigoto:20211024182504j:plain

 

メタルオペラプロジェクトといえば、真っ先に思い浮かぶTOBIAS SAMMET's AVANTASIAを筆頭に、ティモ・トルキやマグナス・カールソンなど、ちょいちょいアルバムを発表しているのを見かけます。

 

今回アルバム感想として取り上げる、MARCO GARAU'S MAGIC OPERAも、そんなメタルオペラプロジェクトの一派と言えるでしょう。本作がデビューアルバムになるとのこと。

 

プロジェクトの中心人物であるマルコ・ガラウは、日本にも来日経験があり、一部の愛好家からカルト的人気を集めているクサメタルバンド・Derdianのキーボーディストでありソングライター。

 

他メンバーはベースとドラムは同じくDerdianのメンバーで(マルコ曰く本当は別の人選を予定していたけど、新型コロナウイルスの流行により予定を変更せざるを得なくなり、身内からの人選になったそう)、ヴォーカルはWINGS OF DESTINYのアントン・ダルーサ、ギタリストはShadowStrikeのマット・クライスとSEVEN THORNS(このバンドは知らない)のガブリエル・タクセンというラインナップ。

 

あまり豪華というわけではありませんが(すいません)、マニアの筋には知られているメンツを集めた感じでしょうか。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

さて、そんなメンバーが集いし本作、メロディックスピードメタルバンドから集めた人選ということで、当然ながら音楽性もメロスピなんですが、やはり中心人物として楽曲制作に携わる人がDerdianのソングライターな訳ですから、そのメロディーの質は皆さんご想像の通りです。

 

そう、めっちゃクサいです(笑) Derdian時代から数多くのクッサ〜いフレーズを生み出してきたかと思うのですが、よくもまあこんな臭いの立ち込めるメロディーを量産し続けることができるもんだなぁと。

 

どこかクラシカルと言えそうな、ヨーロピアンテイストの優雅さに加え、とにかくやりすぎなまでの哀愁のクサクサメロディーラインをキーボードとヴォーカルに注入。本当に全曲にわたってクサいフレーズのオンパレードという出来で、クサメロマニアは泣いて喜びそうな感じ。

 

そうなるとDerdianとどう違うんだ、という話になってきそうですが、このプロジェクトはキーボーディストが中心ということで、かなりシンフォニック風味のキーボードの音色が目立ちまくる。ヴォーカル以外のメロディーはほぼ全てこのキーボードが担っていると言ってもいいくらいです。

 

しかしその代償というべきか、ヘヴィメタルの花形であるギターの存在感がメチャクチャ薄い。ギターソロはあるにはあるもそんなに多くないし(普通のメタルバンドだったらギターがやるであろうリードをキーボードが代行しているパートがかなり多い)、リフに至っては全くと言っていいほど印象に残らない...。ギターリフが目立たないというのはメロスピバンドあるあるだとは思うものの、ここまで聴き取りにくくて良いものなのか。M6「The Secret Of The Sea」とかは結構頑張ってますが。

 

M3「Never-ending Pain」やM11「Until The End Of Time」などでは、デスヴォイスっぽいシャウトと共に、リズムが落ちるパートがあるのですが、ギターリフが全然響いてこない音作りのせいで迫力は皆無。これじゃ頭を振ろうにも振れんよ。

 

まあマルコとしては「ヘッドバンギングでメタルヘッズを興奮させる」のではなく、「アルバムのコンセプトを劇的なメロディーで味合わせる」というのが狙いなのだろうと思います。誤解を恐れない言い方をすればヘヴィメタルというよりは鑑賞音楽に近いかも。

 

国内盤付属のインタビューによると、「バンドで活動しているとどうしても妥協しなくちゃいけない場面があるから、このプロジェクトで思い描いたものを最後まで仕上げられる。理想のDerdianのアルバムの完成形はMAGIC OPERAサウンドだ」みたいなことを語っていますが、それでDerdianよりもメタル的エキサイトに欠けるのはどうなんでしょうね(Derdianも一般的なメタルヘッズを盛り上げるタイプの音楽ではないけど)

 

まあクサいメロディーに関しては一部の隙もないのは間違いないので、「とにかくクサメロで悶絶死したいんだ!窒息させてくれ!」というクサメロマニアの人は聴く価値ありのサウンドです。マニアというほどではない僕は、70分近くに渡るクサメロ洪水はさすがにクドすぎました(笑) M7「The Sacred Legacy」のイントロとか、バラードのM9「The Other Side」とか、特に耳を惹かれる瞬間もあるにはあるんですけど。

 

 

個人的に本作は

"クドさ満載、濃厚すぎるシンフォメロスピ。キーボードがクサメロ連発、ヴォーカルがクサメロ連発、他の楽器の見せ場はあまり無し"

という感じです。

 


www.youtube.com

RAGE 『Resurrection Day』

f:id:Show_hitorigoto:20211023233904j:plain

  • 22年ぶりに人数が増えた
  • モダンな攻撃性 meets RAGE流のキャッチーさ
  • オーケストラによる壮大なバッキング

 

ドイツのベテランヘヴィメタルバンド・RAGEの最新作。ずっと3ピースの印象が強いバンドでしたが、ここにきてメンバー編成がツインギターの4人編成へと生まれ変わりました。4ピースになるのはなんと22年ぶりというのだから驚きです。

 

今までギターを務め、LOUD PARKでは見事な歌唱力でDIOの「Holy Diver」を歌い上げていたマルコス・ロドリゲスは本作発表前に脱退、後任としてシュテファン・ウェーバージーン・ボーマンという、両方とも僕の知らんバンドで活躍していたらしき人物が加入しています。

 

ただこのバンドは中心人物であるピーター・"ピーヴィー"・ワーグナー以外のメンバーはかなり流動的で(特にギタリスト)、実質的にはピーヴィーのプロジェクトみたいな存在なので、メンバー編成がどう変わろうと基本線であるRAGEスタイルは変わらない。MEGADETHみたいなもんですね。

 

正統派メタルというにはパワーメタル的な突進力、モダンな質感が強く、かといってモダンヘヴィネスとは言えないメタリックなリフ、メロディックパワーメタルと呼ぶにはメロディーラインが硬派と、これまで打ち出してきたRAGE流パワーメタルを本作もしっかり踏襲しているので、ファンであればまず間違いない一作のはずです。

 

パワーメタルとして十分にアグレッシヴで、リフもしっかり練り込まれた重厚なものを聴かせてくれますが、そこかしこで主張されるオーケストレーションがうまく作用し、メロディアスでドラマチックな印象も色濃くなっています。アグレッションとメロディアスさのバランス感覚は相変わらず優れていますね。

 

SEであるM1「Mement Vitae (Overture)からしてファンタジーRPGみたいな壮大さを醸し出していますが、そこから続くタイトルトラックM2「Resurrection Day」はヘヴィさ渦巻くリフで疾走しアグレッシヴさは全開、そこからキャッチーなサビへと繋いでいくRAGEらしいパワーナンバー。

 

M3「Virginity」は初っ端から「オ゙ォ゙ヴッ!」とシャウトしながら疾走し、より重心を低くしたリズミカルかつパワフルリフが主導し、続いてのM4「A New Land」はピーヴィーのヴォーカルがより壮大にサビを彩り、メロウなリードギターも顔を出す。しかしその後のM5「Arrogance And Ignorance」は噛み付くようなデスヴォイスと、ヘドバン必至のヘヴィリフがフィーチャーされる曲と、彼らのヘヴィで攻撃的な面とメロウさに秀でた面を織りなした展開が続きます。

 

そんな本作のハイライトとなる場面は中盤のM6「Man In Chains」〜M7「The Age Of Reason」の二連続となる中盤ですね。平均点の高い本作の中でも、特にこの2曲の出来が良い!

 

M6は特にキャッチーさを際立たせたサビメロがとにかく魅力。爆発力あふれる突進力と相まって、一際爽快感の高い疾走ナンバーに仕上がっています。

 

M7は本作のパワフルでヘヴィ、そしてキャッチー、さらにオーケストレーションを用いて壮大に仕上げるという本作の要素全て詰め込んだキラーチューン。冒頭のオーケストラが壮麗な雰囲気を演出し、キレのあるリフで爆走しつつ、バッキングにもストリングスサウンドを絡め、サビは非常にドラマチック、速弾きとリードをうまく併用したギターソロも疾走感抜群でカッコいい。まさに山場にふさわしい名曲と言えましょう!

 

この曲の印象がどうしても強くなってしまいがちなのですが、ヘヴィサウンドとオーケストラサウンドの融合っぷりでは、M10「Travelling Through Time」も聴き逃せませんね。もう少し歌メロにキャッチーさが欲しいけど。

 

全編にわたり、ピーヴィーの個性的なヴォーカルに、ヘヴィさとキャッチーさを併せ持ったパワーメタルサウンドが絡む安心安定のRAGEサウンド。そこに存在感を増したオーケストラがアグレッションを邪魔しない程度に入り混じって、かなり聴きごたえある良作に仕上がった感がありますね。20枚以上アルバム出したベテランになっても、ここまで安定して良作を出し続けるバンドの力に唸らされる一枚です。

 

 

個人的に本作は

"4人になっても相変わらず、重厚なヘヴィさと怪しげなキャッチーさが絡むRAGEワールド。オーケストラとの共存っぷりもバッチシ"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com

ALIVES 『Code of Alives』

f:id:Show_hitorigoto:20211020004038j:plain

  • G4N脱退後の初の音源
  • パンク的な破壊力のバンドサウンドは薄い
  • ほんのり切ないメロによるエモ路線を徹底

 

前回感想を書いたばかりのGOOD4NOTHINGから、2019年に脱退したヴォーカルギターのTANNYさんが立ち上げたバンド(プロジェクト?)の、記念すべき1stフルアルバム。

 

正式なメンバーは中心人物のTANNYさんのみで、サポートメンバーとしてベースにはSHACHI(懐かしッ!と思ったら、2015年から再結成して活動中らしい)のHIDETAさん、ドラマーは二人いて、僕はどちらも知らない人でした。

 

彼がG4Nを脱退した理由として、「音楽性の違いが大きくなっていった」「このバンドでは表現できない音楽をやっていきたい」というものであり、脱退後はちょいちょい弾き語りなどを行っていたそうですが、ここにきてようやく「G4Nではできなかったこと」を本格始動させていこうという気になったのでしょうか。

 

そんな彼の生み出した新たな音楽は、シンセやピアノなどのソフトな音色を要所で取り入れたエモ/メロコアと呼べるもの。

 

G4Nは「パンク要素を取ったらほぼ何も残らない」と言ってしまっていいほど、真っ直ぐなメロコアサウンドでしたが、本作で聴ける曲はメロコアを基調としながらも、あそこまでバカっぽいパンクらしさは薄い。ギターの主張も控えめで、歪みも軽くギターソロも無し。メロコアというよりは、LOCAL SOUND STYLEやFAT PROPなどのエモバンドを聴いた時の感覚に近いです。

 

本作の中では特にストレートなメロコアチューンであるM2「Believe」や、1分ほどで終わるショートチューンM9「1 minute blast」のような曲でさえ、攻撃性よりも軽やかさの方が強いくらいです。これはやはりギターの存在感が薄いからかな。G4N時代から彼のギタープレイは前面に出てくるタイプではありませんでしたからね。

 

僕としてはやはり、愚直に突っ走り、骨太な音色でリフをかき鳴らすG4Nタイプのメロコアの方が好きなんですが、本作で聴けるほんのり切ないエモ的なメロディーと、それを活かしたバックのアレンジはなかなか悪くないと思えました。今まで悪ガキっぽさを感じさせてきたTANNYさんのヴォーカルも、こういうウェットでソフトなサウンドにも存外ハマっている。

 

ただ、似たタイプの楽曲が立て続き、かつ飛び抜けたキラーチューンも無い本作は、アルバム1枚聴き通すと若干刺激が足りなく感じてしまうのが正直なところ。破壊的な勢いであっという間に聴き通せるメロコアスタイルとは違い、聴かせるタイプのエモ路線だと、どうしても物足りなさが顔を出してしまう。収録時間が短いため、ダレるというほどでもないのが救いですが。

 

あと、こんなことを書くのもどうかと思いますが、確かに本作で聴ける音はG4Nとは別物ではありますが、「絶対にG4Nで出来ないタイプの曲か」と言われればそうでもないので、「脱退しなくてもこういう曲の発表の場はあったのでは...?」という思いがど〜〜〜しても頭をよぎってしまう。リスナーって身勝手でイヤですね。

 

当人たちは何度も話し合い、覚悟を決めた上でそれぞれ別の道に進んだハズですから、内情を知らない外部の人間があーだこーだ言うのは野暮だと百も承知ですし、今更「G4Nに戻ってくれ!」とは言うつもりは全く無いんですけどね。如何せんいまだに"3ピースのGOOD4NOTHING"というものに違和感が拭えないもので...

 

ただまあ本作の曲をG4Nでレコーディングするとしたら、せいぜい変わり種の曲としてアルバムに1曲入れるくらいが関の山だっただろうから、単体のアルバムとしてリリースできたことは、TANNYさんが新バンドを始動させた意義となるはず。

 

 

個人的に本作は

"メロコアっぽさを多少見せつつ、ダンサブルな要素やシンセを導入した叙情ポップエモ"

という感じです。

 


www.youtube.com

この曲が一番メロコアっぽい

 


www.youtube.com

本作の路線を象徴するのはこの曲かな

GOOD4NOTHING 『Kiss The World』

f:id:Show_hitorigoto:20211018000416j:plain

  • 西海岸パンクの影響が色濃いメロコア
  • ポップな開放感、ほのかな哀愁、何気にテクニカル
  • 後のアルバムと比べて音質や演奏はやや荒め

 

前回のCD感想がIRON MAIDENの最新作という、難解かつ長大、オジ様向けの音楽(?)だったので、その反動を受けて今回はクソガキ臭漂うキッズ向け音楽を取り上げます。

 

個人的に「日本で最もキッズ向けの音楽を鳴らしているバンド」と認識している、4ピース(2019年にギターヴォーカルのTANNYさんが脱退して現在は3ピース)ロディックハードコアバンド・GOOD4NOTHINGの、2007年に発表した4thフルアルバム。

 

GOOD4NOTHINGは昔から楽曲の方向性が一貫しており、かつどのアルバムもクオリティーが安定して高いが故に、抜きん出た完成度を誇る傑作みたいなものが無い印象ですが、ライヴ定番の名曲を収録しているという理由で、一応本作が代表作扱いされている感じがあります。

 

後に出したアルバム群の方がヴォーカルも演奏も明らかに上手くなっており、音質も向上しているので、今改めて聴いてみると、本作の時点ではまだ未整理・未成熟な感じがあるのも事実。ただし西海岸パンクに強く影響を受けたポップで開放感あるメロディーに、単なるポップパンクに陥らないほのかな湿り気・叙情性も持ち合わせているメロコア路線は、本作の時点で確立しています。

 

オープニングとラストを飾るM1「It's My Paradise」とM12「Cause You're Alive」はライヴでもお馴染みのナンバー。シンガロング必至のドチャクソキャッチーなサビと、この頃から技巧的な一面ものぞかせているギターソロを持つ前者、大団円という言葉がよく似合うクライマックスを演出し、ポップながら哀愁を帯びたメロディーに胸を熱くする後者。どちらもこのバンドを語る上では外せない名曲。

 

この2曲が彼らの核となっているがために、その他の曲は現在ではやや存在感が希薄になっているきらいがあるも(何度か彼らのライヴは観たことがありますが、この2曲以外聴いたことない)、もちろんその他の曲も上質なものが多い。

 

ピロピロしたギターがのっけからインパクトを放ち、アメリカンなポップさの中に叙情性を見出せる疾走曲M2「The Rainy Season」、シンプルな爆走感に身を委ねつつ、より哀感を強めた(もちろんメロウになりすぎることはない)M3「Let Me Go」、タッピングのイントロから軽快に疾走し、程よく切なさを含んだサビが抜群にキャッチーで気持ちいいM5「Turning」、何気にギターが小刻みでパワフルなリフで主張するM7「Shouting My Heart」など、全編にわたってベタでノーマル、だけれども普遍的な魅力を持ったメロコアチューンのオンパレード。

 

中でも強力なのが、我らが愛するライヴハウスに生み出されしモッシュピットを賛美したM10「In The Mosh Pit」ですね。シンガロングに興奮を抑えきれぬ爆走、彼ららしいキャッチーなメロディーを取り込んだ激アツショートチューンで、キッズなら間違いなくブチアガり、半狂乱になりながらモッシュピットに揉まれ潰れること必至!代表曲であるM1やM12を差し置いて、この曲が一番好きかも。

 

やってることはあまりにもスタンダードであり、それでいてHawaiian6dustboxLast Allianceのような哀愁バリバリのメロディーもなく、良くも悪くもポップなメロコアの王道を突き進む音楽性。この手のスタイルが好きならハマり、そうでない人は良さを見出すことは困難なアルバムでしょう(それは本作に限らず彼らのアルバム全部に言えることですが)

 

やはりキッズとしてライヴハウスという空間を愛し、そして速くてカッチョいい曲を狂ったように聴いていた僕からすると、本作に込められた音は紛れもなく「魅力的な音」。何の不純物も無いメロコアには、いつだって17歳の頃の自分を思い出させてもらえるのですよ。

 

 

個人的に本作は

"グッフォ節100%のスタンダード・ハイクオリティーなメロディックハードコア。アメリカンなポップさと、ほのかに滲む叙情性の共存が魅力"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com

今年のライヴ映像で、本作収録の「It's My Paradise」をプレイしています。TANNYさんのヴォーカルパートはベースのMAKKINさんが歌っており、ハスキーで野太い声はカッコよくはあるものの、やはりTANNYさんの悪ガキ感満載の歌声が聴こえてこないのは違和感があるな...

IRON MAIDEN 『Senjutsu』

f:id:Show_hitorigoto:20211014010443j:plain

  • ヘヴィメタルの大御所、6年振りに帰還
  • 長尺志向ながら耳を引く瞬間は何気に多い
  • 10分越え3連チャンのDisc2を乗り越えられるかがキモ(俺はキツい)

 

もはや説明不要のビッグネーム、ヘヴィメタル界における大重鎮の17thフルアルバム。

 

前作『The Book Of Souls』からは約6年振りとなり、このアルバム間のスパンは過去最長なのだとか。ベテランバンドって平気で10年くらい新作出さなかったりするから、6年が最長と言われるとちょっと意外ですね。

 

IRON MAIDENというバンドは、過去このブログでも取り上げた『Seventh Son Of A Seventh Son』や『Somewhere In Time』などは、素晴らしい完成度を誇る名盤と認識しているのですが、いかんせんここ数作の比較的新しいアルバムに限って言うと、あまりに楽曲、ひいてはアルバム全体が長尺傾向にあり、間延びしたりダレたりするのが当たり前。正直に言って高い評価を下すことが難しい作風になってしまっています。

 

本作もまた、前作に引き続き2枚組で80分越え。10分以上の楽曲が3曲も入っているなど、相変わらずの大ボリューム加減。聴く前から「今回もまたダレそうだな...」と、多少尻込みしてしまいますが、やはりヘヴィメタルファンの端くれとしては、彼らの新作を避けて通ることはできないわけでして。

 

何度か聴いてみた感想としては、少なくとも前作よりも印象が良い。長すぎて集中力が続かないのは間違いないですが(汗)、荘厳なムードやドラマチックな旋律で耳を引かれる瞬間が何気に多く、常にダレっぱなしという事態に陥ることなく聴かせてくれる作品にはなっているのでは。

 

前述の通り本作は2枚組仕様となっており、特に1枚目が良い感じ。オープニングを飾るM1「Senjutsu」は8分以上の大作で、さほど大きな起伏もなく進む地味な楽曲(タイトルトラックなのに)ですが、その後のM2「Stratego」は、現在の彼らにしては割とストレートな勢いに溢れたサウンドで展開。

 

リードトラックであるM3「The Writing On The Wall」も、どこか土臭い哀愁を放つクリーンギターに、ドラマチックなギターリフとヴォーカルメロディーが主導する楽曲。大きなスケールを持つサビと、後半の長いギターソロが聴きどころ。

 

本作中特に短いM5「Days Of Future Past」もわかりやすいノリの良さで展開していて気持ちが良いし、長尺ナンバーであるM4「Lost In A Lost World」とM6「The Time Machine」においても、堂々とした楽曲のムードと緊張感が保たれていて、流石に昨今のメタルに慣れた耳だとどうしても地味に響いてしまうものの、そこまでダレさせるような構成になっていないのが嬉しいですね。

 

M4はスティーヴ・ハリス特有のバキバキ鳴るベースのアタック音と、意外にも力強さが強調されたリフにより、その他の曲よりパワーが増した印象を受けるし、Disc1のラストとなるM6は、何度も繰り返されるギターフレーズがこれまたドラマチックで良い。

 

ただ問題はやはり10分越えの楽曲を3曲含んだことによって、4曲しかないのに40分越えとなってしまったDisc2。これを聴き通す頃には、もうだいぶ集中力が削がれてしまっているんですよね...

 

最後の最後で大作を、それもそこまで目立つテンポチェンジもなく、淡々と進み行く展開の多い曲を3連チャンで聴かされるのは、長い曲を得意としていない僕にとってはだいぶ厳しい。

 

ティーヴ・ハリスは、本当にこれらの曲には無駄な要素が一切なく、全ての箇所に必然性があると思って作曲したのだろうか...?長いインストパートとかもっとゴリゴリに削ってもいいと思うんですが...?

 

よくよく聴けば部分部分で良いなと思える旋律があるだけに、このダレを生む長ったらしい展開が実に惜しい。全パートをしっかり脳裏に叩き込むくらいに聴き込めば良さが見出せるのかもしれませんが、そこまでする根気も時間も僕にはありません...。他に聴きたいアルバムあるし。

 

Disc1のみの印象ならそこまで悪くなかったから、それプラスアルバムの締めにふさわしい楽曲をあと2〜3曲だけ入れて、全曲合わせて60分以内に収めたディスク1枚分の作品に仕上げていれば、もっと魅力が底上げされたんではないかと思います。

 

 

個人的に本作は

"要所で聴ける劇的な旋律とスケール感はさすがメタルの重鎮!でもやっぱ長い。特に2枚目"

という感じです

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com

MinstreliX 『11 Trajectories』

f:id:Show_hitorigoto:20211011234040j:plain

  • J-METALシーン最強レベルのクサメロ
  • 煌めくキーボードのアレンジで豪華に彩る
  • 歌唱スタイルが気になる人はいるかも

 

大阪府出身のメロディックスピードメタルバンド・MinstreliXの、前作フルより7年振りとなるフルアルバム。

 

彼らの過去曲はあまり聴けていないのですが、もちろん名前は前々から存じ上げてました。クサメタラー達にとっては伝説的存在であると。

 

2004年に発表したデモ音源「Thirst For...」のあまりのクサさに、鼻がひん曲がった状態でブっ倒れるクサメタラーが続出、その後出した音源も軒並み異臭を漂わせたものばかりと、日本のクサメタル界の金字塔とも呼べるバンドです。

 

僕はクサいのももちろん好きですが、キャッチーであれば必ずしもクサさには拘らないクチだったので、取り立てて音源を追っかけてはきていませんでしたが、GALNERYUSHELLOWEENにEDU FALASCHIと、メロスピ/メロパワ界隈がやけに新作発表に意欲的で、その流れに乗ってきたこのバンドにも興味を惹かれまして。しかもフルアルバムとしては7年振りというのも「せっかくだから聴いてみるか」という気にさせてくれました。

 

そして聴いてみて、クサメタラーがかつて悶絶死を遂げたというのも納得しました。

だってクサいんだもん。クサくない瞬間がないんだもん。

 

漫画『SLAM DUNK』で、週刊バスケットボールの中村君が河田雅史のことを「おっきくてウマい」と表現していましたが、彼らMinstreliXはさしずめ「クッサくて速い」。

 

謡曲っぽさはそれほど強くなく、キラキラした様式美系キーボード(M3「The Eternal Journey」ではGALNERYUSのYUHKIさんが参加)を用い、時にフォーキッシュなメロディーが顔を覗かせつつも、ヨーロピアンな雰囲気を保つ煌びやかなメロディーラインで疾走する。歌謡メタルではなくあくまで欧州風味のメロスピ

 

しかしそのメロディーが、下手な歌謡メタルよりも濃厚と言ってしまえるほどクサい!イントロのM1「To The Distant Skies」から、早速ギターが鬼のようにクサいメロディーを垂れ流し、続く実質的オープニングナンバーのM2「Memento Mori〜The Goddess Pt.2〜」は始まった瞬間からクサクサのサビメロをリードギターで唸らせる。ゴージャスなキーボードとオケヒも飛び出し、豪華絢爛という言葉がよく似合うメロスピへ。エリサ在籍時のDark Moor辺りをこよなく愛した者にとっては「これを聴きたかった!」と感涙に咽びながら、鼻をつまんで喜ぶことでしょう。

 

やや歌モノ寄りの側面を出したM5「Invisible World」、M8「Black Eyes」のような曲も用意しつつ、基本は疾走感重視の王道クサメロスピを気持ちいいほど貫いていて、異臭を愛するメタラー歓喜の展開が終始続きます。

 

ただそんな本作、一つだけ大きく気になる点があります。それがヴォーカルの歌い方。

 

Leo Figaroさんのヴォーカルはよく言われているように、非常にハイトーンが達者で、要所要所でスパッと突き抜けるロングシャウトを披露し、実に見事なんですが......通常のヴォーカルパート、普通に歌っている箇所についてちょっと違和感を感じてしまったんですよ。「アレ?この人こんな真っ直ぐすぎる歌い方だったっけ...?」と。

 

なんというか、抑揚やら起伏やらをほとんどつけず、ひたすら真っ直ぐ。そんな感じの声なんですよ。「Thirst For...」ではもっと声色豊かに歌っていたと思うんですが...(20年近く前の音源と比べるのもアレですが)

 

英語の発音がジャパニーズイングリッシュなのは日本のバンドなのである程度仕方ないものの、この真っ直ぐな歌声との相乗効果で、より耳につきやすくなってる感もありつつ...。何度か聴き直しても、どうしても違和感が拭えませんでした。

 

そんなヴォーカル面の気になる部分はありますが、やはりこのメロディーのやりすぎなまでのクサさ加減、それを活かすゴージャスなサウンドのアレンジは、麗しきメロスピの愛好家であれば間違いなくツボにハマるはず。Dark Moorの2nd、3rdにかつてヤられた人なら、必ずや響くものがあると思いますよ。

 

もし本作が20年ほど前にリリースされていたとしたら、日本各地でクサメタラーは大フィーバー、一大センセーションを巻き起こしていたのではないかとすら思えますね。2021年の音楽シーンで、果たしてこのスタンスがどれだけ受け入れられるか...

 

 

個人的に本作は

"ヨーロピアンスタイルを貫き通した豪華絢爛クサメロスピ。メロディーのクサさだけなら間違いなく2021年最強クラス"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com