他メンバーはベースとドラムは同じくDerdianのメンバーで(マルコ曰く本当は別の人選を予定していたけど、新型コロナウイルスの流行により予定を変更せざるを得なくなり、身内からの人選になったそう)、ヴォーカルはWINGS OF DESTINYのアントン・ダルーサ、ギタリストはShadowStrikeのマット・クライスとSEVEN THORNS(このバンドは知らない)のガブリエル・タクセンというラインナップ。
しかしその代償というべきか、ヘヴィメタルの花形であるギターの存在感がメチャクチャ薄い。ギターソロはあるにはあるもそんなに多くないし(普通のメタルバンドだったらギターがやるであろうリードをキーボードが代行しているパートがかなり多い)、リフに至っては全くと言っていいほど印象に残らない...。ギターリフが目立たないというのはメロスピバンドあるあるだとは思うものの、ここまで聴き取りにくくて良いものなのか。M6「The Secret Of The Sea」とかは結構頑張ってますが。
M3「Never-ending Pain」やM11「Until The End Of Time」などでは、デスヴォイスっぽいシャウトと共に、リズムが落ちるパートがあるのですが、ギターリフが全然響いてこない音作りのせいで迫力は皆無。これじゃ頭を振ろうにも振れんよ。
SEであるM1「Mement Vitae (Overture)」からしてファンタジーRPGみたいな壮大さを醸し出していますが、そこから続くタイトルトラックM2「Resurrection Day」はヘヴィさ渦巻くリフで疾走しアグレッシヴさは全開、そこからキャッチーなサビへと繋いでいくRAGEらしいパワーナンバー。
M3「Virginity」は初っ端から「オ゙ォ゙ヴッ!」とシャウトしながら疾走し、より重心を低くしたリズミカルかつパワフルリフが主導し、続いてのM4「A New Land」はピーヴィーのヴォーカルがより壮大にサビを彩り、メロウなリードギターも顔を出す。しかしその後のM5「Arrogance And Ignorance」は噛み付くようなデスヴォイスと、ヘドバン必至のヘヴィリフがフィーチャーされる曲と、彼らのヘヴィで攻撃的な面とメロウさに秀でた面を織りなした展開が続きます。
そんな本作のハイライトとなる場面は中盤のM6「Man In Chains」〜M7「The Age Of Reason」の二連続となる中盤ですね。平均点の高い本作の中でも、特にこの2曲の出来が良い!
オープニングとラストを飾るM1「It's My Paradise」とM12「Cause You're Alive」はライヴでもお馴染みのナンバー。シンガロング必至のドチャクソキャッチーなサビと、この頃から技巧的な一面ものぞかせているギターソロを持つ前者、大団円という言葉がよく似合うクライマックスを演出し、ポップながら哀愁を帯びたメロディーに胸を熱くする後者。どちらもこのバンドを語る上では外せない名曲。
ピロピロしたギターがのっけからインパクトを放ち、アメリカンなポップさの中に叙情性を見出せる疾走曲M2「The Rainy Season」、シンプルな爆走感に身を委ねつつ、より哀感を強めた(もちろんメロウになりすぎることはない)M3「Let Me Go」、タッピングのイントロから軽快に疾走し、程よく切なさを含んだサビが抜群にキャッチーで気持ちいいM5「Turning」、何気にギターが小刻みでパワフルなリフで主張するM7「Shouting My Heart」など、全編にわたってベタでノーマル、だけれども普遍的な魅力を持ったメロコアチューンのオンパレード。
中でも強力なのが、我らが愛するライヴハウスに生み出されしモッシュピットを賛美したM10「In The Mosh Pit」ですね。シンガロングに興奮を抑えきれぬ爆走、彼ららしいキャッチーなメロディーを取り込んだ激アツショートチューンで、キッズなら間違いなくブチアガり、半狂乱になりながらモッシュピットに揉まれ潰れること必至!代表曲であるM1やM12を差し置いて、この曲が一番好きかも。
前作『The Book Of Souls』からは約6年振りとなり、このアルバム間のスパンは過去最長なのだとか。ベテランバンドって平気で10年くらい新作出さなかったりするから、6年が最長と言われるとちょっと意外ですね。
IRON MAIDENというバンドは、過去このブログでも取り上げた『Seventh Son Of A Seventh Son』や『Somewhere In Time』などは、素晴らしい完成度を誇る名盤と認識しているのですが、いかんせんここ数作の比較的新しいアルバムに限って言うと、あまりに楽曲、ひいてはアルバム全体が長尺傾向にあり、間延びしたりダレたりするのが当たり前。正直に言って高い評価を下すことが難しい作風になってしまっています。
リードトラックであるM3「The Writing On The Wall」も、どこか土臭い哀愁を放つクリーンギターに、ドラマチックなギターリフとヴォーカルメロディーが主導する楽曲。大きなスケールを持つサビと、後半の長いギターソロが聴きどころ。
本作中特に短いM5「Days Of Future Past」もわかりやすいノリの良さで展開していて気持ちが良いし、長尺ナンバーであるM4「Lost In A Lost World」とM6「The Time Machine」においても、堂々とした楽曲のムードと緊張感が保たれていて、流石に昨今のメタルに慣れた耳だとどうしても地味に響いてしまうものの、そこまでダレさせるような構成になっていないのが嬉しいですね。
Leo Figaroさんのヴォーカルはよく言われているように、非常にハイトーンが達者で、要所要所でスパッと突き抜けるロングシャウトを披露し、実に見事なんですが......通常のヴォーカルパート、普通に歌っている箇所についてちょっと違和感を感じてしまったんですよ。「アレ?この人こんな真っ直ぐすぎる歌い方だったっけ...?」と。