ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ulma sound junction 『Reignition』

  • 新曲と過去曲を混ぜたメジャーデビュー作
  • ロディアス&プログレッシヴ&ヘヴィ
  • 破壊と激情を表現するヴォーカルワーク

 

2005年に沖縄県石垣島で結成された4ピースプログレッシヴメタル/カオティックハードコアバンドの最新EP。

 

これまでにもバンド名自体は目にしたことがあり(最初に存在を知ってからしばらくは「ultra sound junction」とバンド名を誤読していました)、インディーズバンドコンテストのEmergenza Music Festivalにおいて優勝するなど、実力派バンドなのだろうな〜と思ってはいました。

 

しかし、すっかり情報が溢れかえり、仕事もどんどん忙しくなっていった昨今。SNSとかでチラッと見かける程度の接点だけでは、なかなか音源を聴くまでには至らないというのが現状です。チラッとMVを見るくらいはしたものの、音源をしっかりと聴くことはありませんでした。彼ら以外にも「名前はなんとなく知ってるけど触れてない」という存在のなんと多いことか...

 

結局彼らとのファーストコンタクトは、キングレコードからのメジャーデビュー作ということで話題になった本作からとなりました。

 

本作は純粋な新作とは言い難く、新曲はM1「Modern Breed」のみ。残りの4曲はインディーズ時代に発表した曲のリレコーディングトラック。メジャー一発目の音源で再録モノから入るというのも珍しい気がしますが、まずは自分達の音楽がどのようなものなのか知らしめる目論みがあるのでしょうか。

 

収録曲数はわずか5曲ですが、複雑怪奇にねじれ回るサウンドの妙により、全体的に長尺傾向にあり総収録時間は30分以上に及ぶ。正確無比かつ高い水準の技巧により、変拍子もものともせず構築する演奏、シャウトもクリーンも達者なヴォーカルが織りなす楽曲群。ニューメタル的なヘヴィさ、国産ラウドらしいメロウなアプローチ、カオティックハードコアとしての情報量により、かなりのインパクトを放つことに成功しています。

 

ちょっと語弊のある表現になってしまいますが、「プログレメタル化したPay money To my pain」と言いたくなるような感じ。クリーンヴォーカルのパートについては、どことなくPTPのKさんに通じる雰囲気がありますよね。PTPよりヘヴィ志向ですけど。

 

まず前述した新曲のM1ですが、これがまずオープニングとして強力。Djent的にも思えるモダンでヘヴィ、かつプログレッシヴに動き回るリフと、その奔放さを以上にテクニカルに支えるリズム隊の応酬が飛び交うサウンドから早速圧倒されます。そこにデスヴォイス・クリーンヴォイス共に達者な(これをテクニカルなベース捌きをしながらというのが恐ろしい)田村ヒサオさんのヴォーカルが乗っかる。インパクト抜群の演奏に負けないほど雄大、かつ攻撃的にヴォーカルラインを彩る。

 

やたら入り組んだ展開に、かなりヘヴィに刻まれるパートを経てから続くサビは、今までから一転して非常にキャッチー。まるで視界が一気に開けたかのように雄大な歌メロが響き渡るのが印象深く、つい聴いていてメロディーを口ずさんでなぞってしまいたくなる中毒性があります。

 

その後のリレコーディング曲についても(僕は過去作を聴き込んでないので実質新曲)同様にバンドの個性が息づいた楽曲で構成されています。M2「Rotten Apple」はリズムの掴みづらいドラムに翻弄されながら聴き進めていくも、サビになるとストレートかつメロディアスな展開へと移り変わる様が美しい。緊迫感を高めるベースから、やたら高密度に暴れ回る演奏力に意識を振り回されるばかり。

 

M3「Utopia」は、前曲に比べるとノリやすいリズム("bury and bury and bury"のトコとか)で縦ノリやモッシュを誘発させ、きめ細かなギターソロを挟みつつ、穏やかなクリーンパートを利用した、明確なストップアンドゴーも目立つ楽曲。これまたメロウなサビで聴きやすさを演出し、ラスト付近ではバスドラ連打による爆走パートも。

 

M4「Idea」は10分近くに及ぶ本作最長の楽曲。基本的にアグレッシヴなパートが多い本作にあって、スローさを全面に押し出したナンバーです。基本クリーンギターを基調として淡々と進み行き、途中で絶叫と共にヘヴィリフが刻まれ徐々にテンポアップしていく様に高揚させられます。ただ、やはりプログレを得意としていない僕としては、少なからずダレを覚えてしまうのは事実か。

 

M5「Elem-5/6/7」は、曲名からしてなんか小難しそうな臭いがプンプンするんですが、蓋を開けてみると最もサビのメロディーが美しい哀愁に満ちていて、一番とっつきやすい曲と言えるかも。ヴォーカルの表現力の高さが、こういったエモーショナルさ重視の曲もアリにしてしまっていますね。激しく複雑な演奏だけが武器でないことを物語っています。ラストのシャウトが迫力がありつつ切ない...!

 

一手先をまったく読ませない複雑な展開を見せるバンドサウンドに、激情も破壊衝動も見事に表現せしめるヴォーカル、モダンでヘヴィなプログレサウンドなのにエモーショナルとすら言いたくなるメロディアスなサビと、わずか5曲ながらかなり濃密な内容。これは世界で認められるのも当然と思えるハイレベルな1枚でした。

 

プログレッシヴロック/メタルというジャンルには、どうしても苦手意識が拭いきれない僕ですが、そんな人間さえ不可思議な中毒性に侵されてしまっております。

 

 

個人的に本作は

"テクニカルでモダンヘヴィなプログレと、アグレッシヴでメロウなハードコアの融合"

という感じです。

 


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Northern19 『LUCKY CHARMS』

  • 15分半の短さに活きるバンドの個性
  • 全体通して明るくライトな雰囲気が強い
  • オープニングチューンはキッズ大喜びのキラー

 

去年・一昨年と精力的に音源を発表し、バンバン全国ツアーも展開してきている姿勢が実に頼もしい3ピースメロディックハードコアバンド・Northern19の、ミニアルバムとしては7年ぶりになる作品。

 

2ndミニアルバム『PRESENCE』がもう7年前の作品だということにちょっと慄いております。「MESSAGE」とか、まだ割と新しめの楽曲という認識なんだけどな。

 

ただ、その期間を経ても作品自体の方向性は何ら変わっていない。実にノーザンらしい楽曲で占められていて潔いです。

 

去年発表したシングル『MOVE ON』はどちらかというとメロウで哀愁よりの作風でしたが、そこからツアーを経て作られた本作の楽曲は、やや明朗でポップな雰囲気をまとったものが主軸。もちろん底抜けに明るいポップパンクではなく、あくまで日本のメロコアらしい翳りがあるのが嬉しい。

 

まず何と言っても、オープニングを飾るM1「MEMENTO MORI」が素晴らしい。ポップさとどこか切ない哀愁が理想的なバランスで混在したサビは、歌メロに入った瞬間に「ノーザンのキラーだ!」と脊髄反射的に喜びたくなること請け合い。これこれ、好きこういうの。

 

疾走曲と呼べるものはそのM1とラストのM6「SURVIVE」くらいで、その他はポップよりだったり、ミドルテンポでノーザンらしい叙情性を発揮したりといった楽曲が立ち並ぶ。これまで彼らが発表してきたフォーマットに則った楽曲ばかりのため、新鮮味はあまりないものの、彼らの個性は充分に活きています。

 

ただやっぱりもうちょっと勢い重視の楽曲も欲しかったかな...。彼らのミドル曲はそれはそれで魅力のあるものですが、やはり疾走曲の破壊力と比べると一歩劣る印象が拭えないので。

 

ただM2「CALL ME」はブラストばりにアグレッシヴなドラムが登場したり、M3「FANTASY」はエモコアに接近した哀感のあるヴォーカルメロディーが支配的だったりと、しっかり聴きどころを作ってくれているので、退屈な瞬間は無い。

 

ポップサイドとなるM4「DUMB」とM5「NOW OR NEVER」は、どちらも牧歌的と言えるような雰囲気が支配的。緊張感を保たずにのんびり聴ける一幕となっています。こういう曲調でも、バッキングのコーラス、歌メロの運び方でバンドの個性はしっかりと放っているところが良いですね。なおM5は、ベースの敦賀さんがメインヴォーカルを務める初の曲であり、甘めの声質が曲調にマッチしています。

 

前述のM6はハードコア成分を強めたアグレッシヴなリフ、性急なリードヴォーカル、その中でも良さを失わないメロディーが光る楽曲。インタビューでは「遊んでいる感じもdustboxの影響はかなりある」と述べていましたが、そう言われてみると確かにdustboxのハードコアチューンに通じる雰囲気あるかも。

 

6曲合わせて15分半、一番長い曲で3分ちょいという極めてコンパクトな内容ながら、Northern19というバンドができることをソリッドに詰め込んだ一作という印象。最初と最後にキラーを配置し、合間にバンドが再現できる振れ幅を演出したような作りなので、これ一枚でバンドの資質がザックリと掴める内容です。

 

 

個人的に本作は

"バンドの個性が活きた疾走キラーとミドルチューンを極めて短く、明るく、わかりやすくまとめ上げた一枚"

という感じです。

 

MVが無いようなのでひとまずこれ

5/4 摩天楼オペラpresents 15th Anniversary Live at 大手町三井ホール

VersaillesやJupiterと並んで、ヴィジュアル系ロディックメタルの代表格とも言えるポジションを確立している摩天楼オペラの、結成15周年記念ライヴに行ってきました。

 

しばらく彼らのライヴは観ていませんでしたが、観てない間にギタリストのJaYさんが脱退しており、サポートとして平賀雄介さんという方がギタリストとして1年半ほど帯同していたそう。今回もそのメンツでのライヴとなります。

 

場所は初めましてとなる大手町三井ホール。大手町なんて、仕事以外の用事では絶対に来ることのなさそうな場所ですが、まさかメタルのライヴで降り立つとは思いませんでしたね。東京駅から歩いて向かったのですが、もう完全にオフィス街でしかないものなあ。

 

道自体は単純なので、さして迷うことなく会場へ到着。完全にオフィスビルにしか見えないですが、オペラーの皆様に混じってエスカレーターで目的の階へ。やはり女性客が大半で、男性客もいわゆるギャ男っぽいイケてる見た目の人が多い。メロディックメタルリスナーのメイン層である(?)イケてないナリのメタルヘッズはほぼ皆無でしたね...

 

会場自体は非常に綺麗かつシャレた空間になっており、非常に快適に観られるホール。結構早い段階でチケットを取ったつもりだったのに、ものの見事に最後方の位置だったのがなんだか納得いきませんが、まあファンクラブ先行とかで大半が売れちゃったんでしょうきっと。

 

ライヴハウスでもないのにワンドリンク制であることにちょっと釈然としない思いを抱きつつ席につき、開演時間を10分ほど押してから暗転。優雅なSEに導かれるように幕が開かれ、モノトーンを基調とした衣装に身を包んだメンバーが登場。色味が少ない分、ドラムの響さんの真紅と言えるほどに真っ赤な髪の毛が目立つこと目立つこと。

 

Eternal Symphony」からスタートすると、早速ファンが手持ちのペンライトを青く輝かせて、バンドにアピールするように振り乱す。こういうのは見てる分には綺麗なんですが、やっぱりどうしても「ライヴ」というよりは「コンサート」っぽくなっちゃうよなあ...

 

また速いテンポになるとヘドバンだけでなく、決められた振り付けを踊るかの如く、両手をヒラヒラ動かすノリも非常に多く見られる。「この曲ではこういう動きをすること!」という共通認識を彼女たちは一体どこで得ているのか(笑)

 

バンドのパフォーマンスは非常に安定感あるもので、観ている側に不安も不足も感じさせない。ちょっと彩雨さんのキーボードが聴き取りにくく感じる瞬間はあったものの、要所で主役の旋律を引っ張り、麗しい音世界をしっかりと演出。

 

そしてサポートとなる平賀さんのギタープレイですが、やはり1年以上帯同した結果なのか、ルックス・プレイスタイル共に一切の違和感がなく溶け込んでいる。時折ピッキングを終えた後に、フワッと右手を高く掲げる仕草も様になっていて、パッと観た限りはサポートメンバーとは思えない。普通にイケメンだし、充分ヴィジュアル系でやっていけるんじゃ。

 

セットリストは最新作『Human Dignity』の曲、およびやや初期寄りの曲が多めで、シンフォニックメタル、メロディックスピードメタルというよりは、彼らのモダンな側面とメロディアスな側面を双方取り入れた楽曲が多め。個人的な好みとしてはもうちょっとガッツリメロスピしてくれた方が良かったものの、普段のライヴではあまり聴けない曲もあるのはありがたいか。

 

モダンな中にも、苑さんのよく通るヴォーカルが多くの見せ場を持つ「MONSTER」や「RAINBOW」あたりは結構好きな曲なので心地よく聴けたし、キラーチューンである「Justice」のサビはやはり熱くなれる。ここで一際強めのヘドバンでバンドに応える。ラスサビで声を出せないのでやっぱり不完全燃焼ではありますが。

 

中盤には苑さんが一旦ステージ袖にはけて、楽器陣のみで「SYMPOSION」を演奏。透明感あるキーボードがキモの楽曲ですが、ソロの出番になるとギター・ベース・ドラムがそれぞれテクニカルに主張し、アンサンブルの強固さを演出。ここでも平賀さんの安定感ある速弾きに感嘆。

 

インストの演奏が終わった後、今まで肩掛けのキーボードを使っていた彩雨さんが、今度は据え置きのキーボードへと切り替えて切々とソロを弾き始める。そうしていくうちに、バンドロゴが大きく記載されていたバックドロップ幕が降りていき、窓からの景色が露わになる(その前から左端の方でちょっと見切れていたのですが)

 

苑さん曰く「リアル摩天楼を背負った状態で演奏したかった」とのことでしたが、まだ時間的に完全に陽が沈みきっていないため結構明るく、さらに言うと摩天楼というよりは、ただのビルでしかないのでムードはあったもんじゃない(笑)

 

この状態で「もう一人の花嫁」「Helios」というドラマチックな旋律が魅力の楽曲を披露してくれたのですが、やっぱり背景が無機質すぎるなあ...。せっかくの演出に対して申し訳ないですが、普通にバックドロップはあったままで良かったかもしれません。

 

そんな風にちょっと微妙な心境になったのも束の間、「Innovational Symphonia」で一気に熱量を高めてくれる。合唱ができないぶん、コーラスは同期音源に頼らざるを得ないですが、この豪華絢爛な歌メロはやはり心躍るものがありますね。

 

「コロナの影響がまだ無くならないけど、少しずつライヴができるようになったりして、確実に前に進んできている。そして、ここでさらに未来への希望につながるお知らせをします」と苑さんが語り出す。なんとなくファンも予想していたようですが、1年以上サポートを務めていたギタリストの平賀さんが、この日をもって正式メンバー雄介として加入すると発表があり、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こる。

 

さらに3年ぶりとなるアルバムを出し、それに伴う全国ツアーも行うことが決定。『Human Dignity』からもう3年も経っているというのがまた...。どんどん時間の流れが加速していっているような気がするな...。

 

そして新作に収録されている楽曲から「真っ白な闇がすべてを塗り替えても」が披露されたのですが、開始から早速ドラムが暴れ狂う疾走メロスピ。サビのメロディーも実に美しく抒情的に仕上げた楽曲で、一発で名曲だとわかる素晴らしさ。これはアルバムが俄然楽しみになってきますね。

 

そして最新シングルの2曲「終わらぬ涙の海で」「儚く消える愛の讃歌」という新たな鉄板ナンバーを立て続けに投下。聴く前はサビの"どこまでも〜♪"の部分が高すぎてちゃんと歌えるのか気になっていましたが、驚いたことにバッチリ。よくぞここまで伸びのあるハイトーンが出せるもんです。しかも終盤なのに。

 

この日は15周年ということで、各メンバーからそれぞれ長めのMCが聞けることに。15年間やってきたことを(15年全部経験しているのは苑さんと燿さんのみですが)反芻し、これからのバンド活動への思いを綴っていく。「間違いなく今が一番ワクワクしている」と正面から言い放つ姿に、惜しみなく拍手が注がれました。

 

「人生で一番堕ちている時に作った"僕らは未来から愛されてる"というフレーズを持った曲、その頃とは心境は違うけど、その曲を歌いたいと思います」と語った後は、もちろん希望に満ち溢れた名曲「PHOENIX」。美しくどこまでも天上へと駆け巡るメロディーに、こちらもメロイックサインを掲げて、ヘッドバンギングで応える。

 

なお今回はダブルアンコール制となり、二度のアンコールを受けてからは「もう言いたいことは全部言ったし、聴かせたい曲も全部聴かせた。この後はもう何でもありだ!準備はできたか!」と煽り出すと、突進力あるドラムの連打が巻き起こる。こうなると来るのは当然「BURNING SOUL」。彼らのレパートリーでも屈指の熱量を誇る名曲なので、ここで本日一番のヘドバンを敢行することに。

 

それは僕だけでなく他のファンも同じだったようで、これまではペンライトを灯したり、両手でできるちょっとした振り付けに興じていた人たちが、ここぞとばかりに長い髪をブンブン振り乱している。やはりみんなこの曲の熱さには共鳴してくれるんだな!

 

この曲における苑さんの歌唱は若干フェイク気味で、これまではほぼ完璧というくらいに歌いきっていただけに、ここでも金属ハイトーンをもっと聴きたかったのが本音といえば本音。まあ2時間近くのライヴの最終盤だけにある程度はやむを得ないか。

 

初期からの楽曲もふんだんに取り入れられたセットリストで攻め、これからのバンドの活動がより楽しみになる発表も盛りだくさんという、ファンにとって良い形で締められるライヴになったと思います。

 

僕自身は彼らの初期の楽曲にはさほど馴染みがないので、前奏に入った段階で「あれ?この曲なんだっけ?」と思ってしまう瞬間も多く、もうちょっと15年を総括できるように色々聴きたかったものの(PANTHEONシリーズからはインストしかやってないよね?)、ライヴパフォーマンスのクオリティーはさすがの一言でしたね。

 

新曲がメッチャ良かったので、1ヶ月後に出るアルバムにも期待がかかるし、新体制となった彼らの活動には今後も注目していこうと思わせるライヴでした。心残りとしては、苑さんが言う「聴かせたかった曲」に「天国の在る場所」「喝采と激情のグロリア」がなかったことでしょうか...って、彼らのライヴを観る度に似たようなこと言ってる気がするな。

 

ファンによる祝花がなかなか豪華でした。こういうのって有志を募ってやったりするのかな。

Sabaton 『The War To End All Wars』

  • 前作に引き続き第一次世界大戦がテーマ
  • Sabaton流ウォーメタルからは1mmもブレない
  • 過去作に比べちょっと落ち着いた?

 

仕事が忙しかったり、プライベートでやることがあったり、外出の機会が増えたり、両親との約束でちょっと遠くまででかけたり、最近はいろいろと時間に余裕が無い。

 

「毎日が充実している」といえば聞こえはいいですが、そのせいでこのブログの更新がだいぶおろそかになってしまっています。今月の更新はサボりまくっていた2016〜2017年を除けばかなり少ないのではないでしょうか。

 

ブログは誰かに強制されているわけでもないし、義務でもないので、どうしても優先度が落ちてしまうんですよね。それに加えて新譜をじっくりゆっくり聴き浸る時間も少ないもんですから、なかなかキーボードを叩く手が動かなくて。

 

...と、ここ最近の更新ペースの遅さの言い訳をしたところで、そろそろCD感想書き上げようと、重い腰を上げてみます。スウェーデン出身の国民的ヘヴィメタルバンド・Sabatonの最新作。

 

2019年に発表された前作『The Great War』に引き続き、本作もモチーフとなったのは第一次世界大戦。やはり規模の大きい戦争になると、アルバム1枚分ではなかなか表現したい事柄をすべて表すことはできなかったのでしょうか。

 

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ただ本作に関しては発売時期が気の毒ですよね..。ニュースで皆さん周知の通り、現在ロシア-ウクライナで戦争が行われている最中であり、そんな中世界大戦について謳ったアルバムを発表するというのは...。

 

もしSabatonが日本のバンドで、世間でもそこそこの知名度を得ている存在だった場合「この時期にこんな作品を出すなんて、戦争を賛美するな!」みたいな意見がSNS上に大量に書き込まれて(普段は音楽シーンやミュージシャンなんて歯牙にもかけないような連中が中心になって)炎上騒動とかになるんだろうな...。

 

日本はヘヴィメタルという音楽自体が世間から認知されていないので、特に大きな話題になったりはしてませんが(良いんだか悪いんだか...)本国のスウェーデンではどんな感じなのでしょうか。

 

そんな心配は若干生まれはするものの、音楽自体は従来のSabaton節をしっかりと継承するもので、勇壮でありながらシンセも目立って、メロディーラインもキャッチーで聴きやすい、いつものSabaton流ヘヴィメタルが100%堪能できる1枚に仕上がっています。

 

ただ本作は勢い、ストレートさが過去作と比べてやや希薄に感じられるというか、どっしりとしたミドルチューンの存在感が大きい。もともと彼らは疾走感を売りにしていたバンドではありませんが、それでもアルバム全体の勢いは過去作と比べてやや落ちている印象か。聴いて一発で「こりゃ名曲!」とガッと引き込まれるほどのものは無く、そこはちょっとばかし残念。

 

とはいえ各楽曲のクオリティーはおしなべて高く、非常にメロディアスでクールなギターソロが大きな聴きどころとなるM9「The Valley Of Death」を筆頭に、キャッチーかつ硬派なメタルチューンのオンパレード。

 

Sabatonの王道中の王道を行くサビが映えるM2「Stormtroopers」、ウォーウォーコーラスとサビにて、彼らならではの勇壮さを見事に描き出したM4「The Unkillable Soldier」あたりが個人的キラーかな。アルバム全体で45分程度で聴き疲れを誘発しないのも良い!

 

全体として「さすがはSabaton!何も変わっちゃいないぜ!」というべき、いつもどおりのSabaton満載の1枚でした。マンネリといえばマンネリかもしれませんが(歌がキャッチーなだけに余計に)、これこそが彼らのアイデンティティー、今後も変わることはないでしょうね。

 

ただ前述の通り、過去作と比べるとちょっと地味に感じる瞬間が多かったのも事実なので、次回作以降はまたガッツリ弾けたキラーチューンも期待したいです。

 

 

個人的に本作は

"いつもどおりのキャッチー&勇壮なウォーメタル道まっしぐら。もう少し派手でパワフルな要素を強めても良かったかも"

という感じです。

 


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肌トラブル満載の顔面にLUSH製品を使ってみた

僕は肌がクソカスに弱いです。

 

急になんだと言われるかもしれませんが、本当に肌トラブルが尽きないんですよ僕は。小さい頃はアトピー性皮膚炎に長いこと悩まされ、寝ている間に無意識のうちに肘裏を掻きむしり、起きたらいつの間にか傷口が開いて血だらけ、爪の間が血が固まって真っ黒...なんてことはしょっちゅうでした。

 

今でこそアトピーの症状はほぼ治りましたが、輪をかけてひどいのが顔面。夏場は脂汗でギトギトテカテカがデフォ。冬場の風呂上がりは乾燥してカッサカサ。思春期からいつまで経っても治らないニキビの連鎖。ただでさえブサイクな顔面が、もはや擁護不能にまで醜悪になってしまっているのです。

 

ベタつく脂とカサつく乾燥。これら二つの要素を併せ持ったハイブリッドスキンこそが僕の顔なのです。書いてて悲しくなってきた。

 

そんな有様なのに、これまでの人生、めんどくさくてスキンケアらしいことをやってこなかったので(しろよ)もうこの醜いニキビ面と永遠に付き合ってくしかないのだろうと思っていました。

 

そんな折、ネットの海でとあるスキンケアのブランドを発見。

 

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LUSHです。

 

スキンケア用品、バス用品を手掛けるイギリスの企業で、日本法人も存在します。そう、店舗から独特の強い匂いを発しているあそこです。企業全体で動物愛護の精神が強いらしく、ウサギ同士が向かい合って「動物実験NO!」の文句が踊っているロゴを見かけた人も多いと思います。イギリス本社においてはなんでも、エコテロリスト集団のシーシェパードを支持しているらしいですが、日本法人はそんなことはないらしい。

 

その企業理念や、パッケージに記載されている「この商品はヴィーガンの方に適しています」の文句から、一定層から猛反発を喰らいそうなブランドですが(笑)、個人的にはその手の思想も(過度な押し付け運動さえしなければ)嫌いではないので、使用には特に抵抗は無い。

 

LUSHの製品をいくつか買ってみて、まず驚いたのがその見た目。「ANGELS ON BARE SKIN」という洗顔料がこちら

 

お......おから??

 

マジでこれが洗顔料なの?これを顔面に塗りたくれって言うの?僕が知っている洗顔料とは似ても似つかなくて、脳の処理が追いつかないんですけど。晩飯の小鉢でこんなやつ見たことあるよ。

 

成分表を見るとアーモンドをベースに、ラベンダーなどの花の油をたくさん使っているらしく、至る所に植物の種的なものも見られる。匂いはあんまり好きなタイプではないかな...

 

店員さんによると「さくらんぼ一個分くらいを手にとって、少量の水と共に練ってから顔にスクラブする」らしい。だいぶ勇気がいる行為ですが、せっかく買ったのだからとにかくやってみる。

 

するとちょっとびっくり。わかりやすいくらいに顔面の皮膚感がスッキリしている!ガサガサザラザラ感が全然無い!今まで白濁色の洗顔料を使った後は、カッサカサしていたはずの顔面が潤っている!

 

文章ではこの感覚は伝わらないだろうな〜。笑っちゃうくらいに触った時の肌の感触が違います。紙やすりの裏表くらい違います。

 

洗顔した後の保湿クリームは、店員さんに勧められるがままに買った「CELESTIAL」を使用。見た目こそ普通のクリームみたいですが、匂いはバニラエッセンス垂らしたんかってくらいにバニラ。超いい匂い。

 

少量を指ですくい取り、満遍なく顔に塗っていくと、これまたほんのり良い香りに包まれて顔中しっとり。今までめんどくさくて風呂上がりの保湿なんてほとんどやってこなかったけど(たまに化粧水をベチャベチャ塗りたくるくらい)、こんなに違うなら何で誰もケアしろって言ってくれなかったんだ。

 

外を出歩くとどうしても高温による脂汗が避けられないので、外出用にトナー化粧水の「BREATH OF FRESH AIR」も購入。顔にシュッと一噴きするタイプで、わかりやすいくらいに潤います。この手の品に海水を入れようとする発想はどこからくるんだ。

 

 

週一で行うフェイスマスクは「MASK OF MAGNAMINTY」という、Children Of Bodomの曲名みたいなものを使用。チョコミントアイスとは似て非なる何かという見た目。ミント臭がめっちゃ強い。

 

これを顔面に塗りたくって15分ほど放置してから洗い流すと、これまた洗顔後のようなしっとり感がすごい。やる前と後でこうも違うのかと驚かされっぱなしです。

 

顔だけでなく体全体に使えるように、ボディーソープも買ってみました。「THE OLIVE BRANCH」はその名の通り保湿用のオリーブオイルが配合されているようで、洗い終わった後は心なしか肌がすべすべしてます。そして何と言っても、ほんのり柑橘系っぽく爽やかに漂う匂いがめちゃくちゃ良い!これに慣れると普通の固形石けんがだいぶ物足りなくなってしまいそうだ。

 

LUSH製品を使い始めて2ヶ月ほど経っていますが、女の人がよく言う「今日お肌の調子が良い」という言葉の意味が、この期間で何となくわかったような気がします。明らかに使う前とは触った感触からして違いますから。まさか自分の肌質に対して「もっちり」だの「しっとり」だのという感想を抱ける日が来るとは...

 

もちろん元の肌が最悪だったので、完全にニキビ面とおさらばってわけにもいかないんですが、以前に比べれば顔の赤みと凹凸が控えめになっていますからね。この間運転免許の更新に行った際、顔写真のほっぺの赤さがガッツリ落ちているのがわかり、改めて効能を実感しました。

 

そんなわけですっかりLUSHユーザーとなった僕。これから気温が上がってくるということで、顔面のベタベタ加減が加速度的に増してくるはず。そんな気候の中でどれだけ肌質を守り抜くことができるかに期待がかかります。頼むぞマジで。

 

あとはシャワーを浴びた後に、猛烈に体が痒くなる現象さえ何とかなれば良いのですが...。あれ何とかなりませんかねぇ?

4/16 OAU / New Spring Harvest at 日比谷野外大音楽堂

季節もすっかり春.....のはずが、初夏かと思うほどに暑くなったかと思えば、いきなり雨と共に冷え込んだりと、不安定な気候に振り回されている昨今、1年ぶりとなる野音に馳せ参じました。

 

去年と同じく、ライヴアクトはOAU。先日リリースされたEP『New Spring Harvest』のタイトルを冠した野外ツアー(といっても東京・大阪の二カ所しかやりませんが)野音公演です。

 

去年のツアーファイナルがあまりにも素晴らしかったために、当然ながらこの公演も見逃せない。僕が勤めている会社では、現在大規模なプロジェクトが動いており、この日も休日出勤があったのですが、なんとかしてこの日の出勤を避けることに成功。じっくりとアコースティックサウンドに身を任せる所存です。その代わり次の日の日曜は夜勤です。

 

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開場時間の少し前に霞ヶ関に到着、オフィス街なのでライヴ前に辺りを散策するなんてこともせず、銀行によってから直行で会場へと向かう。CD先行封入の抽選券でチケットを取ったはずなのですが、席はCブロックの前付近。観やすいことは観やすいのですが......Aブロックの席が取れた人は一体どんな方法でゲットしたのか気になるな。

 

前日まではややぐずついた天気だったため、この日がどうなるか若干不安視していたのですが、当日は雲こそ多めなものの充分に晴れ渡った陽気。特に暑くも寒くもなく(日が落ちたら寒かったけど)、去年に引き続き良い野外ライヴ日和に恵まれましたね。

 

開演時間を少しすぎたあたりで、特に大きな演出や登場SEも無く、ドラムのRONZIさんとパーカッションのKAKUEIさんが先んじて登場。二人が息をそろえて力強く打音を響かせる中、残りのメンバーも続々と定位置へ。

 

去年と同じことを思いましたが、やはりうららかな春の気候の野外、OAUの音は本当によく似合う。ラウドになりすぎない素朴なサウンドが気持ちいいんですよ...とは言いつつ、風がちょっと冷たくてパーカー着ててもちょっと肌寒かったのですが...

 

最初の段階ではみんな座席に座っていた状態でしたが、MCにて「疲れてる人は座っててもいいけど、どうせ観るなら踊りません?」と声をかけられると、続々とオーディエンスは立ち上がり(僕も含めて)、早い段階でどんどん手が上がってくる。新作からのインストナンバー「Apple Pie Rag」でのドラムとパーカッションの掛け合いで早速高揚させてくれました。

 

「マスクはしていてほしいけど、大声にならない範囲でなら声出してもいいらしいよ。"フゥッ!"とか」と言われたらすぐにそこかしこから声が上がり、久方ぶりにライヴでのオーディエンスの声の反応がもらえたメンバーはなんだか嬉しそう。

 

温かくも切ないムードを醸し出す「世界の地図」「Change」といった楽曲では、曲に合わせて少し体が揺れるも、じっくりと聴き入り、アップテンポの後半が大きな盛り上がりどころとなる「Thank you」では、最初の熱量のピークとも言えるハイライトを生み出す。ラストのサビをもう一度繰り返し、どんどん速くなるテンポに腕の振りも大きくなっていきました。

 

Sunny Day」ではちょっと能天気なムードをスライドギターの音色で生み出し、そこからの「all the way」。この曲のサビもまた春らしい爽やか切なさ満載で大好きな曲。

 

ライヴ中盤では「ライヴ久しぶりだから疲れちゃったよ。みんなも疲れただろうから一旦休みな」と言い残し、MARTINさんとKOHKIさんを除くメンバーが一旦ステージ袖へはける。椅子に腰掛けたMARTINさんが「TOSHI-LOWカッコいいよね。俺もあんな風になってみたいと思ってた。ずっと他人の顔のマスクをつけてた。だけど俺は俺のままでいいってことに今は気づいてる」と語り出し、ギターの音色と共に「Mask」を歌う。先ほどの「Thank you」で一気に加熱した空気がゆったりとしたものに変わっていく瞬間でした。

 

その後はMAKOTOさんのベースも加わった状態で、コロナが流行ってから2年ほど会えていない家族へ向けての「Life」を披露。戻ってきたTOSHI-LOWさんが、「3人すげえよかったじゃん。THE ALFEEみたいだったよ」と軽く茶々を入れながら、再び元の布陣へ。そこから新曲「世界は変わる」へと続くと、先ほどまで腰を落ち着かせていたオーディエンスが再び立ち上がる。

 

この曲は去年野音で聴いた時も感じましたが、本当に彼らの歌心が強く表出していて、じっくりと聞き入るには最適な曲なんですよね。中盤のエモーショナルなギターソロや、タンバリンを叩きながら軽やかに移動するTOSHI-LOWさんのパフォーマンス含め、気持ちが弾むような瞬間も多くて、本当に掛け値なしに素敵な曲です。

 

新作のリードトラックが終わったあとはいよいよライヴも終盤。去年と同様に最後の畳み掛けが素晴らしく、「Again」でギアを上げて、「Americana」の各楽器のコンビネーションを存分に見せつけエキサイトしてきた頃に「Midnight Sun」と「Making Time」という鉄板の流れ。この瞬間は去年でも異常なまでに高揚感を得ることができましたが、今回もそれに負けず劣らずの盛り上がり。

 

バックに吊るされたOAUのロゴがキラキラ光り輝き、色とりどりの照明効果を持って、「Making Time」の盛り上がりを沸点まで持っていく様は、まさにライヴのクライマックスを彩るにふさわしい瞬間でした。この感動は生で観ないと体感できないものですね。

 

ここで一旦ライヴは終了しアンコールへ。メンバーが出てくる間、僕の後ろの方で聞こえた「あと3時間くらいやってほしいわ〜」という声に深く同調しつつ待っていると、今度は先ほどの「Life」の時と異なる、TOSHI-LOWさん、KAKUEIさん、RONZIさんがステージに登場。3人がそれぞれパーカッシブな音色を奏でる「Banana Split」へ。演奏の途中でリズムに合わせて他の3人もステージ上手側から出てきて(演奏中以外は終始冷静なMAKOTOさんがピョンピョン飛び跳ねてきていたのがなんだか新鮮)、そのまま新作のオープニングトラックの「Peach Melda」の演奏がスタートする。

 

この曲もまた、EPのタイトルとなっている「春」のイメージにピッタリな温かいメロディーラインが印象的。終始鮮やかに舞い踊るMARTINさんのヴァイオリンと、そこに絡む歯切れの良いアコギがメチャクチャに気持ち良かったです。

 

Peach Melda」を終えた後は少し長めのMCタイム。「OAUのお客さんは小さなお友達から大きい人まで幅広くて、すごく優しい。『何食べ』とか観てたからLGBTにも優しいだろうし。だけど優しいからこそ、昨今のニュースとかで辛い思いをしてるでしょ?」

 

バックのOAUのロゴがウクライナの国旗を模したカラーに光って、「俺たちは普段からずっと言ってる訳じゃないけど、もちろん聞かれたら"反戦""平和"を訴えていく」と語り、「This Song」と名付けられた新曲を披露。「350年前の音楽家が作ったメロディーに、今の音楽家である俺たちが新しく歌詞をつけました」と言っていたので、既存曲の日本語詞カバーなのでしょうが、僕は聴き覚えのない曲でしたね...。ジョージ・ハリスンの曲ではなかった。

 

最後はKAKUEIさんのフルートが奏でるイントロで始まる「帰り道」。今やOAUの代表曲的位置付けにまできている楽曲ですね。ほぼ日が落ちてきた今の時間帯にピッタリで(もう少し空が紫がかっていた方が良いかな)、ステージと周りの風景を見回しながら聞き入る。

 

するとオーディエンスの右手の方から、ちらほらスマートフォンのライトを照らし出しているのが見え、そこから徐々に連鎖するかのように光の粒が連なっていく。アーティスト側が指示を出してやるのは経験ありますが、自主的にこういった演出を作り上げたのは初めての経験かも。歌い終わった後「メチャメチャ綺麗、ありがとう」と声をかけてもらい、余韻に包まれたままの幕切れとなりました。

 

 

去年の野音の経験から、今回も絶対に外されることはないだろうと期待していましたが、その期待をしっかりと超えてくる感動。パフォーマンスもMCも、楽曲の魅力からステージ演出まで、BRAHMANとはまったく異なる表現で、感情をグワっと突き動かされるばかり。

 

今日語ったMCでは「毎春の恒例にしたい」みたいなことを言ってましたが、こちらとしても春の訪れをこの音と実感できるというのは大いに望むところです。今後も野外で彼らのサウンドに身を浸せる機会を作っていってほしいと思います。

 

BIGMAMA 『Roclassick』

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  • ヴァイオリニストの強みが活きた"ロック×クラシック"
  • 楽曲の根幹は従来のエモコアから揺るがず
  • 仰々しすぎないクラシカルさが聴きやすい

 

もうすっかり春ですね。桜が咲いたと思ったら、もう早速散り始めてますし。こないだなんか一枚アウター羽織ってたら汗ばむくらいでした。

 

寒さからようやく解放されると思うと嬉しい限りですが、ここから間髪入れず地獄のような暑さに入っていきますからね。あまり喜んでばかりもいられません。

 

そんなうららかな春という季節、個人的にはこのアルバムが聴きたくなるかな〜と思って取り上げてみます。ヴァイオリンを専任メンバーとする日本のエモコアバンド・BIGMAMAが2010年に発表したミニアルバム......ってこれがリリースされてからもう12年経ってるのか...

 

なんで本作が春に聴きたくなるかっていうと、まあただ単にM1「走れエロス」にヴィヴァルディの「春」のフレーズが使われているってだけなんですが。

 

BIGMAMAといえば、今やすっかりイケメンバンドにドラマーを引き抜かれた(いや、もちろん双方の合意があっての脱退でしょうけど)気の毒なバンドというイメージがついてしまったんですが、この頃はまだバンドメンバーも安定しつつ、今では希薄になったメロコア的要素も良い塩梅で残っています。

 

このアルバムまではPUNK/CORE系統のサウンドの色が残っていて好きだったんですけどね〜...ってそんなことは今はいいや。

 

本作はヴァイオリンがあるというバンドの個性を活かすため、有名クラシックのフレーズをそこかしこに導入しており、タイトル通り"ロック×クラシック"というコンセプトで制作されたもの。

 

クラシックのフレーズを取り入れたと言っても、メロディーにそのまんま歌詞を載せたようなものではなく、バッキングのアレンジとか間奏とかに組み込んだくらいのもので、基本的にヴォーカルラインはオリジナル。楽曲の根幹は今までの作品と一切変わっていません。

 

このくらいのレベル感であれば、この人みたいにクラシックファンから蛇蝎の如く忌み嫌われるということはない...と思う。

 

前述のM1はバックでイントロやバッキングで「春」のメロディーを奏でつつ、ヴォーカルは軽快に駆け抜けていき、サビはキャッチーなメロディーと共に疾走するファストチューン。オープニングを始めるにふさわしい爽快感を味わわせてくれます。クラシカルなフレーズをギター・ベース・ヴァイオリンで重ねていくアウトロも効きどころ。

 

その後のM2「虹を食べたアイリス」は、これまた超有名なベートーヴェンの「運命」をラスサビの前で大胆に挿入し、ドラマチックな緊迫感をうまく高めることに成功したミドルエモコア。聴きやすくもシリアスに彩られるサビがまた魅力的です。

 

このオープニング2曲と、ドヴォルザークの「新世界」をリズミカルにアレンジしたヴァイオリンがインパクトを放ち、爆発力あるサビで大いにテンションを盛り上げるM6「荒狂曲"シンセカイ"」の3曲の出来が良く、他の曲は(あくまで相対的に)若干聴き劣りしてしまうというのが僕の感想ですが、その他の曲ももちろん完成度は高く安定していて、30分弱で終わらせる構成と相まって非常に聴きやすいのがありがたいです。

 

どうもクラシックを取り入れた楽曲というと、(それこそRhapsody Of Fireみたいな)かなり大仰でドラマチックで、一気に聴き通すとどうしても聴き疲れが......みたいになってしまうイメージを持ちがちな僕。本作はいい感じにソフトなので、身構えることなく楽に聴けるのが嬉しいですね。

 

有名フレーズの旋律の良さを殺さずに、自分達の楽曲の持ち味も損なわずに、うまい具合に織り交ぜることができた彼らのアレンジセンスを、短い中で味わうことができる良作です。

 

本作と同コンセプトの作品は、後年になって『Roclassick2』『Roclassick〜the last〜』と、合計3作リリースされていますが、残念ながら後発組は初代ほどのクオリティーには達していないという印象ですね...

 

あと本作とは全然関係ないけど、リアドさんがいなくなってからドラムどうしてんだろう?と思って調べたところ、得体の知れないバケツマンになってた(笑)

 

 

個人的に本作は

"クラシックの有名フレーズの魅力と、バンドらしいロックチューンのマリアージュの理想型"

という感じです。

 


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